遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もShootyと、扇ガ谷 道房熱いサッカーコラムをどうぞ宜しくお願い致します。
さて、新年を迎えてJリーグ各クラブも始動しています。
昨年末に10年振りにアジア王者に返り咲き、CWCにも出場した浦和レッズは、今シーズン更なる飛躍が期待されます。
アジア王者ながらJリーグ中位に甘んじてしまった昨シーズンを振り返り、当然ながら今年新たな取り組みが期待されます。
最も気になるのはやはり補強です。新旧の新陳代謝や、他クラブからの移籍、新外国人選手の獲得など、新生レッズの陣容です。
この記事を書き始めてすぐに、何と衝撃的なニュースも飛び込んで来ました。
それらを総合して、今シーズンの浦和レッズの補強と、期待される選手や見所等をご紹介致します。
11/25、AFCチャンピオンズリーグ2017 決勝第2戦 アルヒラル戦、選手入場時の埼玉スタジアム。#wearereds #urawareds #浦和レッズ #acl2017 #ACLFINAL pic.twitter.com/HCPSBf8l9h
— 浦和レッズオフィシャル (@REDSOFFICIAL) 2017年11月25日
新加入選手と移籍選手のまとめ
先ずは、今シーズンの浦和レッズに新加入した選手と他クラブへ移籍した選手を確認してみましょう。
<新加入選手6名>
MF山田直輝選手(湘南ベルマーレ・レンタル復帰)
DF岩波拓也選手(ヴィッセル神戸・完全移籍)
MF武富孝介(柏レイソル・完全移籍)
MFクエンテン・マルティノス選手(横浜Fマリノス・完全移籍)
DF柴戸海選手(明治大学)
DF橋岡大樹選手(浦和レッズユース・昇格)
<移籍選手10名>
DF那須大亮選手(ヴィッセル神戸・完全移籍)
MF梅崎司選手(湘南ベルマーレ・完全移籍)
FW高木俊幸選手(セレッソ大阪・完全移籍)
MF矢島慎也(ガンバ大阪・完全移籍)
FW石原直樹選手(べガルタ仙台・レンタルから完全移籍)
DF田村友選手(アビスパ福岡・レンタル復帰)
MF駒井善成選手(コンサドーレ札幌・レンタル移籍)
FWオナイウ阿道選手(レノファ山口・レンタル移籍)
MF井澤春輝選手(徳島ヴォルティス・レンタル移籍)※今季トップ昇格後レンタル
MF斎藤翔太選手(未定・契約満了)
6名の新加入選手と10名の移籍選手というかなり大規模な異動が為されました。差し引き4名マイナスという結果です。
タレント豊富なクラブですから、どうしても出場機会を求めて、他クラブに移籍する事を選択する選手が多めになる傾向があります。
人数の減少が一概にマイナスとは言えませんが、やはり新加入選手の能力がキーポイントになります。その意味では、少ないながらも的を得た補強と言えそうです。
最大の期待は復帰した元日本代表・生え抜きの山田直輝選手
2008年高円宮杯優勝した、浦和レッズ・ユースのメンバーには四人の”○○キ”が名を連ねていました。名前の末字が四人共に”キ”と言う奇遇でした。
高橋峻希選手(現・ヴィッセル神戸)、濱田水輝選手(現・ファジアーノ岡山)、原口元気選手(現・ヘルタ・ベルリン)、そして山田直輝選手です。
圧倒的な攻撃力で完勝した浦和レッズ・ユースの中心選手で、この大会得点王に輝き将来を嘱望されていたのが山田選手だったのです。(詳しくは筆者既著「帰って来た浦和レッズの宝・湘南ベルマーレへのレンタルから復帰した山田直輝選手」をご覧下さい。)
翌年からトップチームに昇格し、日本代表にも選出されました。しかし、その後は、監督のコンセプトや怪我が原因で活躍の場を失い、2015年にベルマーレ平塚にレンタル移籍をしなければならなくなってしまいました。
3年間のレンタル移籍期間の中で、チームはJ2降格を経験しますが、昨シーズン一年で復帰を果たします。山田選手はJ1復帰の原動力になりました。
レンタル移籍によって得られた出場機会と降格昇格の経験は、山田選手を成長させました。完全移籍するか、浦和レッズに戻るかについては、葛藤があったと思いますが、自信と挑戦心に火が点いた山田選手は茨の道を選択します。
タレント豊富な浦和レッズに戻り、レギュラーを勝ち取るのは元日本代表選手と言えども至難の技に違いありません。レギュラーを勝ち取り、J1優勝を勝ち取るという強い信念無くんば、レンタル移籍からの復帰という選択は無かった筈です。
だからこそ、浦和の至宝の一人である山田選手の復帰は、浦和レッズ・サポーターが心待ちにしていた朗報なのです。
レジェンド山田暢久さんから受け継いでつけた背番号6から、今シーズンは3倍の背番号18に変わった事実は、昔の自分から決別し、新たなチャレンジを選択した証。今シーズンの浦和レッズで最も注目したい選手です。
「このチームでもう一度チャレンジしないと後悔すると思った」
4シーズンぶりに復帰した #山田直輝 選手が語った浦和への思い。#DAZN では #浦和レッズ 新加入選手の単独取材を敢行🎥
インタビューの模様はDAZNおよび公式SNSで近日配信予定📺⚡@REDSOFFICIAL#urawareds pic.twitter.com/ZczJwJEwqD— DAZN ダ・ゾーン (@DAZN_JPN) 2018年1月15日
守備力強化への最適解・リオ五輪代表DF岩波拓也選手
ミシャ監督時代の基本フォーメーションは3・4・2・1。基本陣形は攻撃と守備では可変し、攻撃時は2・3・5、守備時は5・4・1という様に、両サイドのウイングとサイド・バックが流動するという、独特のシステムでした。
攻撃が順調な場合は、爆発的なパワーを発揮しますが、一度不用意なカウンターを食らうと脆さも潜むという、チャンスとリスクが共存するシステムでした。
日本人は概ね、何事にもバランスを重視する思考回路がありますが、ミシャ監督の思考は日本人一般とは違い、そこにサッカーの楽しさを見つけていたファンが多かった筈です。
然し、昨年の5月以降が象徴的でしたが、バランスが崩れ過ぎて、多くの失点を重ねる結果を招き、結果ミシャ監督は更迭されてしまったのです。
後任の堀孝史監督は、ミシャ監督のフォーメーションを維持しつつ、新たに4・1・4・1というフォーメーションを採用しました。攻撃時には中盤の4人が攻撃参加し、両サイドバックが中盤に上がると、ミシャ監督時代の2・3・5に変化できます。
守備力強化を守備的フォーメーション一辺倒で行うのではなく、段階的なフォーメーションを採用して、従来戦術を維持しながら守備力を安定させる方式を採用したのです。これが成功し、アジア王者に返り咲く事ができたと筆者は見ています。
然しながら、攻撃的選手は充実しているものの、数年前から守備専門職の大型DFの人材不足が指摘されていました。その不備に対応する新戦力が、リオ五輪代表だった岩波拓也選手なのです。
身長186cmは、現在のCBマウリシオ選手を3cm上回り、FWズラタン選手と並んでチーム・トップの高さです。高身長を生かした対人能力と共に、的確なフィードとキック力を持ち合わせている、バランスの取れたCBと言えます。
既にヴィッセル神戸では5シーズンもの間レギュラーCBを勤めた実績があり、浦和レッズにとっては長年の課題であった大型CB不在の最適解に相応しい選手と言えます。マウリシオ選手と共に、堅固な守備が期待できます。
「神戸で育った自分がどれだけできるか試したい」
「レッズというビッグクラブの一員になりたい」#浦和レッズ #岩波拓也 選手が移籍を決断した理由を語る。#DAZN では #浦和レッズ 新加入選手の単独取材を敢行🎥
インタビューの模様はDAZNおよび公式SNSで近日配信予定📺@REDSOFFICIAL#urawareds pic.twitter.com/RblJwCgw4Z— DAZN ダ・ゾーン (@DAZN_JPN) 2018年1月16日
移籍四選手をリカバーする逸材・武富孝介選手
長年浦和レッズの攻撃を担ってきた梅崎司選手。ドリブルと的確なシュート力を持った高木俊幸敏幸選手。サイドから果敢にドリブル突破を試みて相手を翻弄する駒井善成選手。抜群のボールタッチセンスを有した石原直樹選手。今シーズン浦和レッズから、この四人の攻撃的選手が移籍してしまいました。
それぞれに個性的で、浦和レッズ以外であればスタメンで出場できる力を有した選手です。この四人の攻撃的選手の抜けたポジションに、新たな個性の発揮が期待されている選手が武富孝介選手です。
武富選手は柏レイソルでプロ・サッカー選手としてデビューしましたが、元々浦和の出身。現在クラブ・スタッフで元浦和レッズDFだった堀之内聖さんと同じサッカー少年団に所属していました。(勿論年代は違います。)
又、浦和地区のサッカー少年団の選抜チームであるFC浦和に選ばれて、当時違うサッカー少年団だった山田直輝選手ともチームメイトとして第26回全日本少年サッカー大会で優勝を経験しているのです。
その後柏レイソルの下部組織からトップチームに昇格するのですが、ルーツは浦和にある選手なのです。ですから、浦和レッズのサポーターの皆さんも、親近感が沸く選手と言えるのではないでしょうか。
身長173cmとサッカー選手としては小柄なのですが、ヘディングでのゴール数も多く、何せ泥臭くピッチ上を走り回るという、筆者好みの選手なのです。
相手DFの裏を取る能力が高く、ポゼッション時のみならず、オフザボールの動きにサッカーセンスを感じる、通好みの選手です。
前述の移籍四選手の穴を一人で埋める能力を有する選手として、筆者は大きな期待を寄せています。
伸び代に期待がかかる未知の国からの使者・クエンテン・マルティノス選手
オランダ王国の構成国であるカリブ海の島国キュラソーをご存知の方は少ないでしょう。クエンテン・マルティノス選手はその島国キュラソー出身のMF。身長183cm。
オランダの世代別代表に選出されていましたが、その後母国のキュラソー代表に選出されています。
Jリーグでは横浜Fマリノスで2シーズン活躍していますが、不思議な魅力のある選手と言えます。圧倒的な何かがあるという選手ではないのですが、的確なボールコントロール能力があり、まだ伸び代を感じる選手です。
MF登録の様ですが、FWとしての能力が高いのではないかと筆者は見ています。絶妙なボールタッチ、正確なシュート、スピードのある走り、意表をつく動きなど、何かをやってくれる雰囲気を多分に感じる事ができる選手です。
昨シーズンは5ゴールでしたが、今年はそれ以上に得点が期待できそうです。
衝撃のニュース・ラファエル・シルバ選手の中国二部リーグへの移籍?
この記事の執筆を始めた直後に、衝撃的なニュースが飛び込んで来ました。FWラファエル・シルバ選手が中国二部リーグの武漢卓爾職業足球倶楽部からのオファーを受け、メディカル・チェックの為にチームを離脱したというニュースでした。
2018年1月18日には、浦和レッズの山道強化本部長が公式の会見を開き、事実関係を認められました。
それ以降筆者執筆中の現在まで、正式な移籍は発表されていませんが、概ね移籍の方向になる見込みです。
昨シーズンアルビレックス新潟から新加入し、浦和レッズでは興梠選手に次いでリーグ5位の12得点を上げ、ACLでも大活躍だったラファエル・シルバ選手がこの時期に移籍と言うのは、余りにも衝撃的です。
山道強化本部長の会見発言からすると、オファーされた金額が決め手になったというのが事実の様ですが、ACL直後から噂に上っていた中東クラブへの移籍を断念した旨の発言を本人がされていたので、まさか中国二部とはと、筆者も絶句の状態です。
願わくば、交渉が決裂してくれたらと願うばかりですが、既にキャンプも開始しているこの段階ですから、クラブはラファエル・シルバ選手の移籍を念頭に、今シーズンの戦略立案をせざるを得ない状況だと思えます。
今シーズンの浦和レッズの最大のミッションはJリーグ制覇に違いありません。
残念ながら、4年振りにACLに参戦できない状況ですから、狙うは2006年以来の悲願であるJリーグ二度目の制覇です。
ACLの不参戦をネガティブに捉えず、照準を一つに絞れるポジティブなチャンスだと筆者は考えます。
勿論カップ戦、天皇杯も、狙わない理由はありませんが、二兎三兎を追う事よりも、目標を一つに絞り込むという選択と集中が、何よりの結果をもたらすでしょう。
派手なタレントの補強ではなく、的を得た実務的な戦力補強ができたと言えます。
久しぶりに、堅実に勝ち進める浦和レッズが観れるシーズンになる期待が十分溢れています。
期待しましょう!