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“オシム・チルドレン”がサンフレッチェ広島でのみ活躍できる理由

hirobrown

2016/06/09 21:00

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NEWS

01_ジェフ千葉
by 夕暮れの匂いに空を見上げる

選手の評価とは?その物差しとして、最近では選手個々の市場価値や獲得時の移籍金を基にして論じるのが一般的なのかもしれません。ただ、それだけでは本当に選手個人として優れているのか?それとも所属したチームが良かったのか?については何とも言えない部分があります。
そこで、同じチームから他クラブへ移籍して行った選手達の活躍度に着目してみると興味深いチームがありました。
それは、イビチャ・オシム監督が指揮を執っていた2003年から2006年頃のジェフユナイテッド千葉(市原)です。
オシム監督に率いられたジェフは、2005年と2006年のJリーグヤマザキナビスコカップで大会2連覇を果たしました。2006年はシーズン途中からオシム監督が日本代表監督に転身したため、息子のアマル・オシム監督が率いました。
何よりも、タイトル獲得以上に、「考えて走るサッカー」を提唱したオシム監督のサッカーがチームに浸透し、日本人の特徴を活かした上での攻撃サッカーで魅了しました。
そして、それまでJリーグ創設初年度から参加していながら1つもタイトルを獲っていなかったチームが、毎年のようにリーグ優勝争いをするようになり、オシム監督がフルシーズン指揮を執った3シーズンは全てがリーグ4位以上の好成績を残し、カップ戦では連覇も達成したのです。

他クラブで輝けない”オシム・チルドレン”

02_水野晃樹
水野晃樹選手by AFPBB News

それも2005年にクラブ史上初のタイトルとなるナビスコカップ優勝を果たしたシーズン前には、茶野隆行選手と村井慎二選手という日本代表選手が揃ってジュビロ磐田へ移籍して迎えていました。
主力選手の流出は毎年の恒例行事化しており、それでも優勝争いができるチームに仕立て上げる功績を評価したからこそ、オシム監督は日本代表監督に引き抜かれたのです。
選手のみならず監督まで引き抜きに遭った事で、ジェフの黄金時代は幕を閉じ、2009年にはJ1で最下位となってJ2降格。以降、J1に1度も昇格して来れない状態に陥ってしまいました。オシム監督の偉大さを未だに大きく感じさせられます。
そして、そのオシム監督に指導を受けた”オシム・チルドレン”と呼ばれた選手達の苦戦ぶりも共通しています。
主将を務めたMF阿部勇樹選手(現・浦和レッズ)は高校生でプロデビューした「別格の存在」として日本代表でも大活躍しましたが、エースだった日本代表FW巻誠一郎選手や、欧州移籍を果たした水野晃樹選手(上記写真)、羽生直剛選手、山岸智選手、佐藤勇人選手、水本裕貴選手といったジェフ時代に日本代表へ召集された選手達も、移籍先ではジェフ時代の輝きは見せられていません。
羽生選手はFC東京でポジションを替えてレギュラーになったとはいえ、ジェフ時代からするとトーンダウンした印象です。その他の選手もジェフからの移籍を機に日本代表から外れている事を考えれば同様に感じます。オシム監督時代のジェフは、”選手”としてよりも、”チーム”として良かった証拠になるでしょう。

広島でのみ活躍できる理由とは?~もはやラーメン屋の暖簾分け状態の広島VS浦和

03_ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督by URAWA REDS

しかし、”オシム・チルドレン”が他クラブへ散ってしまったあと、面白い現象が起きました。
他クラブを経て、サンフレッチェ広島にやって来た水本選手と山岸選手が完全復活を遂げたのです。特に水本選手は代表にも復帰。2011年に広島加入後、チームは3度のリーグ優勝を成し遂げるなどチームに大きく貢献しています。
また、元ブルガリア代表のイリヤン・ストヤノフ選手や中島浩司選手といった他の”オシム・チルドレン”も広島では大活躍しました。
おそらく、これは当時の広島の指揮官だったミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指導者キャリアの駆け出しの頃に、オーストリアのシュトルム・グラーツでアシスタントコーチを務めたからでしょう。当時のシュトルム・グラーツの監督がオシム監督だったからです。
現在は指揮する浦和レッズでも広島時代の独特な<3-4-2-1>の可変型フォーメーションの採用や多くの愛弟子たちの獲得を揶揄されるペトロヴィッチ監督とレッズですが、本当にその批判をしたいのはオシム時代を知るジェフサポーターの方々なのかもしれません。
こう書いていると、昨今頻発している数々のラーメン屋さんの暖簾分けで揉めている状態にも見えてきますが、これも24年目となったJリーグだからこそ言える「長く観続ける楽しみ」の1つだと言えるのかもしれません。

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