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【アジア杯考察】浮沈のカギを握るのは中島・南野・堂安のトリオ シュミット&冨安の起用にも注目

編集部I

2018/12/28 08:20

2018/12/27 00:39

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来年1月5日より、「AFCアジアカップ2019」がアラブ首長国連邦で開催される。今大会では、主力として定着しているメンバーはもちろん、他メンバーの見どころも多いだろう。今回は、現在までの発表を中心に、各要素を考えていきたい。

■選出メンバーは下馬評どおり 香川招集は見送り

 発表された日本代表のメンバーは、以下のとおり。

【GK】
・東口順昭(G大阪)
・権田修一(鳥栖)
・シュミット・ダニエル(仙台)

【DF】
・長友佑都(ガラタサライ)
・槙野智章(浦和)
・吉田麻也(サウサンプトン)
・佐々木翔(広島)
・酒井宏樹(マルセイユ)
・室屋成(FC東京)
・三浦弦太(G大阪)
・冨安健洋(シントトロイデン)

【MF】
・青山敏弘(広島)
・原口元気(ハノーバー)
・柴崎岳(ヘタフェ)
・遠藤航(シントトロイデン)
・伊東純也(柏)
・中島翔哉(ポルティモネンセ)
・南野拓実(ザルツブルク)
・守田英正(川崎)
・堂安律(フローニンゲン)

【FW】
・大迫勇也(ブレーメン)
・武藤嘉紀(ニューカッスル) ※浅野拓磨(ハノーバー)は負傷により辞退
・北川航也(清水)

 陣容は、ほぼ発表前に報道されていた予想どおりの陣容となった。フォーメーションは、2ボランチを据える4-2-3-1が有力だ。

 サプライズ招集も期待された香川真司(ドルトムント)は、チームであまり試合に出場できていないこともさることながら、移籍話もあるため見送りとなった。個人的には乾貴士(ベティス)や岡崎慎司(レスター)の招集も期待したが、あえなく落選となった。森保一監督の選んだ選手は若手が多く(就任当初からそうだが)、あらためて世代交代を印象づける格好となった。以下、ポジション別に少し見ていきたい。

■GK:混戦模様のGK陣 森保監督が選ぶのは安定感か将来性か

 経験などを考慮すれば、GKの第1チョイスは、ウルグアイ戦などに出場した東口となるだろう。しかし、東口は11月のベネズエラ戦とキルギス戦に出場しておらず、権田を選ぶというチョイスも考えられる。

 また、将来を見据えれば、ベネズエラ戦に出場した197cm(一部報道では198cmになったとも)の26歳、シュミットを育成したいところだろう。ようやく日本に現れた世界水準の体格のGKだけに、期待値は高い。ただしシュミットは、Jリーグで失点につながるミスが少なくない。接戦で相手に押し込まれた時、悪目立ちする可能性がある。それでもチームの将来の総合力アップを選ぶなら、森保監督は失点を覚悟の上でシュミットを起用するだろう。

 安定感か、将来性か。アジア杯という真剣勝負の舞台でどちらを選択するのか。GKのチョイスから、森保監督のアジア杯での狙いが見て取れそうだ。

■DF:サイドバック勢に問題なければ盤石か 冨安のさらなる成長に期待

 一時は出場は絶望かと思われた長友は、早期復帰を果たし、何とかアジア杯に間に合った。膝の負傷で一時欠場していた酒井もすでに復帰している。二人とも、復帰後は順調に試合へ出ているため、コンディション面や試合感もそれほど問題はないだろう(他方、二人が長期で離脱するガラタサライとマルセイユは困るだろう)。

 センターバックの吉田は、レギュラーとして試合に出場することはもちろん、チームの精神的支柱としての役割が求められる。吉田の相方をつとめるのは、冨安または槙野だろうか。特に11月5日に20歳の誕生日を迎えたばかりの冨安は、堂安らとともに、今後長きにわたって代表入りする可能性がある、大事な人材だ。アジア杯を経て、さらなる成長を期待したい。

■MF:中島・南野・堂安の3人は迫力抜群 柴崎の出来もポイント

 新日本代表の象徴的存在となっている中島・南野・堂安の3人は、個々の能力が高い上にコンビネーションも良く、迫力抜群。攻撃力の高さはウルグアイ戦で折り紙つきだ。今大会における日本代表の浮沈のカギを握るのは、この3人だろう。

 3人が突出した力を持っているのは確かだが、アジアでは日本に対して守備固めを展開してくるチームが少なくない。それでもなお3人が快進撃を続けるなら、今後のW杯予選や本戦も考えると非常に喜ばしい。移籍がささやかれる中島と堂安は、アジア杯での活躍次第で、強豪チームへ移籍する可能性もあるだろう。

 中盤のもう1つのポイントは、彼ら3人にパスを供給することになるであろう柴崎。所属クラブでは、15日のレアル・ソシエダ戦に久々の先発出場を果たしたとはいえ、チーム戦術と噛み合わずに出場機会を減らしており、試合勘の鈍りがまだ気になるところ。大会序盤は、遠藤・青山らの働きが大切になるだろう。柴崎は、勝ち進んで出場機会を増やせば、W杯時のような優れたパフォーマンスを披露してくれるかもしれない。

■FW:大迫スタメンは確定的 サブメンバーの活躍が上位進出のカギ

 ロシアW杯後に刷新された攻撃陣は、中島ら3人のトライアングルに大迫の1トップを用いる形が、現時点のベストだ。今大会において、大迫のスタメン出場はほぼ間違いないだろう。

 懸念材料はサブメンバーだ。これまでの試合を見ても、大迫、中島ら海外組の4人が抜けてサブメンバー中心の編成に切り替わると(ベネズエラ戦やキルギス戦を見るかぎり)、海外組と国内組の意識の違いと言えばいいのか、前線メンバーのオフザボールの動きに違いが出る。一部シーンでボールの出し手が困るシーンも見受けられるなど、前線の攻撃力の低下が否めない。杉本健勇(C大阪)らが選外になったのは、偶然ではないだろう。

 長丁場のアジア杯では、全試合を同じメンバーで乗り切るというのは考えにくい。伊東、北川、そして初招集の武藤の活躍が望まれる。彼らの中から、11年のカタール大会決勝でボレーシュートを決めた李忠成のようなスーパーサブが出てくれば、上位進出の可能性は高まるだろう。

■日本以外の優勝候補はイラン、韓国、オーストラリア、サウジアラビアか

 優勝を目指す日本の対抗馬として、15年大会で優勝したオーストラリア、ロシアW杯出場のサウジアラビア、ソン・フンミン(トッテナム)やキ・ソンヨン(ニューカッスル)率いる韓国、優勝争いに食い込むと報道されているイランなどが挙げられる。日本にとって、厳しい戦いが予想されるだろう。

 もう一つ日本が警戒するべきは、審判の笛だろう。過去の日本代表も、不可解なジャッジに苦しめられてきた。判定にイラつく若手選手が出てくると、チーム全体の動きに影響が出るかもしれない。かつては長谷部誠が担っていた審判とのコミュニケーションを、吉田や長友などベテラン選手がしっかり担う必要がある。ただし、今大会からは、ロシアW杯などで導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の導入が採用される見通し。VAR導入により、大会のジャッジの傾向がどのように変化するのかも注目だ。

 日本のアジア杯1試合目は、来年1月9日に行われるトルクメニスタン戦。2月1日まで繰り広げられる今大会で、日本代表はどんな姿を見せるのか。そしてどんなドラマが待っているのだろうか。

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