Kリーグのお墨付きがセレッソへ。2年連続Kリーグベストイレブン、マテイ・ヨニッチってどんな選手?
12月9日にセレッソ大阪からマテイ・ヨニッチ選手の加入が発表されました。彼は2年連続でKリーグクラシック(韓国1部)のリーグベストイレブンに輝いた逸材。鳴り物入りで入団したヨニッチ選手ですが、J未経験の彼はセレッソに適合するのでしょうか。今回、マテイ・ヨニッチ選手がどのような選手なのかに迫っていきます。
プレースタイルと欧州での実績は?
彼のプレースタイルは、万能型と言ってもいいかもしれません。激しい肉弾戦が多いKリーグで、目を見張る身体能力とフィジカルは一見の価値があります。くわえて、空中戦の強さ、適確なポジショニング、チェイス能力にも定評があります。そして、特筆すべきポイントは足下の技術です。ロングフィードは正確であり、細かいビルドアップもお手の物。キープ力も高いため、カウンターの機転や時間稼ぎもできる優れたCBです。
そんな万能型DFは、順風満帆なキャリアを築けませんでした。彼はクロアチアの名門ハイドゥク・スプリトの下部組織でキャリアを開始。ユース時代から恵まれた体格を活かした守備が評価されて、クロアチア・ユース代表で活躍しました。しかし、層が厚いハイドゥクのトップチームでは、出場機会を確保することができませんでした。
さらに、2010-2011年シーズンにクラブ創設100周年を迎えた同クラブは、宿敵ディナモ・ザグレブのリーグ6連覇を阻止するために、地元出身選手を起用する方針を改めました。結果、伊野波雅彦(現・ヴィッセル神戸)選手を含めた7人の外国人選手を獲得。その余波を受けて、ヨニッチ選手は2009年から期限付き移籍で、NKザダル(2009年から期限付きで在籍)でのプレーを余儀なくされました。
2013年からは、NKオシエクに期限付き移籍。そこでは、印象的な活躍をするもハイドゥクに返り咲くことはありませんでした。クロアチア時代は国内クラブでたらい回しに遭い、苦節の時を強いられました。
韓国屈指のCB。2年連続Kリーグベストイレブンを獲得
2015年からは、活躍の場を求めて新天地・韓国に渡ったヨニッチ選手。彼が入団したクラブは、アジア屈指のハブ空港で有名な仁川広域市に所在する仁川ユナイテッドでした。日本人では、前園真聖氏が在籍していた過去があります。
仁川に加入してから、彼はすぐに頭角を現し始めました。鋭い読みからなるポジショニングでチームの窮地を救い、正確なフィードから攻撃を盛り立てるプレーで圧巻の活躍。近年は下位に彷徨っていたクラブに活力を与え、2015年の韓国FAカップ準優勝の立役者となりました。
その優れたパフォーマンスと低迷していたクラブで孤軍奮闘する様は、Kリーグ屈指のDFと評価されました(CBでは、FCソウルのオスマル・バルバと共に鉄壁のCBと評価されていました)。今シーズンは熾烈な残留争いからクラブを救い出し、ヨニッチ選手自身は2年連続でKリーグクラシックベスト11に選出。韓国で成功を掴んだ彼は、第二の新天地である大阪へ。
ユン・ジョンファン新監督が指名した可能性
今年の12月5日、セレッソ大阪に尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督の就任が決定。彼は選手時代に、優れたパスセンスと創造性でセレッソの攻撃を活性化させたレジェンドです。選手引退後に指導者に転身、2011年から就任したサガン鳥栖では、ハードなサッカーでサガン鳥栖をJ1で戦えるチームに鍛え上げました。その後、2015年から祖国の韓国にある蔚山現代FCの監督に就任、Kリーグで1シーズン戦いました。
今回のヨニッチ選手の加入は今までの外国人選手獲得と色合いが違う感じがします。それは、セレッソ大阪の外国人選手獲得は、突発的なケースが多かったという点です。近年はディエゴ・フォルランなどの監督に意向沿っていない補強を敢行し、チームの低迷を招いた要因になった例もあります。
今回は、監督就任後補強第一号としてヨニッチ選手の補強が発表されました。上記で今回の移籍が従来のものと色合いが違うというのは、ユン監督セレッソ就任後の翌日に仁川ユナイテッドから、「マテイ・ヨニッチ選手のセレッソ大阪に移籍」と発表されたことです。つまり、ユン監督就任前からヨニッチの補強も同時進行で行われていたことになります。恐らくユン監督が就任の条件で、ヨニッチ選手の補強を提案された可能性があります。さらに、蔚山監督時代に何度も対峙した同選手の獲得は、眼鏡が曇ったスカウティングとは思えません。ユン監督とヨニッチ選手のコンビが、セレッソに新たな違いを生み出すでしょう。