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南米人FWを彷彿させる!川崎FW大久保とガンバ大阪FW宇佐美の特殊能力

hirobrown

2016/05/28 20:52

2016/05/29 14:31

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NEWS

大久保嘉人_宇佐美貴史1
by CHANT

欧州各国リーグに君臨するアルゼンチン人FW

欧州王者を決定するUEFAチャンピオンリーグの決勝を残すのみとなった欧州サッカーのシーズン。その決勝は2年前と同様のマドリード・ダービーとなる、レアル・マドリードVSアトレティコ・マドリードになっています。レアルは今年初頭にサッカー史に残るレジェンドプレーヤーだったジヌディーヌ・ジダン氏が新監督に就任してチームを立て直しましたが、アトレティコはディエゴ・シメオネ監督が2011-2012シーズン途中に就任して5シーズン目になります。
アルゼンチン人監督のシメオネ監督は南米人選手を重用する事で、スペインリーグに「南米のチーム」が出来たかのような手堅いチームを作り上げました。今までにスペインにはない守備戦術、当然ながら欧州全土にも出回っていない南米型のチームの登場が近年のアトレティコの成功につながっているとも言えます。

パウロ・ディバラ
パウロ・ディバラ選手by GOAL.com

チーム戦術としての南米産はまだまだ輸入最中の欧州サッカーですが、選手単位では欧州全土に南米人選手は重宝され続けています。
毎年のように欧州各国リーグで得点王争いをするのは、リオネル・メッシ(バルセロナ/スペイン)選手、セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ/イングランド)選手、ゴンサロ・イグアイン(ナポリ/イタリア)選手というアルゼンチン代表のストライカー達です。
イタリアのユヴェントスでは元アルゼンチン代表のカルロス・テヴェス(現・ボカジュニアーズ/アルゼンチン)選手が昨季限りで退団した穴を、若きアルゼンチン代表のパウロ・ディバラ選手(上記写真)が埋め、今季も国内リーグの5連覇に貢献しました。

人口330万人の小国=ウルグアイ人FWも各国得点王の常連

MSN
by サッカーキング・オピニオン

また、アルゼンチンだけでなく、今季のスペインリーグではウルグアイ代表のルイス・スアレス選手が40ゴールで得点王を獲得。メッシ選手とレアルのクリスティアーノ・ロナウド選手の2人が過去6年間で3度ずつリーガの得点王を分け合っていましたが、7年ぶりに彼ら以外の得点王が誕生しました。
ちなみに、その7年前のスペインリーグ得点王も同じウルグアイ代表だったディエゴ・フォルラン選手(セレッソ大阪にも在籍)だった事や、3年前のイタリア・セリエA得点王を置き土産にパリ・サンジェルマンへ移籍したエディンソン・カバーニ選手も含め、ウルグアイのストライカー達もアルゼンチン勢に負けていません。人口330万人強の小国からこれだけの点取り屋が同じ時代に生まれてくる。東京都が1300万人超で大阪市が約270万人という人口では圧倒的に上回りながら、全く世界的な点取り屋が現れない日本からすれば羨ましい限りです。
また、バルセロナはアルゼンチン代表のメッシ(M)選手、ウルグアイ代表のルイス・スアレス(S)選手、ブラジル代表のネイマール(N)選手の南米3強国のエースFWが揃っていて、それぞれの頭文字を遭わせて「MSN」で有名です。それもスアレス選手が加入するまでは、チリ代表のエースFWアレクシス・サンチェス(S、現アーセナル/イングランド)選手が在籍しており、実はその頃から「南米3トップ」と「MSN」は始まっていたのです。
世界王者のドイツ代表にも欧州王者のスペイン代表にも確固たるストライカーが不在。今後は代表チームにはストライカー不要論も出そうな中、まだまだ欧州のクラブサッカー界では南米出身FWたちが重宝されています。

Jリーグ3年連続得点王の大久保、宇佐美にも共通する特殊能力

大久保嘉人_宇佐美貴史2
by SOCCER DIGEST WEB

上記に挙げた南米の本格派FWたちは、プレースタイルや得点パターン、スピードに違いはあれど、彼等は同じ特徴を持っています。彼等は全員がドリブルで自らがフィニッシュまで持ち込める、個人技からゴールを奪えるFWです。しかし、それ以上に相手DFをわざと抜き切らないで、相手DFをGKのブラインド(影)として利用したり、シュートコースがなくてもドリブルで揺さぶってから相手の股を抜くシュートを放つ事が出来る狡猾さが共通しています。南米人は欧州の選手のプレーを認めない事で有名なのですが、イングランド代表の主将FWウェイン・ルーニー(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)選手のプレーは称賛するそうです。そう、彼もDFの股を抜くシュートが得意な選手だからです。
彼等はDFにマークされていても焦りません。DFを抜く事による1対1をしているのではなく、まずGKと勝負している。GKを制してゴールするためにはDFを抜くのではなく、その存在を利用してやろうという考えがある。
さらにドリブル突破も出来る彼らはサイドに流れた場合はチャンスメイクも巧みなのですが、クロスも抜き切らずにGKや中央のDFの死角に入れて来ます。またはワンテンポ速くボールを供給できます。それは自分のマークを剥がすよりも、クロスの受け手とシンクロ(意思疎通)する事からアイデアを出しているからだと想像できます。

Jリーグで彼らと同じ感覚があるのは3年連続でJ1リーグの得点王に輝く前人未踏の領域に入っている川崎フロンターレの元日本代表FW大久保嘉人選手。今季も得点ランクトップのサンフレッチェ広島FWピーター・ウタカ選手と1点差の9得点を挙げており、4年連続得点王の可能性も感じさせています。そんな彼もMFをこなしていた時代もある事から、”一流の点取り屋”でありながら”一流のチャンスメイカー”。そして、ゴール前で相手にDFマークされても、その視線はDFではなくGKと勝負しているような表情をしています。
そして、ガンバ大阪の日本代表FW宇佐美貴史選手にもこの特殊能力の感覚があるでしょう。ただ、宇佐美選手の場合はチーム事情なのか?アデミウソン選手やパトリック選手へより自由が与えられる一方、宇佐美選手は左サイドでのプレーに固定されがちです。先日のサンフレッチェ広島戦では相手の右ウイングバックのミカエル・ミキッチ選手を警戒するためのダブルマーク要員として守備で勝利に貢献しましたが、同じ役割を同い年のネイマール選手が要求されたらどうなるでしょうか?
「日本人FWが育たない」のではなく、「Jリーグでは日本人FWが育たない」のではないでしょうか?それが大変残念です。

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