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J2アルビレックス新潟 低迷の真の原因とは

佐藤文孝

2018/08/15 11:50

2018/08/17 08:52

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NEWS

アルビレックス新潟は死んだのか。

J2リーグ19位と低迷が続く新潟は8月も中旬に差し掛かる中で苦境に立たされている。
一年でJ1への返り咲きを目標に掲げ今シーズンに挑んだ新潟ではあったが、蓋を開けてみるとここまで8勝5分け15敗の勝ち点29(第28節終了時)と、目論見は崩れ昇格レースから完全に後れを取った。

離脱、契約解除・・・迷走は繰り返される

そして先月末にはキャプテンの立場にあった磯村亮太が完全移籍でJ1のV・ファーレン長崎へ、さらには今月7日に成績不振により鈴木政一監督との契約解除を発表と、クラブを根底から揺るがす出来事が相次いだ。

チームキャプテンの移籍は4年連続、監督の途中交代は3年連続と、本来ならば「異常事態」であるはずの出来事がこのクラブにとっては「お家芸」になってしまった感は否めない。

ただ、今回は何れの事象も、これまで以上のネガティブな要素が感じ取れてしまう。

磯村亮太の移籍は繰り返された過去の例と違い、シーズン途中での事態である。出場機会が減ってきていたとはいえチームの先頭に立つべき選手がシーズン中にチームを去る事態は想像すらつかなかったと言っていいだろう。昨季、名古屋から移籍しシーズン最終盤まで中盤の要として新潟の立て直しのために力を尽くし、新たに今シーズンより主将を任されていた。
さすがに苦戦が続くシーズン真っ只中でチームを離れるとなると、単にJ1というステージを求めてという理由だけとは思えない。アルビレックス新潟というチームの内部においてキャプテンという役割は果たしてどのような立ち位置なのか、深読みをしてしまう(因みに磯村の移籍とほぼ同時期に副キャプテンであった渡辺奏広の移籍も発表されている)。
後任のキャプテンとして、昨年、サガン鳥栖から加入の小川佳純が選ばれている。

そして指揮官の交代についてもしかり。
3年連続となる監督交代、また片渕浩一郎ヘッドコーチが暫定的に指揮を執る形も例年と同様ではある。

クラブからの発表では詳しい期間が伝えられておらず、後任監督の発表は決定次第とされている。
片渕ヘッドコーチの暫定監督就任直後の試合ではホームで栃木SCに0-3の完敗を喫し、自身も「全て自分の責任」とコメントを残している。

昨年も暫定監督として臨んだ浦和戦では真っ向勝負を挑んだ結果、1-6と完膚なきまでに打ちのめされた。また、シーズン残り4試合を戦った一昨年は1勝3敗で辛くもJ1残留は果たしたものの試合内容や采配からは経験不足が露呈、指揮官としての限界を感じさせるものだった。

監督とともにチームの低迷の責任を負うはずのヘッドコーチという立場であり、片渕氏の指導力も疑問視される中で実に3度目の「ワンポイントリリーフ」起用となった。
片渕コーチ曰く、鈴木元監督の戦術をベースとして戦うことを公言したものの、栃木戦では完敗。
もはやチームの目標を「J2残留」に切り替えざるを得ない状況で新監督への繋ぎとはいえ、これ以上負けを重ねられない。今後はなりふり構わない戦いが求められる。無論、後任監督が決定したとしてもチームを根本から作り直すなど時間が必要であり、状況が好転する見込みは全くの未知数ではあるが。

今、アルビに求められることとは

様々な「不自然さ」がクラブ全体を覆っているアルビレックス新潟。
今からおよそ4年前、2014年最終節柏レイソル戦の試合後、ピッチ上で行われた大井健太郎主将(当時・現ジュビロ磐田)のサポーターへ向けての挨拶が思い出される。

「(翌シーズンについて)クラブがどこに目標を置くかわからないが選手は力を出し切るだけ」
ありふれた言葉ではあるものの、どこか違和感を感じてしまい記憶の片隅に引っかかっていたコメントだった。その後のクラブの動向を振り返ると、その違和感が何であるかが少しずつではあるが見えてきたような気がする。

そしてここ数年の迷走をやりきれなさと共に追ってきた中で一つだけ確信を持てる思いがある。

ベンチやグラウンドの顔触れが変わるだけではこのクラブが上向くことはない。
致命的な「病巣」とも呼べるものがクラブのどこかに潜んでいる。

それを取り除かない限り、アルビレックス新潟は何度でも過ちを繰り返していくことだろう。

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