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逆境から這い上がったアタッカー 江坂任

松尾陽介

2018/08/13 08:30

2018/08/12 22:29

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NEWS

江坂任
兵庫県三田市出身
1992年5月31日生まれ 26歳

江坂任。読み方はえさかあたる。
Jリーグ柏レイソルに所属するFWである。

柏のストライカーといえば、強烈なシュートを放つクリスティアーノやスピードスター伊東純也を思い浮かべる人が多いかと思うが、もちろん彼らも素晴らしい選手であることに違いはない。

しかし、今季ここまで(第22節終了時点)のチーム得点王は8得点を稼いでいる江坂だ。
彼が印象的なのは名前だけではないことを今回は紹介したい。

結果を出しても注目されなかったアマ時代

アマチュア時代の江坂は無名だった。
正確には、注目されていても獲得に名乗りを上げるクラブがいなかったと表現した方がよいかもしれない。
兵庫の強豪・神戸弘陵高校で10番を背負い、流通経済大学時代には総理大臣杯とインカレを制し、さらには得点王にも輝いている。
プロになるには申し分ない実績を持っているのだ。

「シュートセンスは確かにある。ただオフ・ザ・ボールの動きが良くない。」
それが大学時点での彼に対するプロの評価だった。
そのような評価を下された彼のもとにはなかなかJクラブからのオファーはなかった。

J2から太陽王の顔へ

ようやく届いたオファーはJ2ザスパクサツ群馬からだった。
前2014年シーズン18位に終わった群馬は、チームトップの14得点を挙げたダニエル・ロビーニョや青木孝太らの退団したこともあって、攻撃陣の枚数が不足していた。
そんな状況でプロ入りを懇願しているインカレ得点王がいたとなると、オファーを出さない手はない。
こうして、江坂はプロ入りを果たすこととなった。

群馬加入後の江坂は大爆発。
弱点だったオフ・ザ・ボールの動きを徹底的に磨き、42試合で13得点。押しも押されぬ群馬のエースストライカーとなった。
翌年には大宮アルディージャからの誘いを受け、念願のJ1クラブへの移籍を果たす。
背番号7を身に纏い、移籍初年度の2016年には大宮のクラブ史上最高成績であるシーズン5位に貢献した。
2017年まで大宮で過ごし、J1の舞台でもその名を轟かせると、2018年から現所属の柏レイソルへと移籍を果たす。
背番号は『10』。彼にとって高校以来の10番である。
柏の10番といえば、前年の大津祐樹をはじめ、大野敏隆やレアンドロ・ドミンゲスといったクラブの顔が着用していた番号である。
プロになることも危ぶまれた選手が、4年でここまで来るのだから人生は分からない。

気になる江坂のプレースタイルとは

彼の持ち味は何と言ってもその万能さにある。
柏では3トップの中央に位置することが多いが、ポジションにとらわれることなく積極的に中盤に降りてビルドアップに参加しゲームを組み立てることも多い。
もちろんゴール前の局面においても、空中戦の強さや強烈なミドルシュートを放てるだけの技術を持っている。
特筆すべきは左足。利き足とは逆の足のシュート精度である。
今季奪った8つのゴールの内、実に左足で奪ったのは4ゴール。実に半分が左足によるものである。
もはや左利きといっても誰も疑わないような成績だ。
中でも第4節G大阪戦で決めた1点目は圧巻だった。
利き足を囮に使う動きがここまで上手な選手がいままでいたであろうか。
多くの右利きのストライカーにとって手本となるプレーであったことは間違いない。

今後への期待

江坂のように、1つのポジション内でのプレーバリエーションが多く、『ポリバレント』な動きができる選手は少ない。
大幅な戦術・システム変更をせずとも、攻め方やリズムを変えることができる選手は相手にとって厄介であることこの上ないのだ。
特に相手戦術の情報が少ない国際舞台では、重宝することは間違いない。後出しジャンケンができるのだ。
そういうことから考えると、彼が日本代表に選出される日もそう遠くはないであろう。
柏のストライカーのプレーに今後も注目していきたい。

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