FIFAランク5位の強豪ベルギーと対戦した日本は0-1で敗戦、この結果欧州遠征は2連敗で終わることとなった。
Full-time | 1-0 #BELJAP #RoadtoRussia pic.twitter.com/rsXj6t0y8T
— BelgianRedDevils (@BelRedDevils) 2017年11月14日
ブラジル戦同様、ベルギー戦についても日本の有識者からは批判的な声が目立つが、そこまで悲観する内容だったのだろうか?
実際のところ筆者はそこまで悲観はしていない。課題はもちろんあるが、そこには大きな収穫もあった。
収穫1)粘り強く集中した守備
前回の記事に書いたが、ブラジル戦は3失点した前半でも前線や中盤でボール奪取に成功したシーンもあり、その守備に可能性を感じさせてくれた。
そしてベルギー戦では、後半途中まで無失点で相手を抑えることに成功。
確かにこの日ベルギーには攻撃のキーマン、E・アザールがいなかった。また、3−3でドローに終わった10日のメキシコ戦の後には中心選手であるデ・ブルイネが戦術批判とも取れるコメントを発するなど、ベルギーは現在絶好調のブラジルとは対照的な状況にある。
それでも、格上相手にある程度戦えるという自信を選手が得たことは大きい。
日本はシチュエーションに応じて前線からプレス、引いて守る守備を使い分けていた。実際のところ、前半にも両SBの裏を突かれるシーンは何度かあり決して鉄壁とは言えないものの、集中力もあり粘り強い守りを見せてくれた。
Catch me if you can always an honour to play for Belgium! pic.twitter.com/19S1A3KFv8
— Nacer Chadli (@NChadli) 2017年11月14日
一方、失点のシーンでは守備の人数は足りていたものの、シャドリの個人技で左サイドを崩された。また、日本は同サイドの選手を浅野から久保へと交代した直後でもあり、テスト采配が裏目に出てしまったのは残念だった。
収穫2)スタメンに躍り出たレッズ組
もう1つの大きな収穫は槙野と長澤の浦和コンビが活躍したこと。
FINAL| Bélgica 1-0 Japón. (Lukaku). #RoadToRusia #VamosJapón pic.twitter.com/Dj83O3i8gX
— Selección Japonesa (@SeleccionJapon) 2017年11月14日
槙野はACLで左サイドバックでの出場ながら、対峙した”ブラジル代表級”フッキを抑え込む活躍を見せるとその好調を代表でも維持。
吉田と昌子以外の即戦力が不足していたCB陣に30歳の男が急浮上、一気にスタメンを勝ち取り2戦とも安定したパフォーマンスを見せた。
一方の長澤は、監督交代劇によりレッズで出場機会を得るとインサイドハーフのポジションで躍動し、代表初招集。
代表デビュー戦となったベルギー戦は、前半から攻守によく顔を出し62分に交代するまで効果的なプレーを見せた。個人的に印象的だったのは守備より攻撃面で、強豪相手に臆することなくプレッシャーの中でも堂々とボールを運ぶ姿は目を引いた。
現状の中盤であれば、長谷部、井手口、そして3人目の選手として長澤の起用がベストかもしれない。
今回この2選手が躍動したことで、日本代表は層を厚くすることに成功した。
サッカーがつまらないという指摘
批判の中には「ハリルジャパンの試合内容が面白くない」という声も聞こえる。
確かに、ポゼッションと攻撃サッカーを志向したザッケローニ監督のサッカーに比べ戦い方は守備的だ。またちょうど4年前に同じベルギーと対戦し、この時は3−2で勝利しているだけに物足りないと感じてしまっても仕方ない。
ただ日本はこの1年後厳しい現実を突きつけられ、そこから世界のトレンドとも言える「堅守速攻」にスタイルを変える決断をしている。そしてそれは、日本のW杯ベスト8という目的を達成するためだ。
試合内容が悪い、という批判はともかく「つまらない」という批判は意味を持たない。
むしろ、完全に引いて守るのではなく、前線からボールを奪うことにもチャレンジしている点は評価すべきではないだろうか。
改善できなかった攻撃面
とはいえ、日本の攻撃面はブラジル戦同様、課題を残したままとなった。
W杯本番、ブラジルやベルギーのような強豪には無失点で引き分けで終えれば良いが、少なくとも他の2試合は勝利を目指さなければいけない。
大迫のポストプレーは日本の攻撃の形の1つだが、ベルギー相手ではほぼ通用しなかった。
また10月のキリンカップ、少ない収穫として「乾の途中起用」を筆者は挙げた。この日原口に代わって投入された乾は早速カットインからゴールを強襲するなど持ち味を見せた一方、それ以外の有効な打開策は日本に見られなかった。
スタメンは徐々に固まりつつある日本だが、今回招集外だった岡崎・本田・香川という選手の途中起用策も考えていく必要があるのではないだろうか。
また、前回も指摘した右サイドの課題もクリアできず。来月の東アジア選手権ではこのポジションの人材発掘が一番のテーマになりそうだ。
ちなみにTwitter上でアンケートを実施したところ、下記のような結果に。
日本代表の右サイドに期待したい選手は?
— 岩崎 充 (@Iwasaki18M) November 13, 2017
この記事を執筆している現在(11月18日)まだ投票中であるが、柏レイソルの伊東純也が50%以上の投票数を獲得。
リーチできたサッカーファンに偏りはあるかもしれないが、それでも伊東に対する期待の高さが伺える。
ワールドカップまで残り7ヶ月、ここからは攻撃面での改革に期待しよう。