Shooty

10年振りのアジア王者へ! 明日ACL決勝にJリーグと浦和のプライドを賭けて挑む浦和レッズ

扇ガ谷 道房

2017/11/24 20:14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

NEWS

世界一のサッカークラブを決めるクラブ・ワールド・カップは、各大陸王者が集う年末の決戦。
アジアのクラブチャンピオンとしてクラブ・ワールド・カップに臨むチームが明日埼玉スタジアムで決します。
今年のアジア二強に勝ち残っているのは、サウジアラビアのアル・ヒラルと、我等が浦和レッズ。
ちょうど10年前の2007年にJリーグクラブとして初のアジア王者の座を勝ち取った浦和レッズは、Jリーグ勢として初の二度目のアジア王者への挑戦でもあります。
決勝の1st Legは、アウェイのサウジアラビアで1対1のドロー。しかし、アウェイゴール方式を採用しているACLでは、浦和レッズの1点は2点の価値があり優位に立っています。

ミッションは90分で0対0以上の結果。然しながら相手のアル・ヒラルの攻撃力はAFCクラブ随一と言っても過言ではありません。
思い起こすのは初のアジア王者となった2007年11月の埼玉スタジアム2002での決勝2nd Legのセパハン戦と、今年の準決勝2nd Legの上海上港戦です。
ゲーム内容は後述致しますが、その原動力となったのは、埼玉スタジアム2002を埋め尽くした浦和レッズサポーターの熱の篭った応援に他なりません。
2017年11月25日19時15分キックオフ。埼玉スタジアムは満員御礼ですから、チケットの無い方は是非BS日テレで熱い応援をお願い致します。想いは届きます!
  

2007年11月14日埼玉スタジアム2002

浦和レッズが初のアジア王者に輝いたのは2007年11月14日。埼玉スタジアムのバックスタンドには赤いベースに巨大な白い星のコリオグラフィーが現れたこの日は、奇しくも埼玉県民の日でした。
この年、浦和レッズはACL全試合を無敗で制したのです。しかしこの当時の浦和レッズがディフェンシブなチームであった訳ではありません。攻守のバランスが取れて得点力もあるチームでした。
浦和レッズ史上最強のチームだったとの呼び声も高いメンバー構成でした。
鉄壁の守護神GK都築亮太元選手、ディフェンスの核は田中マルクス闘莉王選手(現・名古屋グランパス)、ボランチの核はチーム・キャプテン鈴木啓太元選手。司令塔はロブソン・ポンテ元選手。得点源はワシントン元選手。
現日本代表キャプテンの長谷部誠選手(現・フランクフルト)は攻撃的なMFとして活躍し、現浦和レッズキャプテンの阿部勇樹選手はジェフ千葉から移籍初年度、現在もサブに控える平川忠亮選手は右MFでスタメン出場していました。

攻守の切り替えが早く、得点させずに得点したいという両チームの想いが強く伝わる、見ごたえのあるゲーム展開がキックオフ直後から連続しました。
均衡を破ったのは前半22分、ポンテ元選手が右のスペースをついたボールに、オフサイドトラップを慎重に見極めて飛び出した永井雄一郎選手(現・ザスパクサツ群馬)が、目の覚める様な強烈なミドルシュートをゴールに突き刺したのです。極めて爽快な先制ゴールでした!
追加点は後半25分。左サイドから闘莉王選手の上げたクロスに、中央から流れたワシントン元選手が見事なトラップで中央に落とし、詰めていた永井選手がフリーでシュートを放ち、GKにはじかれたこぼれ球に阿部選手が頭で合わせてゴール。浦和レッズらしい見事な連携からの決勝点でした。

得点もさる事ながら、チーム全員が得点させじという高い共通意識を保持し、引いて守るのでは無く、攻めて守るという高いミッションをこなした結果と言える勝利でした。
Jリーグのお荷物とさえ言われた事のある浦和レッズが、アジアの頂点に立った瞬間でした。観客動員数59,034人。

2017年10月18日埼玉スタジアム2002

今シーズンのACLで最強と噂の高かった上海上港との決戦は2017年10月18日。
この難敵を倒さない限り、決勝には進めないという、必勝を期す試合でした。
1st Legは上海八万人体育場で1対1のドロー。然しながら浦和レッズの1点はアウェイゴールなので2点の価値。とはいえ、この日のゲームで上海に1点を許せばイーブン。つまり失点せずに引き分け以上というのが浦和レッズのミッションでした。
そして警戒するのは3トップのブラジル人トリオ。中でも屈強且つテクニシャンでもあるフッキ選手に仕事をさせない事が最大のテーマ。その役割は、日本代表DFの槙野智章選手が必死のマンマークで成し遂げてくれたのです。

槙野選手のみならず、浦和レッズイレブンのモチベーションは高く、得点させずに得点するというシンプルなミッションを貫徹する為に、高い意識統一が為されている事がプレイの随所に感じる事ができたゲーム内容でした。
結果、ラファエル・シルバ選手の貴重なゴールにより、1対0で勝利し、10年振りのACL決勝進出を成し遂げたのです。観客動員44,357人。

詳しくは筆者の既著「10年振りのACL決勝進出決定! 浦和レッズvs上海上港戦観戦記」をご覧下さい。
   

  

10年前との共通項

10年前のACL決勝戦と、今回の決勝戦は、浦和レッズにとって、極めて類似性の高い状況にある事がわかります。

1)1st Legの結果が1対1である事。ドローですが、アウェイゴールを決めている浦和レッズが有利な状況にあります。
2)2nd Legをホーム埼玉スタジアム2002で迎える事ができる事。今シーズン全勝無敗のホームで、相手を圧倒できる状況にあります。チケットは完売の見込みです。
3)司令塔が存在し、GKが神がかり的なスーパーセーブを連続している事。2007年は司令塔ポンテ元選手の大活躍とGK都築元選手のスーパーセーブが無敗の要因になりました。今年も柏木陽介選手という司令塔を擁し、GK西川周作選手は日本代表に復帰し、高いモチベーションでスーパーセーブを連発しています。
4)0点に抑えれば必然的に優勝という状況。勝利を目指す事が最大のミッションですが、失点しない事が最低限のミッション。
5)気候の違う中東のチームが対戦相手という状況。時差と寒暖差をハンディにできる強みがあります。アルハラルの方がコンディション調整が不利な状況にあります。
6)主審が2007年決勝をジャッジしたラフマン・イルマトフ氏。中東の笛と呼ばれる不可解な判定とは180度違う、極めて的確なジャッジ能力のある方で、浦和レッズにとっては験をかつげる幸運の主審と言えます。
7) ホームで無敗である事。2007年はシーズンを通じて無敗。今シーズンはホーム埼玉スタジアム2002で全勝無敗。 

この様に、10年前の決勝戦とこれだけの共通項があるのです。


by スタジアムデータベース

浦和レッズのミッション

有利な共通項がある一方で、脅威もなおざりにできません。
何せ相手のアル・ヒラルは、サウジアラビア国内リーグを14回制覇している、中東の雄なのです。
しかも、スタメンの大半は、日本同様にワールド・カップ出場を決めたサウジアラビア代表が占めているチームです。いわば、浦和レッズ対サウジアラビアA代表のゲームと言っても過言ではありません。
エースストライカーのオマル・ハルビン選手は、身長184cmで、今シーズンACL最多の10ゴールを決めている突出したストライカーです。
監督のラモン・アンヘル・ディアス氏は、かつての横浜マリノスのストライカーで、初代Jリーグ得点王。日本の事情に明るい監督です。
フィジカルの強さとカウンターという、今までの中東のチームの概念を覆す、ポゼッションとパス・ワークのサッカーを身上としています。

個々の選手は、足元のテクニックが高く、侮れません。1st Legでは、圧倒的なポゼッションで、シュート数は浦和レッズ6に対してアル・ヒラル15、コーナー・キックは浦和レッズ0に対してアル・ヒラル8。ゲーム内容では浦和レッズを圧倒していた感があります。
そこで2nd Legのミッションは、2007年11月14日のセパハン戦と、2017年10月18日の上海上港戦と同様に、得点させずに得点し、最低でも0対0以上でゲームを終える事に尽きます。
その為の戦術は、1st Legの反省から、前半の内からラインを上げて、より相手陣内でプレスをかけ続けて相手からポゼッションを奪い、攻撃時間を高める事が求められます。
又、日本代表の山口蛍選手や井手口陽介選手の様に、パスコースを察知しインターセプトしてカウンターを仕掛けることも大事な事です。

幸い、1st Legで出場できなかったCBのマウリシオ選手が出場する事になるので、ハルビン選手にはマン・マークを徹底し、現在急激に存在価値を高めている長澤和輝選手が、中盤のスペースを消して、パスカットからカウンターを仕掛ける事ができれば、チャンスは広がる筈です。
今シーズン、アウェイの1st Legで敗戦又は引き分けても、ホーム埼玉スタジアム2002では全勝無敗を誇っています。6万人を越すであろう浦和レッズ・サポーターの存在は、選手のミッション貫徹を必ずや後押しする筈です。

  

ラッキーボーイの存在と復調著しいGK

どんなチーム競技でも、大きな大会で勝利する時には、チーム内に大会のラッキー・ボーイ(ガール)の存在があるものです。現在の浦和レッズにおけるその存在は間違い無く長澤選手です。
直近の日本代表欧州遠征で、初めて代表に選出された25歳MFは絶好調です。まだ長澤選手をご存知無い方は、筆者の既著「シンデレラボーイの誕生か!代表初選出の浦和レッズ長澤和輝選手」をご覧下さい。

AFCのWEBサイトに取り上げられている事からも、その存在価値が俄かに高まっている事がおわかりになると思います。

又、GKの西川選手が好調なのも心強いポイントです。今シーズンのJリーグでは、前半戦にミスが重なり失点を重ねる事が多く、日本代表からの遠のいてしまっていました。しかし、リーグが進むにつれて徐々に調子を上げて、直近の欧州遠征では日本代表に返り咲きました。

アル・ヒラルとの1st Legでは、スーパーセーブの連発で、西川選手のスーパー・セーブが無かったら、1st Legで敗戦してかもしれません。
ラッキー・ボーイの存在と、復調した守護神は、雌雄を決するビッグ・ゲームで、必ずや活躍してくれる筈です。

10年前を知るキャプテン阿部選手と平川選手、決勝まで一丸となって闘って来た選手全員、6万人のサポーター、テレビの前で想いを込める視聴者の皆さん。
全てを結集し、プライドをかけた戦いは、2017年11月25日19時15分キックオフです!
We Are Reds !

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう