3月から約6ヶ月間の間に行われたアジア最終予選の後半戦。日本は最終節を待たずにワールドカップ出場の切符を手に入れ、首位でB組を勝ち抜いた。
この5試合の戦いぶりを改めて振り返り、来年のワールドカップに向けた日本代表の課題と改善プランを提言する。
前半は久保、後半は井手口が主力として台頭
またチームで活躍できるように頑張ります!! pic.twitter.com/3YDH7WyVNk
— KUBO YUYA / 久保裕也 (@k15189312431y) 2017年3月29日
3月23日 2-0 ○UAE(アウェイ)
負傷の長谷部の代役として抜擢された今野と、アンカー+インサイドハーフ2枚というシステムに注目が集まった試合。またイタリアで存在感を失った本田の代わりにベルギーで躍動する久保がスタメン出場した。
監督のこの采配は見事に的中、今野は守備でキーマンを封じつつ1ゴール、久保も1ゴール1アシストと結果を残した。
他にはDFの吉田、FWの大迫も素晴らしい内容で、代表の攻守の軸として確立した試合になった。
3月28日 4-0 ○タイ(ホーム)
今野と大迫が負傷離脱。今野の代わりに酒井高徳をボランチ起用、大迫の代わりに岡崎を起用。システムもWボランチの4−2−3−1へ変更した日本代表。
この日は采配が裏目に出た日本、ホームで格下相手ながら攻撃の形が作れず逆に再三ピンチを招く試合内容。
結果として大勝出来たのは、1ゴール2アシストを記録した久保による個人の力による部分が大きかった。
6月13日 1-1 △イラク(アウェイ)
直前に行われたシリアとのテストマッチで途中出場し安定したプレーを披露した井手口を先発でボランチ起用。さらに相棒として遠藤航を抜擢。
さらに2列目は左から久保、原口、本田を並べる奇策采配。また、最終ラインは鹿島で圧巻のプレーを見せる昌子が先発出場を果たした。
試合は井手口、酒井が負傷交代、さらに久保も試合終盤に負傷するアクシデントにも見舞われ悔しいドロー。多くの課題を残した一方、収穫は井手口と昌子が主力として目処が立ったこと。
8月31日 2-0 ◯オーストラリア(ホーム)
アウェイでの強豪サウジ戦の前にW杯進出をホームで決めたい大一番。
精神的支柱の長谷部が待望の復帰を果たすと中盤はアンカーに長谷部、インサイドハーフに井手口と山口を起用。また両サイドは乾と浅野を先発起用するサプライズを用意した。
パスサッカーを展開するオーストラリアに対してカウンターがハマった日本。W杯本戦にも期待が持てる内容でライバルを退けることに成功した。
9月5日 0-1 ●サウジアラビア(アウェイ)
日本にとっては貴重なテストマッチとも言える試合は、長谷部と香川がコンディション不良により離脱。柴崎、本田、原口、岡崎が先発で出場した他、システムは前節同様4−1−2−3で臨んだ。
後半からギアを上げたサウジに先制を許した日本は杉本、久保を投入するも効果的な攻撃は見せられず敗戦に終わった。
<5試合の総括>
もはや定番となったハリルホジッチ監督による試合毎の先発の入れ替え。
この後半戦ではUAE戦とオーストラリア戦ではハマった一方、タイ戦とイラク戦では失敗と言える内容だった。
勝たなくてはいけない試合が続く中で危ない橋を渡った印象だが、結果として久保や井手口、昌子といった選手が主力として台頭した点はプラス材料だ。
日本代表の弱点となり得る左サイドバック
吉田と昌子以外の選手に経験が不足しているCB、代役不在のベテラン長谷部のポジション、調子が上がらない久保と本田のいる右サイドなどいくつかのポジションに課題を抱えている日本代表。
そんな中でも筆者は左サイドバックを一番の懸念点として挙げたい。
後半戦もこのポジションで出場した長友はオーストラリア戦の他、テストマッチのシリア戦でもアシストを記録。攻撃面で一定の結果は残しているものの、守備面での不安は拭いきれない。
サウジアラビア戦では後半55分、対峙したアルムワラドへの対応を誤り大ピンチを招いた。オースラリア戦でも裏のスペースを突かれるシーンが見られ、やはり相手に決定機を与えている。
対オーストラリア戦で言えば、かつてアジアカップ決勝で左サイドを制圧し日本を優勝に導いたプレーと比較すると、あの頃のような圧倒的な強さは鳴りを潜めている(個人的にはスパレッティの元で復活を期待しているが)。しかしながら、現在の日本代表には長友を脅かす他の選手がいないのもまた事実。
このポジションの新戦力としては、両サイドをこなす現日本代表の酒井高徳の他、川崎の車屋紳太郎、清水の松原后といった選手が今後さらに飛躍してくれることに筆者は期待している(本当は札幌のレフティCB福森晃斗選手も挙げたいのだが彼についてはまた後日執筆したい)。
現在の戦力での希望スタメン
今後本戦に向けたテストマッチが控える日本代表。筆者としては長谷部をリベロに添えた3バックを是非テストして欲しいと願っている。
現戦力でのベストな布陣を考えるならば、3-6-1は面白いオプションではないだろうか。
左ウィングバックは長友ではなく原口を起用。最終予選後半では攻撃よりも守備での貢献が光った同選手に期待したい。
久保は昨シーズン、ヘントで起用された1.5列目のポジションでの復活を期待。
現在のシステムのままで臨むケース。左SBは車屋らの台頭を待ちつつ、現時点では原口をSBへコンバートする案を提言したい。
前線の左は代表で出場機会に恵まれずもマインツで存在感を発揮している武藤、そして右は3−6−1のシステム同様、清武の華麗なる復活を期待している。
このメンバーに加え、中盤はC大阪の山村や横浜Fの扇原、DFラインは前述の車屋や松原といった選手たちが今後も活躍し代表入りすることを筆者は期待している。