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[日本VSベルギー]世界から賞賛された日本 長期的な視点で代表強化を

岩崎 充

2018/07/04 07:10

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NEWS

史上初のベスト8進出へ。ポーランド戦で6人の主力を休ませることに成功した西野ジャパンは、万全の状態でベルギーを迎え撃った。

ベルギーを脅かした日本の攻撃

試合は開始1分、香川が左足で放ったファーストシュートで幕をあける。

日本の守備は中盤からプレス仕掛け、ラインをコンパクトに保つ。
攻撃では前から奪いに来るベルギーのプレスをいなし、ベルギーMFとDFの間のスペースうまく突き大迫・香川にボールを収め攻撃を展開。
FIFAランク3位の強豪を相手にも引いて守らず、宣言通り主導権を握るサッカーで真っ向勝負を挑んだ。

乾のキープ力を軸に、香川と長友が積極的に絡み左サイドから打開を図る日本だが、20分過ぎからは徐々にベルギーのペースへ。

24分に右サイドに開いたメルテンスからのグラウンダークロスにルカクが合わせるが、うまくミートせず難を逃れる。
2分後にはアザールのミドルシュート、さらにCKからコンパニにフリーで合わせられるなど日本にピンチが続いた。

劣勢の状況を耐える日本は43分、長友のグラウンダーのクロスを大迫が触りそのままGKクルトワへ。クルトワがまさかの”トンネル”も再度ボールを追いかけゴールを割らせない。

狙い通りの0−0で後半を迎えた日本。

後半早々ボールを保持し攻めの姿勢を強めたベルギーだが、自陣で乾がムニエからボールを奪うと柴崎へとパス。前を向いた柴崎が浅いベルギーDFラインの裏にスルーパスを通すと、走り込んだ原口が右足でゴールを決めて日本が先制。

まさかの失点でギアを上げて攻めるベルギーだが日本もひるまず攻撃を仕掛ける。
すると6分、ペナルティエリア手前でクリアボールを拾った香川が乾へバックパス。ノープレッシャーの乾は迷わず右足を振り抜くと無回転シュートがサイドネッドに突き刺さり日本が2点目。

その後も守備がハマらないベルギーに対して日本が効率よく攻める展開が続く。

しかしベルギーは19分、フェライニとシャドリを同時投入すると流れを変えることに成功する。

23分、フェライニのポストプレーから右サイドのムニエのクロス。ルカクが合わせるが吉田がブロック。
しかし1分後、CKの流れから高く浮き上がったボールをDFフェルトンゲンがヘディング。ボールはループ気味だがドライブ回転がかかっており、鋭く逆サイドへ落ち日本のゴールを破る。

28分にはまたもCKの流れからアザールが左足でクロス、これをフェライニにヘッドで合わせられて同点。

対する日本は柴崎と原口に代えて、山口と本田を同時投入。

中央寄りにポジションを取る本田は38分、香川からのパスを受けペナルティエリア内でシュートを放つ。
ベルギーもムニエのクロスにシャドリのヘッド。さらにシャドリからのクロスにルカクがヘディングシュートを放つがGK川島が連続セーブで凌ぐ。

ロスタイム、コンパニが大迫を倒し日本がFKを獲得。本田の放った左足の無回転シュートは枠を捕らえるがクルトワが落ち着いてセーブ。
CKを獲得した日本だったが本田のボールはクルトワにキャッチされるとベルギーは素早くカウンター。

スピードに乗ったドリブルで持ち上がるデ・ブルイネ。ルカクが中央へ流れて開いたスペースへ走り込んだムニエへボールが渡る。ムニエがダイレクトで折り返すと中央のルカクが冷静にスルー。最後はシャドリが合わせて土壇場でベルギーが逆転。

試合はこのまま終了。日本は優勝候補を追い詰めるも力及ばず、ベスト8の夢は打ち砕かれた。

批判を浴びた失点シーンの山口の対応

最後のカウンターからの失点シーンについて、国内の視聴者を中心に山口螢の対応に批判が殺到している。
ボールホルダーであるデ・ブルイネに詰める訳でもなく、パスコースの限定もできず中途半端なポジションで無力だったというのが主な意見。

山口螢

上記はデ・ブルイネが右サイドのムニエへパスを出す直前のシーン。
ご覧の通りこの時点でベルギーの5選手に対して日本は3選手と数的不利にあり、山口はディレイにより味方の帰陣を待つことを選択した。

ボールホルダーのデ・ブルイネと下がっていた山口の間には距離があり、いかに山口が素早く詰めたとしても攻撃を止められる可能性はゼロに近い。

またここまでワイドにベルギーの両サイドが広がってしまってはパスコースを限定することは意味をなさない。

残念ながらあの状況を作ってしまった時点で日本はノーチャンス、山口螢選手を非難するのはあまりにも酷だ。

今大会の総括

大会2ヶ月前の監督解任劇という逆境の中で日本はグループステージを突破。
さらに優勝候補のベルギーを攻撃的な姿勢で苦しめ、そのサッカーは世界から賞賛を浴びている。

西野監督は短期間でチームを良く仕上げ、選手のモチベーションを引き出した。
また受け身でなく、自分らが主導権を握るサッカーを展開。特に香川を中心に3列目の柴崎、左サイドの乾という魅惑の攻撃ユニットを生み出した点は評価に値する。

一方で試合開始早々相手に退場者が出たコロンビア戦を除き、11人の相手には一度も勝てず。全試合失点した通り、守備面では強度はなかった。

また、キャプテンとして長きに渡りチームを牽引した長谷部はすでに代表引退を表明。そして今大会主力としてプレーした選手の多くは4年後にはピークを過ぎる。

個の力でも世界と渡り合えるという自信を得た一方、未来については決して楽観視できない。

今回の解任騒動や大会結果を踏まえ、サッカー協会には長期的な視点での代表強化の着手を望みたい。

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