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東京ヴェルディに初のヨーロッパ人指揮官がやって来た。名門クラブ再建を任されたミゲル・アンヘル・ロティーナ監督

扇ガ谷 道房

2016/12/01 20:43

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NEWS

ブラジルカラーからの脱却

東京ヴェルディに初めてヨーロッパ人監督の就任が決まった事は、ある種驚きの感があります。それは、読売クラブ時代から圧倒的にブラジル色の濃いクラブだったからです。
このクラブの監督就任にはある法則があります。Jリーグが始まった1993年から現在までの24年間を三分割してみるとその傾向が良くわかります。
第一分割期はブラジル人監督が歴任し、第二分割期は試行錯誤し、第三分割期はクラブOBの日本人監督が歴任しています。
外国籍選手もブラジル人選手が圧倒的に多く、それ以外でも三浦知良選手はブラジルでプロになった選手であり、ラモス瑠偉さんはブラジルから日本に帰化しているなど、チームカラ―はブラジル的なクラブと言えます。
そのクラブがヨーロッパ人監督を招聘した事は、何かを変えたいと言う現れに他ありません。現在の低迷状態から、大きく転換を図りたい狙いがあると思われます。

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守備を重視するロティーナ監督のサッカー

新監督のロティーナ監督はスペインのビスカヤ県出身の59歳のサッカー指導者です。
1976年にCDムンギアというクラブでプロサッカー選手としてのキャリアを開始して、1988年に現役を引退しました。
その後1990年CDログロニェスBで監督業を開始してから現在まで、主としてリーガ・エスパニョーラのクラブを歴任しているキャリアのある監督です。
監督実績としては、RCDエスパニョール監督時代にコパ・デル・レイ(スペイン国王杯と呼ばれるスペイン最古のサッカー大会)で優勝を果たしています。
一方で、2007年レアル・ソシエダ、2011年デポルティーボ・ラ・コルーニャ、2012年ビジャレアルCF監督時代に、合計3回クラブを2部に降格させている事から、スペイン国内では”降格将軍”とも呼ばれているという事実があります。
守備を極端に重視するサッカーを展開する監督として知られ、デポルティーボ・ラ・コルーニャ時代には、スペインでは珍しい5バックを採用して徹底的に守りを固める戦術を採用しましたが、極端に攻撃力に欠けて結局2部に降格したという言われがあります。
低迷する東京ヴェルディを再建する為、先ずは負けないチームを作り上げる目的で、守備重視のロティーナ監督を招聘したと思われますが、スペインでの過去実例からすると、得点力とのバランスを持ったチーム作りができるのか、不安は残ります。
しかし、クラブの意志を感じる事はできます。ブラジルスタイルの東京ヴェルディが、守備重視のスペイン人監督を就任させた意味の真価が、来シーズン問われています。

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うまいのになかなか勝てないジレンマ

ボール保持率はリーグでもトップクラスで、戦術的にはつないでくるスタイル。個々の選手はみんなうまいし、それでいてよく走る。スプリント回数もウチの1.5倍位のデータを残している。警告や退場者数も多いが、それも戦っているという証拠だろう。

こう語るのは、松本山雅の反町監督。格上チームの監督からみた東京ヴェルディ評です。
仰る通りのチームが東京ヴェルディだと筆者も思います。しかし、今シーズンの成績は10勝13分19敗の18位。最下位ギラヴァンツ北九州が8勝14分20敗ですから、東京ヴェルディの戦績は言わずもがなで、決して好成績とは言えません。
悪いチームではないのに成績が伴わない。これが今の東京ヴェルディの最大の課題です。得点への執念、盤石な守備、相手を翻弄する戦術パターンなど、課題は見え隠れしています。
来シーズンから指揮を執るロティーナ監督は、先ずは守備的に戦う事が予想されます。あれもこれもという課題設定での改革よりも、一点に特化する手法がどうはまるのかが見ものです。

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Jリーグ創世記に2連覇した華麗なる東京ヴェルディが、どう変わって上位を狙うのか、来シーズンのロティーナ体制が楽しみですね! 

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