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隙が無い!今季の浦和レッズの強さは本物か?

扇ガ谷 道房

2016/05/13 20:00

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NEWS

浦和レッズの勝利が止まらない。今季のJリーグは筆者が執筆している現在までで11節が終了。浦和レッズはACLに出場している関係で1節少ない状態で8勝1分1敗の勝ち点25で首位。第2節でジュビロ磐田に敗戦して以来負けがありません。
AFCチャンピオンズリーグは、昨年のアジアチャンピオンの広州恒大を1勝1分で抑えてグループHを2位で通過しラウンド16に進出。2007年以来のアジアチャンピオンを目指して次のステージに進出です。
昨年のJリーグも1stステージを無敗で優勝していましたが、今年の浦和レッズは更に進化して盤石に見えます。その強さは本物でしょうか?

浦和レッズ1
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超攻撃的3トップ

第11節までの浦和レッズの得点は合計18得点。そのうち13得点をKLMトリオと今季から呼ばれている3トップで得点しています。
ワントップの興梠慎三選手、シャドーの武藤勇樹選手と李忠成選手の3人です。

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そして今シーズン絶好調の柏木陽介選手が3得点。浦和レッズの総得点の大半を4トップと司令塔で決めています。
KLMトリオと呼ばれる3人は、運動量が豊富で、しかもワンタッチのパスワーク、ポストプレイ、トリッキーな仕掛け等の個人スキルが高く、又ゴールへの執着心が高いのです。
この3人をボランチから統率する柏木陽介選手、そしてサイドから切り込む右の関根貴大選手、左の宇賀神友弥選手が有機的に連動して、相手チームを翻弄するシーンを多数演出しています。
この攻撃的な布陣と共に、個々の選手の状態が極めて良好な為、近年の浦和レッズの中で最も良い状態を保っています。

浦和レッズ2
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開花した司令塔

今季際立った活躍をしているのはKLMトリオだけではありません。浦和レッズの背番号10、司令塔の柏木陽介選手も例外ではありません。
ハリルホジッチ体制になってから日本代表に定着している事でも象徴していますが、心身共に充実した状態にあると言えます。
ボールの保持能力、ゲームを司る戦術眼、適格なスルーパス、精度の高い左足からのシュート能力、そしてタフな運動量は、サンフレッチェ広島時代から有名でした。
しかし、浦和レッズでその能力がチームに完全にフィットしているとは言えない状態が続いていました。監督やポジションが定着しなかった事もその要因でした。
ところがミハエル・ペトロヴィッチ氏が監督に定着して、昨年からボランチに完全定着してからというもの、中盤の底からゲームをビルドアップする能力が開花しました。
その結果として、今季は定着したKLMトリオの能力が、柏木陽介選手のゲームコントロールによって一層引き立って得点を重ね、チームも首位の座を守っていると言えます。

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安定感を増したDF

今季の浦和レッズにも新しい戦力が加わりました。中でもセンターバックの充実はここ数年毎年強化が叫ばれていた中で、実現できていない課題でした。ここにU-23日本代表の遠藤航選手が加わった事で、飛躍的に守備が安定しました。
超攻撃的なミハエル・ペトロヴィッチ監督の戦術では、時として守備で破たんをきたしていました。過去数年間で浦和レッズはリーグ終盤まで首位に立ちながら、最後の最後に優勝を逃すシーズンが続きました。要因は様々ありますが、守備の破たんと最後の執念不足が指摘されて来ました。これが今シーズンは改善されたのです。
遠藤航選手は湘南ベルマーレから今季浦和レッズに移籍したニューカマー。ですが、シーズン前半というのにチームにフィットし新加入選手とは思えない位に定着しています。それこそが遠藤航選手の能力の高さを言って良いでしょう。
U-23日本代表主将としてのスキルは浦和レッズでも存分に活かされています。動じない。若手Jリーガーというのに、臆する所がない。相手の攻撃に対する距離の取り方が抜群で、身体能力も高く、フィードのスキルも高い。
攻撃を構築する柏木陽介選手、DFながら攻撃参加を求められる槙野智章選手と森脇良太選手の一方で、デイフェンシブな仕事を徹底するのは、もう一人のボランチであるキャプテン阿部勇樹選手とセンターバックの遠藤航選手。
この二人の沈着冷静なディフェンス能力があってこそ、攻撃的な浦和レッズが構成されているのです。

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代表GK

浦和レッズのGKは西川周作選手。現日本代表正GKです。最後の砦を護っているのは日本の守護神なんですから、現在Jリーグで最少失点もうなずける筈です。
西川周作選手の特徴はバランスの良さ。1対1の強さ、キックの精度、キャッチから攻撃への転換の速さ、適格なコーチング、周囲に不安を与えない人格、全てに高い能力がある点です。
中でも筆者が評価しているのはフィード能力です。つまり、キックの精度とボールキャッチから攻撃への転換の速さです。これは群を抜いています。
左右両足でキックする事ができて、その上で寸分違わぬ精度の高いキックを蹴ります。相手の攻撃からボールをキャッチすると、瞬時に攻撃パターンを判断してフィードします。あっと言う間にボールは自チームの攻撃陣に渡っているのです。
そしてファンにはたまらないのは、ピンチであっても必ず爽やかな笑顔で微笑んでくれること。ピンチだったのにまるで何も無かった様に平然として微笑んでくれるのです。
あの笑顔が多くのファンの気持ちをつかんで離さないのです。

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豊富な人材

そして特筆すべきは、浦和レッズの選手層の厚さです。これまでに名前を出した選手は浦和レッズのほんの一部。
スタメン以外の選手でもう一つチームを作ってもJ1でチームができるレベルの選手が控えています。
興梠慎三選手とスイッチしてワントップを張るズラタン選手。シャドーの石原直樹選手、高木俊幸選手。この3人はKLMトリオの向こうを張ってZITトリオと自称しているようです。
バランスの取れたベテラン梅崎司選手、京都サンガFCから今季移籍して来たドリブラー駒井善成選手、クローザー・ボランチの青木拓矢選手、闘将DF那須大亮選手、チーム最古参の平川忠亮選手などなど。
誰がスタメンで出場してもほぼ同じレベルの力量がある選手が控えていることで、浦和レッズのチーム力は常に高いレベルで競争しあっています。
一方でチーム内で競争しあいながらも、和気藹々とした明るく健康的なチームカラーがあります。

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背番号12

そして最大のパワーの源。背番号12。埼玉スタジアムで、アウェイの各地で、熱烈にチームを鼓舞する浦和レッズのサポーターの揺るぎない応援です。
Jリーグ最大と言っても良いパワーを有する浦和レッズのサポーター。彼らの熱烈でサッカー愛に満ちた応援が、サッカーの街浦和のサッカークラブの力を更なる高みへ舞い上げてくれているのです。

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フロントの判断

最後に、クラブ最長の契約となったミハエル・ペトロヴィッチ監督体制があります。
ミハエル・ペトロヴィッチ監督の攻撃的な戦術が開花したのは間違いありません。
その上で特筆したいのは、クラブ最長の監督契約継続を決断している浦和レッズのフロントの判断です。
サッカー界では、結果が出ないとすぐに監督が更迭される傾向があります。そんな傾向の中で、ミハエル・ペトロヴィッチ監督にチームを任せる決断をしているフロントの経営判断も特筆しておかなければなりません。
サッカーの戦術を完成させるのは時間がかかるのです。堪え切れないクラブが多い中で、浦和レッズは監督と選手を信頼しているからこその結果を出していると思うのです。

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これが今季の浦和レッズ。隙が無い。本物だと思いませんか!

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