28日に行われたプレミアリーグの大一番では、世界屈指のハイレベルな戦いにもかかわらず、基本中の基本とされるプレーに注目が集まった。
開幕2連勝のリヴァプールとアーセナルによる注目の一戦は、敵のミスからアーセナルが先制するも、最終的にはリヴァプールが王者の貫禄を見せつけて3-1で逆転勝利した。そんな世界最高峰の選手たちが火花を散らした同試合で、思いもよらない基本的なプレーが話題となった。
The points belong to Liverpool tonight.
🔴 3-1 ⚪️ (FT)#LIVARS
— Arsenal (@Arsenal) September 28, 2020
それは“スローイン”である。右ウィングバックとして先発フル出場したアーセナルのエクトル・ベジェリンが、ファウルスローを取られたのである。前半23分、自陣深い位置で同選手がスローインを投げると、クレイグ・ポーソン主審がファウルスローを取ったのだ。
競技規則には「頭の後方から頭上を通して両手を用いてボールを投げなければならない」とあり、確かにベジェリンは軽く味方に渡すために、“頭の後方”というよりは“頭上”からボールを落とすように投げた。だから厳密に言えばファウルスローなのだろう。
しかし、問題はそれだけではなかった。後半33分、再びベジェリンがスローインを投げると、それもファウルスローを取られたのである。前半同様に、頭上から落とすようにして投げたことが原因だと推測される。
しかし、プロのレベルで、しかも世界最高峰のプレミアリーグで審判が厳密にファウルスローを取るのも珍しい。そのため英紙『The Sun』によると、ベジェリンは「なぜだよ? 俺は昔からずっとこうやって投げてきたぞ!」と審判に噛みついたという。
少しベジェリンに同情したくなるが、いずれにせよ、珍事であることに変わりない。データなどを扱う『WhoScored.com』によると、プレミアリーグで同じ選手が1試合に2回以上のファウルスローを犯すのは2年ぶりのことだという。2018年8月のマット・ドハティー(当時ウルヴズ所属)以来のこと。そのため『WhoScored.com』は、その事実をツイートしたあと「草サッカー」とベジェリンを揶揄した。
Lovely start to my 10th season as an @arsenal player ❤️ pic.twitter.com/3hD5Nj32uW
— Héctor Bellerín (@HectorBellerin) September 12, 2020
アーセナルの敗因は“ファウルスロー”ではなく実力だと思うが、それでもこういった些細なことが積み重なり、最終的に勝敗を分けるのかもしれない。事実、リヴァプールは2018年にスローイン専門コーチを雇い始めて以降、チャンピオンズリーグとプレミアリーグを制しているのだ。
ちなみに、プレミアリーグ最近10年間で1試合における最多ファウルスローは、トッテナムのセルジュ・オーリエが2018年2月に記録した3回だという。そういえば、ドハティーも今季からスパーズに所属している。どうやら“ファウルスロー”はノースロンドンに蔓延する病気のようだ……。