2018年11月06日UEFAチャンピオンズリーグ 2018-19」グループステージ第4節、ナポリのFWロレンツォ・インシーニェとパリ・サンジェルマンのDFフアン・ベルナトが1ゴールずつを奪い合い、1ー1の引き分けに終わった。
スターティングメンバー
ダビド オスピナ;
ニコラ マクシモビッチ、ラウール アルビオル、カリドゥ クリバリ、マリオ ルイ;
ホセ カジェホン、アラン、マレク ハムシーク、ファビアン;
ドリース メルテンス、ロレンツォ インシーニェ
ジャンルイジ ブッフォン;
マルキーニョス、チアゴ シウバ、ティロ ケーラー;
トマ ムニエ、アンヘル ディ マリア、マルコ ヴェッラッティ、ユリアン ドラクスラー、フアン ベルナト;
キリアン エムバペ、ネイマール
ナポリの守備ブロックの狙い
ナポリのボール非保持は4-4-2で、プレッシングの開始ラインはハーフウェイラインである。前任のサッリが4-3-3だったのに対して、アンチェロッティは右WGのカジェホンを1列下げ4-4-2で守備ブロックを敷くことでバランスを取っている。
アンチェロッティは選手時代、またアシスタントコーチとして、ACミランやイタリア代表でアリゴ・サッキのもとで学んできた。よって4-4-2を得意としてきたが、強豪クラブを渡り歩く中で攻撃的な選手を最大限配置してバランスを取る大会の専門家として知られている。その代表例がディ・マリアであり、対戦相手のPSGでもそのような役割を担っている。
PSGのボール保持は3-2-5で、ドラクスラーがヴェッラッティの左脇にポジショニングする。ディ・マリアが右ハーフスペース、ネイマールが左ハーフスペースで両WBが大外のレーンで横幅を取る。3-2のビルドアップ隊に対して、ディ・マリアとネイマールが時々FW-MFライン間に降りてボールを受け取って前進を試みたが、守備ブロックが整っている状況では個人技で状況を打開することは難しかった。
ナポリは守備ブロックの内側、すなわち中央のルートからの攻撃を警戒していた。1列目は3バックから中盤へのスペースを埋め、中盤にパスが入るとプレスバックで挟み込む。両WGはハーフスペーススクエア(CB、SB、WG、CMの四角形)へのパスコースを切り、相手に守備ブロックの外側でプレーさせるようにした。
PSGがチャンスを作り出したのは、エムバペの裏抜けによるものが多かった。ディ・マリアやネイマールがボールを持った時にチャンネル(CB-SB間)を突撃し、死角を突いたりスピードに劣るCBとマッチアップするように強いた。
PSGの先制点は、ネイマールが守備ブロックの外側、大外レーンでボールを受けた時に、カジェホンがマッチアップでベルナト対マクシモビッチとなる。この時にエムバペがチャンネルを突撃してCBを引き出し、こぼれ球をアンダーラップ(ハーフスペース突撃)したベルナトが押し込んだ。
PSGのボール非保持
PSGのボール非保持は5-3-2で、高い位置からプレッシングした。プレッシングの目的はGKに戻させること、ロングボールを蹴らせることである。ボール保持者に対して時間とスペースを奪うほど寄せることはないが、縦の選択肢を消すようにポジショニングする必要がある。マルキーニョス、チアゴ・シウバ、ケーラーの3バックでナポリの前線に対してボールを回収できると考えたからである。何度か不用意にボールを明け渡してチャンスを作られたが、合理的と言えるだろう。
自陣での守備ブロックでは、5-3で守ることになる。ネイマールとエムバペのようなスペシャルな選手(守備をしない選手)がいることで、後方に負担がかかる。よって守備ブロックの外側に関しては相手にある程度自由を与えることになる。
両チームとも、ボール保持を好むチームだが、相手からボールを何としても奪い取りたいという意思はない。ナポリは指揮官の交代による守備ブロック構築の優先により、PSGの場合はスペシャルな選手との兼ね合いによる。トランジションにおいてカオスを避け、定位置局面を作ることによって、インテンシティの低い前半となった。
ナポリの後半と間延び
後半開始からナポリが積極的にプレーした。左サイドでインシーニェ、ハムシーク、ファビアン、マリオ・ルイがオーバーロードを作って攻撃を仕掛け、右サイドではマクシモビッチやカジェホンがアイソレーションから仕掛けた。DF-MFライン間に多くの選手を送り込み、インシーニェのPKによる同点弾まで多くのシュートを放った。
一方PSGは、前掛かりになったナポリに対してネイマールやエムバペがスペースを得てカウンターアタックを仕掛けた。特にナポリが左サイドでオーバーロードを作ったため、逆のハーフスペースでネイマールがボールを収めることができた。またエムバペも縦への推進力を見せたが、PSGはナポリの攻撃に対して間延びしてしまい、2トップが孤立してしまっていた。
ナポリは同点に追いつくと、前掛かりな攻撃を止め、前半のような守備的なプレーに戻った。グループステージの面々を考えると理解できる。その後は1、2列目が間延びしたまま試合が終わり、勝ち点1を分け合った。
The way Napoli started the second half was truly spectacular, as they constantly barraged PSG's penalty area. It comes off nice in this xG-plot as well. pic.twitter.com/V7gAccjUrk
— Between The Posts (@BetweenThePosts) 2018年11月7日
xGを見ればナポリがもう1点取っていてもおかしくなく、2-1が妥当だろう。後半立ち上がりの猛攻で決定機をものにできずにいたが、PKを決めたことで報われた。
PSGとしてはアウェイだったが勝ち点3が欲しかっただろう。グループにはリヴァプールもいて、現在3位に甘んじている状況である。さらにレッドスターも勝ち点を積み上げているので、目が離せない。
📌 Se terminó el partido❗
⚽ #NAPPSG 1-1
🏆 @ChampionsLeague #UCL
💙 #ForzaNapoliSempre pic.twitter.com/zPEredNWTr— Oficial SSC Napoli (@sscnapoliES) 2018年11月6日