柏レイソルから日本代表第3GKとしてロシアW杯に参加した中村航輔。
J1の試合ではスーパーセーブを見せて活躍して、若くして日本代表に選出され、W杯本戦でも不調説があった川島永嗣に替わっての出場に期待がかかっていた。でも、ベンチを温めたままW杯は終わってしまった。本人の無念さはどれほどだったのか。
実力でのし上がってきた中村航輔
「柏の育成俺達の宝」と柏サポーターが誇りを持って口にする、アカデミー出身。小学生の時に、2002年日韓W杯でのオリバー・カーンに魅せられてGKに転向。小学校5年から柏レイソルのアカデミーに入団し、2013年にトップチームに昇格したが、ケガ続きで出場機会に恵まれず、不遇な時代を過ごす。
2015年に期限付き移籍したアビスパ福岡で、一気に実力の花が開く。J2リーグトップとなるシュートセーブ率とともに、福岡のJ1復帰に貢献し、惜しまれつつも2016年から柏に復帰。
初年からレギュラー出場し、この年のJリーグ優秀選手賞を受賞。翌2017年はJリーグベストイレブンに初選出とJリーグのトップGKへの道を着実に歩んでいく。
日本代表でも、中学時代から各世代の年代別日本代表に選出され、リオ五輪から2017年にA代表に初選出され、ロシアW杯メンバーに名前を連ねるまでに至った。でもW杯のピッチを踏むことは叶わなかった。
2回の大けがに遭った2018年
中村にとっての2018年は不運な年でもあった。5月20日の第15節名古屋グランパス戦で、名古屋のジョーと交錯して落ちた頭を強打。そのまま病院に運ばれ、脳震盪と頚椎捻挫と診断され入院した。W杯出場が危ぶまれたが、何とかロシアW杯までに回復を果たした。しかし、W杯終了後7月18日の第16節FC東京戦で、東京の富樫敬真の膝が頭部に当たって負傷。意識を失なったまま、病院に緊急搬送され、脳震盪と診断された。現在もベンチ入りできていない。
1年に2回の脳震盪は最近では危険視されています。2012年、日本サッカー協会スポーツ医学委員会(当時)が「Jリーグにおける脳振盪に対する指針」を作成し、注意を呼び掛けている。サッカー以外の競技では、後遺症を心配してそのシーズンはリハビリに徹する指導を与えるくらいに危険なケガになる。
今後のGK強化にみる日本代表の方向性
ロシアW杯の時は、正GKの川島永嗣のパフォーマンスが安定せず、一番世界とのレベル差が露呈したポジションとなった。
しかし、GKでの海外組は川島だけであり、彼を超える選手が今まで現れなかったのも事実であった。W杯開催期間中に、川島に替わって中村の出場を押すメディアもあったが、結局は西野監督は川島を選び続けた。
他にいい日本人GKはいないのか。残念ながら現在のJリーグでは外国人選手が跋扈している。特にハートが強いと言われる韓国人選手が次々と入団する傾向が強まっている。そういう環境もあって、FWと並んで今一番強化叫ばれているのがGKである。
将来的な中村航輔の海外移籍は温かい目で
中村が所属する柏レイソルは、どちらかといえば海外移籍に寛容なクラブである。過去にも大津祐樹、酒井宏などヨーロッパに羽ばたいていった選手は少なくない。確かに戦力の流出はクラブにとって痛手ではあるし、現に豊田陽平がいなくなって、一気に成績が落ち込んだサガン鳥栖のようにリスクは大きいと言える。
しかし、海外移籍後にヨーロッパのチームに定着してレベルアップし、ロシアW杯でも右サイドバックとして3試合フル出場した酒井宏樹のように、大きく成長する期待感も大きい。
中村航輔のケガが完治し、近い将来に海外移籍の話が持ち上がった場合、諸手を挙げて後押ししたいと思う。4年後のカタールW杯でレギュラー入りするためには、避けて通れない道だと思われるし、すっかり海外組に偏重した日本代表全体の更なるレベルアップのためにも、温かい目で見守っていきたいと思う。
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— 柏レイソル公式NEWS (@REYSOL_Official) 2018年5月18日