14年間在籍し続けたトップカテゴリーを離れ、2018年シーズンにおいてJ2リーグを戦うアルビレックス新潟。
苦しみ続けた昨シーズンだったが、最終盤では5勝1分けと驚異的な巻き返しをみせた。オフの契約更改でも好調時の
スタメンの大半が残留を決め、また戦力補強も充実しているかに見える。
だが、およそ14年ぶりにJリーグのクラブを率いる鈴木政一監督を迎える今年、クラブが掲げる「一年でのJ1復帰」は
決して簡単ではなさそうだ。新潟の2018年シーズンを展望する。
■痛すぎる主力の流出、そして地元出身選手も
選手の顔触れをみると、小川佳純、磯村亮太、大武俊といった昨季途中より加入し立て直しの原動力となったメンバーに加え、
レギュラーをもぎ取ったFW河田篤秀や韓国代表にも選ばれた宋ジュフン等、終盤の快進撃を支えたレギュラーの残留は間違いなく好材料だ。
また、移籍の噂が絶えなかった年代別代表の原輝樹や端山豪ら伸びしろのある若手を繋ぎ止めたことも評価されていいだろう。
但し、それらを上回る不安要素が存在する。
例年以上に退団者も多く、不動のレギュラーとしてチームを支えた小泉慶、山崎亮平が他クラブへの移籍、またブラジル人で唯一人、一年間を戦いぬいたホニも契約問題で退団が濃厚と、昨年の中核を担った3人の不在が今シーズンへ及ぼす影響は小さくない。
他にも地元出身者の移籍も目立った。キャプテンを務めた大野和成、アウェー清水戦で初ゴールを挙げた酒井宣福、期限付きでの武者修行を続けていたテクニシャン・小塚和希らは完全移籍で新潟を去っていった。戦力としても勿論だが、クラブへの愛着という点においてこれだけの地元選手の退団に、サポーターは複雑な思いを抱かざるを得ない。
■強力なライバル、さらには大きな変化も求められる
これまではJ1では上位に挑む立場だったものの、今年は常に「強者」であることが求められる。無論、対戦相手も新潟を格上として扱い、なりふり構わずぶつかってくるだろう。新潟らしさとしての象徴的な戦い方であり「弱者の戦法」とされてきたショートカウンターという武器がJ2リーグの戦いでどこまで効果的に機能させることが出来るか、未知数のままだ。これまでのベースに上乗せとして鈴木新監督の戦術を如何に早く浸透させるかも、今シーズンのポイントであることは言うまでもない。
クラブは「一年でのJ1への復帰」を目標であると明言しているものの、そのためには序盤でのつまづきは絶対に避けなければならない。が、新潟というクラブは伝統的に開幕から数試合は波に乗り切れず勝ち星を掴めないシーズンが殆どだ。何より、監督交代1年目は決まってシーズンを通して低迷がつづく。また、長らく新潟の強化に携わってきた神田勝男強化部長も昨年秋でその職務を離れており、2003年以来となるJ2をあらゆる面で手さぐりで進めなければならない。
J1昇格レースを戦う他クラブをを見渡しても不安が拭えない。共にJ1を戦った甲府、大宮はもちろん、昨年旋風を巻き起こした徳島、東京ヴェルディ、さらにはジェフ千葉や松本山雅、京都サンガも含め、ライバルと思われるクラブは何れも指揮官が継続となり、より成熟されたチームとなって新潟を叩きに来るはずだ。
昨年最終戦後のセレモニーにおいて、湘南ベルマーレへ移籍した大野和成が発した「J2は簡単なリーグではない」という言葉。
ほぼすべての選手がJ2での昇格争い未経験である中、その言葉の意味を思い知らされる時は確実に訪れるだろう。
何れにせよ、「地獄」とも称されるほどのJ2リーグの過酷な戦いがもうすぐ始まる。戦いの末に待っているのは歓喜か、それとも、最悪のシナリオか――。
2018シーズンのクラブスローガン「ALL FOR NIIGATA すべてを新潟のために」が公式サイトにアップされました。地図は「新潟のために」を常に忘れず、また一丸となって戦っていく想いを込めて! #albirex pic.twitter.com/xzFZedMbSZ
— albirex_pr (@albirex_pr) 2018年1月20日