2016年8月12日、小林祐希選手(ジュビロ磐田所属)がオランダの名門SCヘーレンフェーンに移籍しました。SCヘーレンフェーンに入団した日本人選手は、小林選手で史上初となります。そのため、我々日本人サポーターにとって、馴染みの薄いクラブだと思われます。そこで、小林選手が選手生活を過ごす同クラブをガイドしていきます。
SCヘーレンフェーンとは
SCヘーレンフェーンは、オランダ北部フリースラント州ヘーレンフェーンに拠点を置くクラブです。クラブ設立は1920年、1977年にプロ化してから北オランダの強豪として名を馳せました。UEFA チャンピオンズリーグ2000-2001では、グループリーグで戦いました。
クラブの説明に併せて、ホームタウンについても。ヘーレンフェーンはオランダ最大の都市アムステルダムから約95km離れており、ゆったりとした雰囲気が広がっている美しい街です。この街が所属する自治体のフリースラント州は、美しい風車が沢山あります。スペインの小説「ドン・キホーテ」に出てくるような風車が多く、見応えがあります。
こういった風車が多くありますby a gallery on Flickr
ライバルクラブはSCカンブール・レーワルデンであり、ヘーレンフェーンを一方的に激しく憎んでいます(ヘーレンフェーンの監督に脅迫電話をかけたり、試合中に相手監督の電話番号を載せたバーナーを広げたりしました)。なぜなら、同クラブが所在するレーワルデンはフリースラント州の州都だからです。街の規模では圧倒的に勝っているのに、クラブの規模や業績がヘーレンフェーンに劣っているから、サポーター達はヘーレンフェーンが気に食わないのです。カンブールとヘーレンフェーンの試合はフリーセ・ダービーと言われ、北オランダで最も盛り上がる試合の一つとされています。
SCカンブールのサポーター達by Voetbalprimeur
世界屈指のストライカー生産工場
ヘーレンフェーンといえば、ストライカー生産工場というイメージが非常に強いです。これまでに輩出してきた選手達は、以下の通りになります。
ルート・ファン・ニステルローイ(オランダ代表)
ヨン・ダール・トマソン(デンマーク代表)
アフォンソ・アウヴェス(ブラジル代表)
アルフレズ・フィンボガソン(アイスランド代表)
バス・ドスト(オランダ代表)
クラース・ヤン=フンテラール(オランダ代表)
ヘラルド・シボン(オランダ)
ゲオルギオス・サマラス(ギリシャ代表)
マルクス・アルバック(スウェーデン代表)
ヴィクター・シコラ(オランダ代表)
マシュー・アモアー(ガーナ代表)
アリ・エルハタビ(モロッコ代表)
ミハル・パパドプーロス(チェコ代表)
マーク・ニュゴーア(デンマーク代表)
特にファン・ニステルローイは伝説的なストライカーであり、マンチェスター・ユナイテッドで150試合95ゴールと結果を残しました。他にもフンテラール選手のように、ブンデスリーガ(ドイツ)得点王に輝いた選手も送り出しています。
マンチェスター・ユナイテッド時代のファン・ニステルローイ選手by RVN10.com
ハートのユニフォームが超可愛い
赤いハート模様と青と白のストライプで可愛らしいと言われているユニフォームですが、実は全く別の物を表現しています。赤いハートはヘーレンフェーンを象徴する睡蓮であり、青と白のストライプはフリースラント州の州旗を表しています。つまり、歴史や風土関係するものが由来なのです。
ちなみに、小林選手のユニフォーム姿を紹介します。
由来が分かっていても、ハートに見えて可愛いらしいですね。
スタジアムに併設されたお洒落な複合施設
最後に同クラブのスタジアムであるアベ・レンストラ・スタディオンの紹介をします。スタジアム名を冠するアベ・レンストラ選手はヘーレンフェーンのレジェンドであり、500試合523得点をあげた選手です(当時はアマチュアリーグ。クラブキャリア合計730試合700得点、代表は47試合33得点と凄まじい結果を残しています)。
スタジアムのキャパシティは26,800席で、サッカー専用スタジアムとなっています。オランダ国内では、美しいスタジアムの一つに数えられる競技場です。
by Wikipedia
当スタジアムは、様々な複合施設と一緒に構成されています。「Abe Lenstra Stadion Horeca」というお洒落なレストランがスタジアム内にあり、隣の施設は室内プールや室内体操場などが完備されている総合スポーツセンター「Sportstad Heerenveen」。さらに、フードコートが設置されているカルチャーセンター「Friesland College」などがあります。
「Abe Lenstra Stadion Horeca」の様子by Beijk Catering Service
このように多目的施設がスタジアムと併設されているケースは、欧州だと数多くあります。日本の場合は都市公園法や建築法の兼ね合いで、多目的施設を併設することが難しい状況となっています。小林選手はこれだけ充実した環境で、サッカー選手生活をできるのは選手冥利に尽きるかもしれません。新天地での活躍を心から応援しています。