昨シーズンは残り5節を無敗で凌ぎ、土壇場でJ1残留を決めたサガン鳥栖。
しかしながら今シーズンはその勢いを維持することが出来ず、10節を終えて1勝1分け8敗の最下位。苦境に立たされている。
守備面では数多くのピンチを防ぎ、守護神として鳥栖の残留に尽力した権田、途中加入ながらいぶし銀の活躍を見せたジョアン・オマリらが抜けた穴は大きい。
また攻撃においては、フェルナンドトーレスや金崎夢生、イサック・クエンカなど数多くの実績を残してきた選手たちがいるのにも関わらず、ここまででわずか1得点しか出来ていないのには複数の要因が絡んでいるだろう。
苦しい状況にいることは確かだが、まだリーグ戦は24試合残されている。
低迷するチーム復活の”鍵”はどこにあるのか迫っていきたい。
昨シーズン快進撃の立役者、金明輝の監督就任
ルイス・カレーラス監督が退任した2日後の5月7日、金明輝コーチが正式に監督就任することが発表された。
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🗣#金明輝 監督 就任会見🎙
\トップチームの監督に金明輝氏が就任👏
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— サガン鳥栖公式 (@saganofficial17) 2019年5月7日
昨シーズンはマッシモ・フィッカデンティが監督を務めたが、思うように結果が伴わず残り5節を残して契約解除となった。
その時に急遽監督に就任したのも彼である。
神戸や鹿島など強豪たちを抑えながら、3勝2分で見事J1残留へと導いた。
元々彼はサガン鳥栖U-18の監督を務めており、2017-18とプリンスリーグ九州連覇に導いた実績もある。
11年に現役を引退してからサガン鳥栖でずっとサポートを続けていることもあり、選手達とのコミュニケーションは円滑に取れるだろう。
昨年とほぼ同じような状況で監督のタスクを任された格好になるため、のしかかる重圧も相当なものと察するが、周りからの期待も大きい。
チームを崖っぷちから引き上げた金明輝監督の手腕に注目したい。
ビクトル・イバルボの実戦復帰
昨年6月の練習で左膝前十字靱帯を断裂して以来、ピッチで姿を見られずにいたビクトル・イバルボの完全復活が近づいてきていることも明るいニュースだ。
1年近く実戦から遠ざかっていたため、まだ本調子とは言い難いものの、4月24日のルヴァン杯では途中出場をしており、近い内にスタメンでの起用も期待出来る。
高身長、囲まれてもボールを失わないキープ力、当たり負けしないフィジカルの強さを持った元コロンビア代表がいれば、攻撃のバリエーションは間違いなく増えるだろう。
現に昨シーズン、イバルボが怪我により離脱した7節から6連敗を記録したが、彼が離脱する前までの6節は2勝2分2負と比較的好調だったというデータもある。その内2勝は得点とアシストも記録している。
彼が昨シーズンのようなパフォーマンスを見せることが出来れば、間違いなくチーム復活の起爆剤となってくれるはずだ。
”砂岩”を構築出来るか
サガン鳥栖公式Twitterに送られるリプライ(返信)は、敗戦が増えるにつれに痛烈な意見へとエスカレートしていった。
4月18日にはサポーターミーティングが開かれ、湘南ベルマーレとの試合後にはサポーターとサガン鳥栖竹原社長が直接意見交換をするシーンもあった。
必死に応援しているのに結果が伴なわず、気持ちのやり場が見つからないサポーターと、「怒り」を抑えて欲しいと懇願する竹原社長。双方のやり取りの間には、何か大きい壁が隔てられているようにも見えた。
チーム状況を改善するためには、選手はもちろんのこと、監督、コーチ、サポーター、全員が同じ方向を見て進む必要がある。
サガン鳥栖というチーム名の由来は、小さい砂の一粒一粒が集まって固い「砂岩」になるように、小さい力を集結させて大きなものに立ち向かうことを意味する。
Jリーグ全クラブの中でも最も小さい地方のクラブチームがJ1で戦ってこられたのには、こうした一致団結の力があったからに他ならない。
バラバラになりつつある今、もう一度「砂岩」になることが求められている。