ワールドカップ(以下、W杯)ロシア大会に出場したサッカー日本代表は7月3日、決勝トーナメントでベルギー代表とぶつかり、2-3で敗北した。試合終了後、本田圭佑や長谷部誠、酒井高徳らベテラン選手が代表引退の意向を示し、さらには代表監督の人事が話題になるなど、2022年のカタール大会に向けて動きが出ている。そんな次期代表の話題を推し進めるにあたって、キーワードの一つになっているのが“世代交代”だ。
ありがとう。
やりきった。
出し切った。
最高に楽しいW杯だった。
こんな下手くそを使ってくれた監督、仲間、いっぱいのエネルギーを送ってくれた皆さんに心から感謝します。 pic.twitter.com/mtae2u7jhY— Yuto Nagatomo | 長友佑都 (@YutoNagatomo5) 2018年7月2日
サイドバックはどうなる?カタールW杯で長友は35歳、酒井宏は32歳
全てのポジションについて語ればキリがない。そこで今回は、サイドバック(以下、SB)に限定して考えていきたい。
ロシア大会では、4試合全てに先発した左サイドバックの長友佑都と右SBの酒井宏樹の安定感は際立っていた。
その安定感の源の一つは、高い経験値。長友がコロンビア戦序盤に対峙したユヴェントスFC所属のフアン・クアドラードは、長友がセリエAのインテルナツィオナーレ・ミラノに在籍していた頃に対戦していた相手だ。酒井も、リーグ・アンでパリ・サンジェルマンFC所属のブラジル代表ネイマールとしのぎを削った。世界屈指のドリブラーやスピードスターと戦ってきた両翼の経験値が、今大会の日本に落ち着きをもたらしたことは間違いない。
仮の話をしよう。
日本が再びアジア予選を勝ち抜き、2022年のカタールW杯に出場するとしたら長友は35歳、酒井は32歳になる計算だ。今回の日本代表は一部で“おっさんJAPAN”と揶揄されたが、両翼のさらなる高齢化はフィジカル面で不安が生じるだろう。
とはいえ、30代の選手は世界中で多く活躍している。今大会に出場したスペイン代表のMFアンドレス・イニエスタは34歳、ブラジル代表のチアゴ・エミリアーノ・ダ・シウバは33歳、DFダニエウ・アウヴェスはケガさえなければ35歳でロシアのピッチで立っていた。メキシコ代表のDFラファエル・マルケスは39歳だった。
また、フィールドプレイヤーではないが、エジプト代表GKのエッサム・エル・ハダリは45歳。W杯出場者の最年長記録を更新した。
長友も酒井も、ベルギー戦の後にカタールW杯を目指すことを明言している。現状だけ見れば二人の実力や経験値は、他の日本人SBに比べて2馬身、3馬身以上の差をつけている。4年後に再びスタメンの座をもぎ取る可能性も十分ある。
偉大な先輩に少しでも近づけるよう4年間頑張ってきました。こんな未熟な自分にこの大事なポジションを与え続けてくれた2人の監督、代表チームには本当に感謝しています。ありがとうございました!
Merci pour tous les messages après le match🙏
c'était une belle compétition👏 pic.twitter.com/EHdsbL9TqX— Hiroki.Sakai 酒井宏樹 (@hi04ro30ki) 2018年7月3日
とはいえ、次のW杯まで4年ある。二人の身に何が起きるか分からない。4年の間にさらなるステップアップを果たすかもしれないし、大ケガをするかもしれない。体力の衰えが突然顕著になるかもしれないし、他に不測の事態が起きるかもしれない。
やはりカタールW杯、そしてそれ以後を見据えて若手のSBの台頭が求められる。かつて中村俊輔が代表へ初招集された21歳の長友を叱咤したように、ベテランの域に達した長友や酒井が、才能ある若手に自身の経験や代表のスピリットを若手に継承してほしい。そのために、これからの4〜8年は両SBの移行期間として充実した時間を築いてほしい。
求む、シンデレラボーイ
若手の代表SB候補は、挙げればキリがない。
早期で代表入りしそうなのが、ロシアW杯のメンバーに入りし、右SBをこなせる浦和レッドダイヤモンズの遠藤航。東アジアE-1選手権に出場した川崎フロンターレの左SB車屋紳太郎とFC東京の右SB室屋成も、代表入りを虎視眈々と狙っているだろう。
一部メディアの注目をにわかに集めているのが、清水エスパルスの左SB松原后。182センチの左利きで、かつ強心臓だと高評価を受けている。鹿島アントラーズの右SB伊東幸敏は、同じチームにして元日本代表の右SB内田篤人らの教えを受けている真っ最中だ。
柏レイソル下部組織出身で、今年6月にアビスパ福岡に育成型期限付き移籍をすることを発表した19歳の古賀太陽も面白い。182センチと上背があり、両サイドでプレイできる。
東京五輪世代も見逃せない。湘南ベルマーレの左SB杉岡大暉、ヴィッセル神戸の右SB藤谷壮、そしてこの世代には、前述のE-1選手権に招集されたガンバ大阪の左SB初瀬亮もいる。東京五輪での活躍次第で、フル代表への道が開けるかもしれない。
他にも両サイドをこなす柏レイソルの亀川諒史やFC東京の左SB小川諒也、横浜マリノスの左SB山中亮輔と右SB松原健などもいる。
かつての長友のように、急成長を遂げる若手選手が今後4年間で現れるのか。いや、ぜひとも現れてほしい。求む、シンデレラボーイ。