スターティングメンバー
スベン ウルライヒ
ヨシュア キミッヒ、ジェローム ボアテング、マッツ フンメルス、ラフィーニャ
トーマス ミュラー、ハビ マルティネス、ハメス ロドリゲス
アリエン ロッベン、ロベルト レバンドフスキ、フランク リベリ
by @11tegen11
ケイラー ナバス
ダニエル カルバハル、ラファエル ヴァラン、セルヒオ ラモス、マルセロ
ルカ モドリッチ、カゼミロ、トニ クロース
ルーカス バスケス、クリスチアーノ ロナウド、イスコ
by @11tegen11
両チームのボール非保持
レアル・マドリーはベンゼマやベイルをベンチに置き、イスコとルーカス・バスケスをウイングに起用したことで4-3-3のような陣形で試合を始めた。バイエルンはハビ・マルティネスをセンターバックから中盤に戻したことで中盤に再び安定がもたらされている。そして両チームは似たようなボール非保持の振る舞いを見せた。
両チームとも基本的にボール保持を志向している。バイエルンは近年ドイツで首位を守る強豪クラブであるし、グアルディオラ以後もボール保持から両ウイングのドリブルやレヴァンドフスキの高さなど質的優位から相手チームに迫ることを好んでいる。一方のマドリーは、ベイルの怪我からイスコのトップ下起用の形で、ボール保持を重視するようになっている。
両チームともボール喪失後はセンターフォワードはセンターバックの片方に付く。センターバックの片方を制限することで、センターバック間の横パスを抑え、相手にゆっくりとしたボール保持をさせずに縦への前進を促す。センターバックの片方とデートする形は、そのセンターバックのビルドアップやロングフィードの能力が高く、もう片方のセンターバックを起点にさせたい時に用いられることがある。その場合はボールを持ったセンターバックに時間とスペースが与えられるが、その他の選手がマッチアップに捕まっており、クリーンなビルドアップに苦労することになる。この例は、ナポリ対策でクリバリにマンマークなどがある。
センターフォワードがセンターバックの片方に付くもう1つの仕組みは、2列目からの列を上げるプレッシングで高い位置からインテンシティの高い守備を行うことである。この時インサイドハーフを上げるパターンとウイングを上げるパターンがあり、4-5-1(4-1-4-1)→4-4-2変形となる。バイエルンやマドリーはこの仕組みを使っており、高い位置からのプレッシング合戦となった。バイエルンはハメス・ロドリゲスやミュラー(ロッベンの負傷退場後はミュラーが右ウイングに移動し、チアゴ・アルカンタラがインサイドハーフへ)が列を上げてプレッシングのスイッチを押し、マドリーはモドリッチやクロースがこれを行った。さらに、もう片方のインサイドハーフはディフェンシブハーフに寄せる。
レアル・マドリーのボール保持
ビルドアップにおいて両チームの列を上げるプレッシングに対して、列を下げる動きで数的優位を作り出す。有名なのはマドリーのクロースによるインサイドハーフ落としだろう。ビルドアップにおいてハーフスペースの入り口を支配するために、マルセロが高い位置に出てワイドな位置を取った時にその空いたスペースに降りてきてボール前進を行う。モドリッチも同様のことを行うが、クロースの方が低い位置からのプレーを好んでいる。
クロースのインサイドハーフ落としにより、左サイドではマルセロがワイドで高い位置を取り、イスコが中盤に入って来る。イスコはハーフスペーススクエアやより低い位置をまわりながら、中盤での数的優位を作りボール保持を安定させる。一方の右サイドは、バスケスがワイドな位置にいればカルバハルは低めに留まり、カルバハルが高い位置を取ればバスケスがハーフスペースに侵入する。モドリッチは右ハーフスペースを中心に広く動き回り、ラストパスの供給も行っていた。
バイエルンのボール保持
バイエルンのボール保持時は4-3-3。右サイドはロッベンがワイドな位置を取り、キミッヒがロッベンのポジショニングに合わせて内側と外側のどちらにポジショニングするのかを決める。なおロッベンが負傷してミュラーが右ウイングに来てからは、キミッヒがワイドな位置を取り、ミュラーが内側でプレーする。
左サイドではリベリがより自由にポジショニングを取る。ワイドな位置に留まるのではなく、内側でも積極的にプレーする。通常は左利きのアラバかベルナトが左サイドバックを務めているがこの試合ではラフィーニャである。ラフィーニャは初めから高い位置を取るのではなく、リベリにボールが入った時に後方のパスコースを作るかハーフスペース突撃を行う。
中盤ではハビ・マルティネスがDFライン前中央におり、その両脇にハメス・ロドリゲスがきてボールを引き出す。サイドバックとハメスがバランスを取ってハーフスペースの入り口に立ち、ボールを前進させようとした。チアゴ・アルカンタラが投入されてからは、この動きを2人が自由に動き回って行っていた。
トランジションにおける認知
前半のうちにロッベンとボアテングを怪我で欠くことになったが、先制点はホームのバイエルンだった。ゴールキックのリスタートで疑似的ポジティブトランジションとなったバイエルンは、右サイドでのボール前進からキミッヒがそのまま裏抜けし、クロスをあげると思ったナバスの逆を取ってゴールを決めた。自陣ボックス辺りから敵陣ボックスまで走りながら情報を集めてプレーする能力はプレッシング耐性やトランジションにおける認知の形で現れる。
Very impressive offensive transition, supported by cognitive process in order to:
– get information about the ball and space,
– maintain the tempo
– take the gap to provide support. #Kimmich #FCBRMA #BAYRMA pic.twitter.com/mDMl2s8tEp— Mindfootballness (@slawekmorawski) April 25, 2018
後半の振る舞い
この試合の評価として、シュート本数やポゼッション率(パス本数)などで圧倒的にバイエルンが優位だったのに、勝利したのがマドリーだった。xGでは2.32-0.62で、それに基づくオッズでは80%バイエルンが勝利、5%マドリーが勝利と圧倒的な結果だった。
by @11tegen11
by @11tegen11
これはマドリーが勝ち越しゴールを奪いベンゼマを投入してから、8枚が自陣深くに位置取り前線と何人かの攻め上がりで凌いだからである。また自陣でのボール保持では安定感を見せたものの、アタッキングサードでボックスに侵入できる形が少なかった。
Information about the ball, space, opponent and teammate in order to correct direction of the run to gain advantage, body orientation to protect the ball and decision about purpose of the run – Marco Asensio at #BAYRMA – perception with the ball. pic.twitter.com/GEKzGoCdiy
— Mindfootballness (@slawekmorawski) April 27, 2018
まとめ
バイエルンはホームでの痛い敗戦となったが、何度も決定的なチャンスを作れていたという点でセカンドレグでも勝ち越せるチャンスがあるだろう。またコマンなど怪我人の状況も試合に大きな影響を与える。
このような大きな舞台ではトランジションや細部のミスなどが結果に結びつくことが再確認できた。。
Player ratings for Bayern – Real Madrid illustrate how poor Cristiano's game was that night.
These ratings are based on underlying performance, so Bayern's high xG producing play is rated more than Madrid's unlikely efficient finishing.#BAYRMA pic.twitter.com/NbelqUh3Y0— 11tegen11 (@11tegen11) April 27, 2018