スターティングメンバー
ロリス カリウス
トレント アレクサンダー=アーノルド、デヤン ロブレン、フィルヒル ファン ダイク、アンドリュー ロバートソン
アレックス オクスレイド=チェンバレン、ジョーダン ヘンダーソン、ジェームズ ミルナー
モハメド サラー、ロベルト フィルミーノ、サディオ マネ
by @11tegen11
エデルソン モラエス
カイル ウォーカー、ニコラス オタメンディ、ヴァンサン コンパニ、アイメリック ラポルト
イルカイ ギュンドアン、フェルナンジーニョ
ケビン デ ブライネ、ダビド シルバ、レロイ ザネ
ガブリエウ ジェズス
by @11tegen11
マンチェスター・シティのボール保持
マンチェスター・シティのボール保持は3バック化の3-2ビルドアップ。左SBにラポルトを起用した。左で横幅を取る役割を担うのはサネ、右サイドではウォーカーが高い位置を取り、ギュンドアンが内側に入ることが多かった。ギュンドアンが開いた状態の時は、ウォーカーがアンダーラップをしてハーフスペースに侵入する。
この試合での驚きはギュンドアンとデ・ブライネのポジショニングだろう。ギュンドアンが右サイドに入り、デ・ブライネがフェルナンジーニョの左横に位置した。
前回この両雄が対戦した時のポイントはリヴァプールの可変式システムだった。特に中盤中央のエムレ・ジャンの高さにより、プレッシングのスイッチを入れたりシステムを噛み合わせた。そしてこの試合でグアルディオラがクリーンなビルドアップをするための形である。スターリングなどをCFWに置き偽9番にして中盤での数的優位を狙うのではないかとの予想もあったが、異なる形をとってきた。
Cognitive involvement from individual players is a key to maintain proper shape, compactness and positioning in formation. It's another aspect that helped Liverpool to decrease options of progressive play of Manchester City. #LIVMCY #LIVMNC #Liverpool pic.twitter.com/XvPhVMoysP
— Mindfootballness (@slawekmorawski) April 6, 2018
リヴァプールのボール非保持時は4-3-3である。3トップで3バック、2インサイドハーフが2CMFに噛み合わせて時間と空間を奪おうとした。ここでマンチェスター・シティが狙った場所はDMFヘンダーソンの両脇(ハーフスペーススクエア)とワイドなエリアである。まずハーフスペーススクエアに関しては、リヴァプールの中盤がしっかりとギャップを閉じて多くのインターセプトを成功させ、またDF-MFライン間への縦パスやその落とし(レイオフ)に対して中盤のプレスバックとDF陣のインターセプトによって無効化できていた。特にこれらのことはボール非保持時のみではなく、ネガティブトランジションから数本のパスにおいても遺憾なく発揮された。
ハーフスペース突撃への対応
リヴァプールのハイプレッシングやカウンタープレッシング時に前線から噛み合わせインターセプトを数多く成功される中で、マンチェスター・シティはワイドな位置で攻撃の起点を作ることになる。リヴァプールの守備ブロックが中央圧縮する中、外外循環ではSBが激しくプレッシングをかけ、中央へのパスをインターセプトを狙っていた。
シティはビルドアップでプレッシングを回避して時間と空間を得ることができた時、ハーフディフェンダー(特に右のオタメンディ)がボールを前進するコースを中盤で見出せず、サネへと展開する形が見られた。
サネがワイドで高い位置でボールを受けて仕掛けるのはシティの定番の形であり、サネが単独で縦に突破するかSB-CB間のスペースを活用する形が多い。サネがボールを持つとシルバが走り抜けるハーフスペース突撃を多用する。これに対してクロップは用意周到に対策を練っていた。
Four, almost the same examples proving the importance of the role of CM in supporting fullbacks. Especially if you play against the team like Manchester City. Masterpiece of Klopp #LIVMCI #LIVMCY
you can watch FULL ANALYSIS here:https://t.co/L2qN68pF9v pic.twitter.com/ZB1oW0hAvN— Mindfootballness (@slawekmorawski) April 5, 2018
サネが前を向いてボールを持つと、アーノルドは距離を取り縦への突破に注意する。その時にハーフスペース突撃をできるだけ認知しインターセプトにも気を使う。さらにチェンバレンとヘンダーソンもギャップを埋めに行き、走り抜ける動きにもしっかりと追走する。距離を取られることでスピードで抜き去ることも難しく、パスの受け手も捕まっていたため、ミスを連発していた。
リヴァプールのボール保持
リヴァプールのボール保持は4-3-3。ウイングとインサイドハーフはハーフスペースにポジショニングし、外外循環の際片方がサイドに流れる。ボール前進からSBが高い位置を取ると、ウイングはハーフスペースから裏抜けを狙う。
リヴァプールではフィルミーノが偽9番的に振る舞う。ライン間に降りたりサイドに流れて起点となり、インターセプトやタックルでもチームを助ける。そしてフィルミーノが空けたスペースを両ウイングが狙うのである。
マンチェスター・シティのボール非保持時は4-4-1-1。ジェズスはファン・ダイクの方にポジショニングし、シルバはヘンダーソンとマッチアップ。高い位置からプレッシングをかける際はアーノルドとマッチアップしているサネかシルバがパスコースを切りながら寄せて(Cover Shadow、Curved Run)、さらにデ・ブライネなどがその位置までスライドして噛み合わせる。
試合展開に影響を与えるもの
試合展開に影響を与えるものに得点状況があるが、シティは前半に3失点しながらリヴァプールに対して変化を起こすことができていなかった。そしてハーフタイムを使って相手に解決しなければならない問題を与えようとする。
後半立ち上がり、シティはデ・ブライネを右サイドに置き、さらに途中からギュンドアンに代えてスターリングを投入して攻勢に出た。左サイドではラポルトがよりワイドな位置に開いて起点となり、開いたサネとハーフスペースにも2人(シルバがハーフスペーススクエアや突撃、もう片方にはフェルナンジーニョやデ・ブライネがハーフスペースの入り口)を置き、さらに真ん中からジェズスやスターリングが顔を出す。
ラポルトがよりワイドな位置を取ることで、サラー(途中からチェンバレン)が外へ引き出され、ギャップのパスコースからシルバがボールを受けられる機会が増えた。
一方の右サイドでは、初めはデ・ブライネのクロスやスターリングの大外からのシュート。そして次第にトライアングルを作ってボール循環から仕掛けていく形が増えた。ハーフスペース突撃への対応は右サイドでも同様に細心の注意を払われており、チャンスをなかなか作れずにいたが、スターリングによるサイドからの突破は何度か見られた。
まとめ
トランジションやプレッシングにおける守備の基準点やその認知がわずかな違いを生んでいる。認知によって守備範囲を広げ、パスコースを狭め圧力をかけている。
個人的にはトランジションを研究することが10年後のサッカーを知ることに繋がると考えている。ドイツ協会が改革してワールドカップに優勝するのに約10年かかっているが、自己分析できないガラパゴス国ではそうもいかない。
by @11tegen11
by @11tegen11