スターティングメンバー
ロリス カリウス
トレント アレクサンダー=アーノルド、デヤン ロブレン、フィルヒル ファン ダイク、アンドリュー ロバートソン
アレックス オクスレイド=チェンバレン、ジョーダン ヘンダーソン、ジェームズ ミルナー
モハメド サラー、ロベルト フィルミーノ、サディオ マネ
by @11tegen11
アリソン ベッケル
フェデリコ ファシオ、コンスタンティノス マノラス、フアン ジェズス
アレッサンドロ フロレンツィ、ダニエレ デ ロッシ、ケビン ストロートマン、アレクサンダル コラロフ
ラジャ ナインゴラン
ジェンギズ ウンデル、エディン ジェコ
by @11tegen11
ローマのボール保持
ローマのボール保持時は3-4-1-2。ビルドアップでは3バックの前にデ・ロッシが配置されており、ナインゴランがトップ下に位置する。両ウイングバックはMFの高さでワイドな位置を取り、外循環のビルドアップの起点になろうとしていた。ジェンギズはロバートソンとファン・ダイクの中間に位置しギャップを攻略しようとしていた。
ローマが逆転で下したバルセロナ戦で、セカンドレグでは浮いたデ・ロッシからの展開という展開が目立ち、立ち上がりの先制点などもその形から生まれた。バルセロナはネガティブトランジション局面でのカウンタープレッシングでは、スアレスの前線から回り込んでセンターバックやゴールキーパーへのバックパスのパスコースを制限する動きなどでボールを奪い返すのに優れているが、定位置守備局面でボール保持者が時間とスペースを与えられている状況で弱さを持っている。
※トランジション:ボール保持チームが入れ替わる移行の局面。ボール奪取の局面をポジティブトランジション、ボール喪失をネガティブトランジションと呼ぶ。すなわちオープンプレーに関して、ボール保持(定位置攻撃)→ネガティブトランジション→ボール非保持(定位置守備)→ポジティブトランジションの順に繰り返される。
※カウンタープレッシング:ネガティブトランジション時に、ボールを奪われるとすぐに相手のボール保持者やその周辺に密集してプレッシングをかけ、すぐにボールを奪い返そうとすること。通常のプレッシングはボール非保持(定位置守備)時のことを指す。
リヴァプールはこのデ・ロッシ問題に特別な対策を取ったわけではなかった。リヴァプールのアタッキングサードからのハイプレッシング時の陣形は4-3-3。フィルミーノは中盤へのパスコースを切るためにカバーシャドウを用いてマノラスに寄せ、ハーフディフェンダーがボールを持つとマノラスへのパスコースを切りつつローマ中盤へのパスコースができるとプレスバックで対応する。
※カバーシャドウ:守備の基準点としてボール、味方選手、相手選手、スペースなどがあるが、ボール保持者と自分のマークする相手選手のパスコースに立つことで無力化する。カウンタープレッシングや高い位置からの(通常の)プレッシングで特に効果的である。
※ハーフディフェンダー:3バックの時の両脇のCBのこと。ハーフスペースの入り口に位置することになる。ボール保持を志向する場合、運ぶドリブルや列を超える縦パスなどが求められる。またボール非保持時では、DF-MFライン間の相手を迎撃したり、ハーフスペーススクエアのチャンネルを閉じたりすることが求められる。
サラーとマネはウイングバックをカバーシャドウで切るようにハーフディフェンダーに寄せる。ウイングバックに対しては、ウイングのプレスバック、インサイドハーフのスライド、サイドバックの縦スライドのいずれかで対応。ロバートソンが縦スライドした時はジェンギスが右サイドに流れてファン・ダイクを引き出すという形が見られた。
リヴァプールは自陣で守備ブロックを形成する時4-4-2と4-5-1のハイブリットのような形。サラーに守備で負担をかけないように、マネが1列下がった4-4-2のように見えることも多かった。ウイングバックに対してはチェンバレンかアーノルド、マネかロバートソンが対応。サラーはハーフスペースに立ち、中盤へのパスコースを消す。
ローマの狙いはDFラインやデ・ロッシからのサイドへの展開やサイドチェンジでアタッキングサードへ侵入し、DF-MFライン間のナインゴランを使ったりクロスを上げたりすることでシュートを放つ。2トップや中盤からの押上げで中に多くの選手を送り込むことができていた。
リヴァプールのボール保持
ローマのボール非保持時は5-2-1-2。ナインゴランはヘンダーソン、2トップはセンターバックとサイドバックの中間地をスタートにプレッシングをかける。2センターハーフは2インサイドハーフとマッチアップし、5バックで3トップを迎撃する。
リヴァプールのボール保持時は4-3-3。ビルドアップでは時間とスペースを多少は得られているが、センターバックとサイドバックのパスコースを切られており、センターバック間のパス交換でもナインゴランの列を上げるプレッシングなどで効果的なボール前進に苦しんでいた。
そこでリヴァプールが狙ったのはインサイドハーフがサイドに流れてビルドアップの出口になることである。しかしセンターハーフがギリギリまで付いていき、パスが出ないタイミングでウイングバックにマークの受け渡しをする。空いたスペースに前線から降りてきても、5バックによる迎撃で時間とスペースを前進するのは難しかった。
試合開始30分後
前半も30分近く経過した頃、マネの立て続けのチャンスやサラーの先制点が起こる。シンプルにDFラインの裏を狙う攻撃が増えたことでローマ守備陣は後ろ向きの守備を強いられ、リヴァプールは前線のスピードのアドバンテージを得ることができた。
Mohamed Salah! https://t.co/8QhOYOdTLB via @twelve_football
— Twelve (@twelve_football) April 24, 2018
It was relatively balanced in the first 30 minutes, but once Salah scored his first goal Liverpool completely dominated! Did they leave a glimmer of hope for Roma by giving up 2 goals at home…? pic.twitter.com/qsyWnk9Nb0
— Twelve (@twelve_football) April 25, 2018
ここから試合終盤までリヴァプールが試合を支配していたことがわかるだろう。5得点を奪っただけではなく、他にも多くのチャンスを作り出している。
リヴァプールのトランジション
ゴールキーパーのプレジャンプ論争というものがある。相手がシュートを放つタイミングでジャンプをするのか、またどれくらいジャンプをするのか。ジャンプをすれば到達可能な領域が広がるが、タイミングをずらされてしまう可能性もある。
ストライカーは味方がシュートを放つ時にゴールキーパーがボールをこぼす可能性からゴール前につめる。嗅覚などと呼ばれることも多いが、愚直にこぼれ球に反応できるようにつめて経験を重ねる。
なぜこれらのような話を出したのかというと、リヴァプールはルーズボールや相手のパスを出す時のバックスイングなどに反応してインターセプトを狙っている。この時の両チームの姿勢を比べると、ローマは直立姿勢のことが多いが、リヴァプールはボール周辺で前傾姿勢になっていることが多い。
インターセプトはドリブル突破よりも相手を置き去りにできることもある。クロップの代名詞であるカウンタープレッシングにおいて、認知を高めてインターセプトなどボールを奪い、前への推進力を持って攻撃に移る迫力がある。
まとめ
ローマはホームのセカンドレグで一矢報いたい。ビルドアップではMF-FWライン間の攻略をできる可能性があるだろう。またボール循環の中でリヴァプールのプレッシングが後追いになっている場面もちょくちょく見られたので、そこら辺を整理できればと思う。リヴァプールは3トップに自陣深くまで下がって守備をさせない仕組みを作っているが、前線に人数をかけることができれば、2点目のペナルティーに繋がったような攻撃もできるかもしれない。
by @11tegen11
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