レッズファンの希望とは裏腹に
熱き情熱と全てを虜にするカリスマ性を纏うユルゲン・クロップこそ、近年のリヴァプールにおいて最も愛された指揮官だろう。しかし、本人はその栄光の座に長く居座ることを「あり得ない」と断言し、その理由についても英『BBC』へのインタビューで語っている。
マージーサイドで絶大な人気を誇り、サディオ・マネやモハメド・サラー、そしてロベルト・フィルミーノによる美しい流動性に満ちたアタッキングユニットを構築したクロップは、リヴァプールと2022年までとなる契約を交わしており、ファンもまた彼の長期政権を望んでいることだろう。
しかしながら、『BBC』の取材に応じたクロップからは長期政権に対する消極的な姿勢が垣間見れた。
「(ここで20年以上指揮するか?)いやいや、あり得ないよ。絶対に無理だね。私はアーセン・ヴェンゲルとサー・アレックス・ファーガソンがこれまでに成し遂げてきたことをとても尊敬している。でも今は様々なことが変化したし、こういった類の状況は常に大きく動いているんだよ」
長期政権が不可能な理由
クロップは、過去と現在ではひとつのクラブで指揮し続けることの難易度が全く異なるとの見解を示している。
「彼ら2人(ヴェンゲルとファーガソン)にとって、指揮してから最初の15年は、最後の15年と比べてホリデーのようなものだっただろう。その原因はソーシャルメディアといった類のものだよ。私はそれらを一切読まないようにしてるが、どうしてもあらゆるシーンで耳に入るし、大きな影響を及ぼしてくるんだ。とても理解に苦しむよ」
どうやら天下の“カリスマ・クロップ”もSNS最盛期の波には大きく苦しめられているようだ。
「私はまだ50歳で人生のあらゆる場面において若さを保持しようとしている。でもソーシャルメディアの分野では滅法年寄りの人間だよ。20年後には私も70歳になる。ハッキリと断言できるし、保証もできる。その頃には私はもうここには居ないよ」
同監督の指摘する通り、今やSNSによる発信力は大手メディアにも一切の引けを取らないレベルにまで成長し続けており、英メディアもSNSでのコメントやメッセージを記事の見出しに掲げるほどだ。
もちろんそこには否定的な意見ばかりが蔓延している訳ではないものの、得てしてメディアが取り上げるものは刺激的かつ攻撃的なものに偏り、昔気質のクロップにはその新たな文化への適応があまりにも困難だと感じているのかもしれない。
"We will give it everything.” 👊
Jürgen Klopp has given his reaction to our #UCLdraw against @ManCity 👉 https://t.co/mjemJQWcS8 pic.twitter.com/uSGiaQA5hs
— Liverpool FC (@LFC) 2018年3月16日