今週末4月15日に開幕する関東大学サッカーリーグ戦。関東大学サッカー連盟は「単位より、順位」というキャッチコピーを掲げ、10日には各大学主将が記者会見を、そして各大学の登録メンバー発表も行われ、徐々に士気が高まってきています。今回はそんな大学サッカー、とりわけ関東リーグについて紹介します。
前期リーグ戦のポスターが完成しました!全24大学の注目の選手が掲載されています。ポスターのキャッチコピーは「単位より、順位。」単位も頑張って取っていると思いますが、順位にかける思いも強いと思います!#大学サッカー #jufa #単位より順位 pic.twitter.com/mk5ZDIPm88
— JUFA KANTO (@JUFA_kanto) 2017年4月10日
日本の大学サッカーの階層
日本の大学サッカーは、各地域で年間通じて開催されるリーグ戦と、全国の大学がトーナメント形式で激突する総理大臣杯、全日本大学選手権(インカレ)という3つの大きな大会を中心に構成されます。全国的に見ると、関東と関西の大学の勢力が強く、特にインカレでの優勝回数上位10校の内9校を占める関東リーグは、日本サッカーの大学年代において最高峰の環境となっています。
サッカー界において日本人がプロ契約を結ぶルートとしては高校、ユース、大学の3つからが主立っています。大学サッカーはその中で最もプロに近いレベルを誇り、高校時代に全国高校サッカー選手権大会で活躍した選手や、Jクラブのユース出身の選手が集結します。
日本全国のこのような選手たちがしのぎを削るために各大学のレベルは上昇し、また大卒からプロで活躍している多くの前例が選手の求心力を高める、といった良いサーキュレーションを生み出しています。
現在の関東リーグは非常に混戦
関東の大学サッカーは関東リーグと言われる関東1部2部の下に、各都県のリーグが存在しています。以下は現在関東リーグに所属する大学です。
昨年は強豪2校が降格し、話題となりました。早稲田大学は一昨年の関東1部で優勝を果たしながらも翌年に降格、国士舘大学も上位争いの常連校でありながら、2部行きが決定してしまいました。また、一昨年に降格した中央大学と神奈川大学も1年での復帰とはならず、2部が簡単な戦いではないことを示しています。
昨年の1部は明治大学が圧倒的な強さで優勝したものの、そこから下は混戦状態。1シーズン22試合を戦うリーグで、2位の筑波大学は10勝、最下位の国士舘大学は6勝とそれほど大きな開きはありません。11位で降格した早稲田大学は2位〜5位との対戦8試合で4勝3分1敗と、総勝ち点22の約70%を稼ぎ、10位ギリギリで残留を果たした桐蔭横浜大学は夏のアミノバイタルカップ(関東大会)で優勝を収めています。
このようなデータが証明するように、現在の関東リーグは実力伯仲。どのようなカードでも勝敗を予想することは難しく、毎週のように順位が入れ替わります。それが魅力の一つでもあります。
関東大学リーグ1部昨年の順位表
各地で行われる試合 過去にはあの監督も指揮
「関東」リーグという名前の通り、東京都以外にも茨城県(筑波大学 流通経済大学)、神奈川県(桐蔭横浜大学 日本体育大学 慶應義塾大学 専修大学)、埼玉県(東京国際大学 東洋大学)、千葉県(順天堂大学)と様々な場所に練習場を構える大学があります。
公式戦も関東近辺のスタジアムで開催され、今季も関東地域に山梨県を加えた1都7県で行われる予定です。会場も味の素フィールド西が丘を始め、Jリーグが行われるスタジアムにも割り当てられています。チケットは前売り800円で手に入れることができ、基本的には1会場で2試合が行われるので、1枚で2試合の観戦が可能。試合当日は関東大学サッカー連盟が企画したイベントやハーフタイムショー、大学サッカー連盟公式応援マネージャーの「JUFA GIRL」等が試合を彩ります。
『『第91回関東大学サッカーリーグ戦【前期】』日程決定のお知らせ』https://t.co/DhhV41aFri #jufa pic.twitter.com/mcMh0FQjoG
— JUFA KANTO (@JUFA_kanto) 2017年3月15日
また、各大学の監督にも注目です。順天堂大学を率いるのは、元日本代表DFの堀池巧氏。かつてカターレ富山で活躍した長山一也氏は法政大学を、J2での指揮経験がある手塚聡氏は中央大学を率います。現在名古屋グランパスで監督を務める風間八宏氏が筑波大学を指揮した経験があるように、将来の名伯楽が生まれる可能性も秘めているのです。
大学サッカーは将来のJリーガー「だらけ」
大卒からプロ契約を結んだ選手は、しばしば「即戦力」としてチームに迎えられます。しかし、裏を返せば「Jリーグの即戦力級の選手が大学サッカーには多くいる」ということです。大卒Jリーガーというと、慶応大学出身の武藤嘉紀選手(現マインツ)や明治大学出身の長友佑都選手(現インテル)といった世界で戦う選手にフォーカスを当てがちですが、Jリーグでも沢山の大卒プレーヤーが活躍しています。
今季も、昨季の関東1部得点王・高井一馬選手(日本体育大学出身)がJ2で躍動し、明治大学から愛媛FCに加入した丹羽詩温選手は先日の試合で決勝ゴールを決めました。2部でプレーしていた選手でも、仙頭啓矢選手(東洋大学出身)、岡庭裕貴選手(東京農業大学出身)、翁長聖選手(中央大学出身)等が堂々のプレーぶりを披露しています。彼らは、つい最近まで大学サッカーの舞台で戦っていた選手たちです。このように「プロ予備軍」との呼び声高い大学サッカーは、もっと盛り上がって然るべきではないでしょうか。
関東大学リーグの開幕節は4月15日に2試合、16日に4試合が予定されています。15日に試合を控える4チームは昨季の関東リーグ4強。12:00キックオフで明治大学対順天堂大学が、14:00キックオフで筑波大学対日本体育大学が味の素フィールド西が丘で行われます。ピッチとの距離が近いスタジアムへ、将来のJリーガーのプレーを「体感」しに行きましょう!