【⑥ノジマステラ神奈川相模原編】今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介
3月初頭にポルトガルで開催される『FPFアルガルベカップ2017』のメンバーが発表された女子日本代表=なでしこジャパン。選手達は2月24日から現地でトレーニングを積み、大会初戦のスペイン戦へ向けて準備しています。
そのアルガルベ杯を終えると、3月25日には今季のプレナスなでしこリーグが開幕。当コラムではそんな女子サッカーのトップリーグとなる、なでしこリーグ1部の10チームを1チームずつ紹介します。
第6回は、1部初昇格を果たしたノジマステラ神奈川相模原(以下、ノジマ)です。
創設6年目の実業団チームが1部初昇格!
by ノジマステラ神奈川相模原
神奈川県相模原市に本店を置く家電量販店『ノジマ』(株式会社ノジマ)が2012年に『ノジマステラ神奈川』として創設した新設チームで、選手は普段はノジマの社員として各店舗や本社で勤務する実業団の形態をとっているチームです。
母体となるチームもない新設チームであるノジマは都道府県リーグの最下部からのスタートとなり、2012年シーズンは神奈川県リーグ3部に参戦。神奈川3部リーグを圧倒的な成績で制すると、シーズン終盤には皇后杯の関東予選も突破。見事に本大会出場件を獲得し、当時の「皇后杯本大会出場権獲得の場合は、都道府県リーグ所属でも地域リーグを経ずに直接チャレンジリーグ(現・なでしこリーグ2部相当)への参入戦へ出場できる」という特例により、チャレンジリーグ参入戦でも勝利したノジマ。創設1年目でチャレンジリーグ参入まで勝ち取る、前代未聞のロケットスタートを切りました。
ノジマは飛び級昇格で参戦したチャレンジリーグでも初年度から好成績を挙げたものの、2013年は4位・2014年は3位。チャレンジリーグから「なでしこリーグ2部」へと改編された2015年は2位で、1部9位の(現コノミヤ・)スペランツァ大阪高槻との入替戦への権利を掴み、2戦合計2-2としながらアウェイゴール差で敗れるなど、1部昇格まであと1歩の状況が続きました。
その間、運営面では『株式会社ノジマステラスポーツクラブ』を設立し、チームを移管した2014年シーズンからは現在の『ノジマステラ神奈川相模原』へチーム名も変更。1部昇格という目標を目指しながら、地域に根差したクラブの基盤作りも同時に進行させて来ました。
また、競技面では創設当初から監督兼GMに元TEPCOマリーゼ(現マイナビ・ベガルタ仙台レディースの前身)監督の菅野将晃氏を招聘し、長期的なビジョンに基づいたチーム強化を図って来ました。
1部昇格までには足踏みしたものの、競技面と運営面の両輪で積み上げて来た成果は、MF田中陽子選手を筆頭とする有力選手の加入にも繋がり、2016年シーズンには遂に2部で優勝。今季で創設6年目の新設チームが1部初昇格を手にしました。
無敗優勝、MVP・得点女王・新人賞を総なめにしたノジマのための2016年シーズン
昨季2部を無敗で制覇したノジマ。創設6年目となる今季は初めて1部で戦う。by ノジマステラ神奈川相模原 公式ブログ
昨季の2部では14勝4分の無敗優勝。18試合で47得点6失点と完璧な攻守のバランスを掴んだチームからは、人間性も高く評価される主将MF尾山沙希選手が2部のMVPに選出されました。
また、加入1年目だったDF高木ひかり選手は2部の新人賞に選出されただけでなく、高倉麻子監督体制のなでしこジャパンにも選出されて定着。アルガルベ杯にも出場します。
他にも、FW南野亜里沙選手とFWミッシェル・パオ選手は共に11ゴールを挙げて得点女王を分け合うなど、2016年のなでしこ2部はノジマのためのようなシーズンとなりました。
ただ、2位で1部自動昇格を逃した2015年は27試合で91得点(33失点)を挙げていた圧倒的な攻撃力は、やや現実的なアプローチをとる中で薄まったのか?
昨季1部に初昇格したAC長野パルセイロレディースの場合は、2部時代から続く超攻撃的なサッカーを1部でも貫き、昇格初年度からリーグ3位と大躍進して注目を集めましたが、ノジマの場合は少し違います。
1部昇格を掴みとる段階で、やや現実的なアプローチにシフトした模様。その辺りが初の舞台となる、なでしこ1部でも今までのサッカーが通用するかどうかの成否を分けるポイントとなるかもしれません。
【注目選手】MF田中陽子~どちらの”田中陽子”を求めるか?
ゴールゲッターか?ゲームメイカーか?ノジマでの過去2年間では異なった特徴を出したMF田中陽子。1部初昇格のノジマにとってはどちらの田中陽子も必要だが。by nadeshikoleague
MVPと新人賞、得点女王もいるチームである現在のノジマですが、それも全て彼女がいないと何も始まりません。日本で開催されたFIFA-U20W杯で全6試合に出場し、自ら5得点を挙げ、3位入賞の原動力となった攻撃的MF田中陽子選手。
現在23歳にして”元日本代表”となった彼女は、ノジマ加入初年度となった2015年シーズンはリーグ出場27試合で26得点。得意のミドルシュートからゴールを量産するだけでなく、ドリブルでの仕掛けやワンツーからスペースの狭い中央突破を狙う強引なプレーも多かったように感じられます。
2012年に強豪・INAC神戸レオネッサに加入した田中陽子選手。代表選手が勢揃いするINAC神戸ではレギュラーポジションを掴めなかったため、自身の存在感を改めて証明するためにも、ノジマではまず数字に残る結果を残したかったはず。
一方、ノジマも菅野監督が長期的にチームを作って出来たベースの上に、田中陽子選手の個の能力を上積みする事を優先し、彼女に得点に直結する役割を与える事で、1段上のチーム力を手に出来たのが2015年シーズンでした。
菅野監督はマリーゼ監督時代に当時JFAアカデミー福島でプレーしていた田中陽子選手とは、同じ練習場となるJヴィレッジで練習試合などを通してコンタクトをとる機会もあった指導者。彼女の現状やプレースタイルを知り尽くしていた菅野監督の下、2016年シーズンの田中陽子選手は”変身”。自身のゴールは5得点に止まったものの、ゲームメイクの割合を多くし、両サイドを広く使って相手を押し込むハーフコートゲームの軸として機能しました。
チームが1部初昇格した今季、田中陽子選手に与えられる役割はどちらなのか?足して2で割ったようなものなのか?得点経過や時間帯、試合展開によってポジションや役割を変化させるのか?
1部経験の少ない選手が多い中、確実に通用する卓越した個を備える彼女の立ち位置や振る舞いで、ノジマの戦い方は一変する事が予想されるだけに、試合中の彼女のポジショニングには要注目です。
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そんな1部初昇格のノジマステラ神奈川相模原は3月26日(日曜)、敵地でINAC神戸レオネッサとの開幕戦を迎えます。
初となる1部の舞台でも攻撃的に戦うノジマが、タレント軍団のINAC神戸にどう挑むのか?注目です!
【ノジマステラ神奈川相模原 プレナスなでしこリーグ1部日程】
第1節、3/26(日)13:00 KICK OFF
VS INAC神戸レオネッサ(AWAY)ATノエビアスタジアム神戸
第2節、4/2(日)13:00 KICK OFF
VS AC長野パルセイロレディース(HOME)AT相模原ギオンスタジアム
第3節、4/16(日)13:00 KICK OFF
VS ちふれASエルフェン埼玉(HOME)AT相模原ギオンスタジアム
第4節、4/23(日)13:00 KICK OFF
VSマイナビベガルタ仙台レディース(AWAY)AT角田市陸上競技場
第5節、4/29(土)13:00 KICK OFF
VS伊賀フットボールクラブくノ一(HOME)AT相模原ギオンスタジアム
第6節、5/3(水)13:00 KICK OFF
VSアルビレックス新潟レディース(AWAY)AT新発田市五十公野公園陸上競技場
第7節、5/7(日)13:00 KICK OFF
VS日テレベレーザ(AWAY)AT味の素スタジアム西競技場
第8節、5/13(土)13:00 KICK OFF
VS浦和レッドダイヤモンズレディース(HOME)AT相模原ギオンスタジアム
第9節、5/21(日)13:00 KICK OFF
VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(AWAY)ATフロンティアサッカーフィールド
第10節、5/28(日)13:00 KICK OFF
VSちふれASエルフェン埼玉(AWAY)AT鴻巣市立陸上競技場
第11節、8/19(土)18:00 KICK OFF
VSマイナビベガルタ仙台レディース(HOME)AT町田市立陸上競技場
第12節、8/26(土) 18:00 KICK OFF
VS伊賀フットボールクラブくノ一(AWAY)AT三重交通Gスポーツの杜 鈴鹿
第13節、日時未定
VSアルビレックス新潟レディース(HOME)会場未定
第14節、日時未定
VS日テレベレーザ(HOME)会場未定
第15節、日時未定
VS浦和レッドダイヤモンズレディース(AWAY)AT浦和駒場スタジアム
第16節、9/23(土)13:00 KICK OFF
VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(HOME)AT相模原ギオンスタジアム
第17節、9/30(土)13:00 KICK OFF
VS AC長野パルセイロレディース(AWAY)AT長野Uスタジアム
第18節、10/7(土)13:00 KICK OFF
VS INAC神戸レオネッサ(HOME)AT相模原ギオンスタジアム
連載『今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介』バックナンバー
by nadeshikoleague
なでしこリーグ1部全チームのクラブの成り立ちやチーム状況、注目選手などを当コラムの連載として掲載しております。
尚、バックナンバーは以下からご覧ください。
【①マイナビ・ベガルタ仙台レディース編】
【②浦和レッドダイヤモンズレディース編】
【③ちふれASエルフェン埼玉編】
【④ジェフユナイテッド市原・千葉レディース編】
【⑤日テレ・ベレーザ編】
次回はクラブ史上初タイトル獲得に迫りながらも未だ届かない、あのチームが登場!乞うご期待!