【③ちふれASエルフェン埼玉編】今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介

3月初頭にポルトガルで開催される『FPFアルガルベカップ2017』のメンバーが発表された女子日本代表=なでしこジャパン。

そのアルガルベ杯を終えると、3月25日にはプレナスなでしこリーグが開幕。当コラムでは、そんな女子サッカーのトップリーグとなる、なでしこリーグ1部の10チームを1チームずつ紹介します。

第3回は、ちふれASエルフェン埼玉(以下、エルフェン埼玉)です。

クラブ名「AS」に込めれた原点


by ちふれASエルフェン埼玉

1985年から埼玉県狭山市の『狭山市スポーツ少年団アゼリアFC』の少女部として活動を始めたのが現クラブの母体で、1991年に12歳以上の女子チーム『ASエルフェンFC』として独立。

その後も少女部の活動を続けていたものの、2002年から日本女子サッカーリーグに加盟し、トップリーグとなるLリーグにも参戦。これを機に、チーム名も『ASエルフェン狭山』となりました。

競技面では低迷しており、2部リーグ制導入となって以降は2部が主戦場となっていましたが、運営面では2004年に『NPO法人エルフェン・スポーツクラブ』を設立。地域に根差した総合型スポーツクラブとして土台を築き、徐々にチームも地力を積み上げて来ました。

チーム名に前身のアゼリアの「A」と狭山・埼玉・(県の)西部の「S」を組み合わせた「AS」を用いて歴史へのリスペクトと原点を忘れないクラブは昨季、2部で2位となり、1部9位のコノミヤ・スペランツァ大阪高槻との入替戦を2戦合計5-1と大差で制して1部復帰。今季から1部定着への期待が高まっています。

尚、2014年からは地域活動を埼玉県全域にし、チーム名も『ASエルフェン埼玉』へと変更し、2016年シーズンからは、地元企業である株式会社ちふれ化粧品との命名権契約締結に伴い、チーム名が『ちふれASエルフェン埼玉』に変更となっています。

“ヨーヨークラブ”からの脱皮は、”純エルフェン化”


昨季は2部2位。スペランツァ高槻との入替戦を制し、1年で1部復帰を決めた。by Facebook

1年で1部に戻ってきたエルフェン埼玉。ただ、2010年から始まって僅か7年のなでしこリーグに置いて、2度の1部昇格と2度の2部降格(チャレンジリーグ含む)を経験している”ヨーヨークラブ”(落ちたらすぐに上がって来る、という意味)であるのが客観的な現在地であるのも現実です。

また、そうした近年の1部リーグへの昇格・残留を牽引して来たのが、FW荒川恵理子選手、MF伊藤香菜子選手(共に現2部・日体大FIELDS横浜)やGK山郷のぞみさん、といった日本代表経験が豊富なベテラン選手でした。一時は現役の日本代表FW大野忍選手(現・INAC神戸レオネッサ)も所属していた程です。

また、松田岳夫監督(現・INAC神戸監督)や原歩コーチ、今季から2部・岡山湯郷Belleの監督兼GMに就任した亘崇詞氏といった指導者たちも含め、上記に挙げた選手・指導者のうち、GKの山郷さん以外は全て、日テレベレーザ(前身の読売時代や男子・東京ヴェルディ1969含む)でのプレーや指導歴が豊富な人材でした。

昇格と降格を繰り返しながらもトップレベルでの経験を積むべく短期的なチーム強化の軸を担い、一方では後世につなげるための遺産を残したベレーザ組。

ここへ来て”脱・ベレーザ路線”が進んでいますが、それはベレーザ組がクラブに残していった遺産を引き継ぎつつ、”純エルフェン化”による安定した基盤作りが進んでいる証拠だと捉えるべきでしょう。

【注目選手】専売特許のサイド攻撃を披露するMF薊理絵


サイドでのドリブル突破が職人芸のようなMF薊(あざみ、7番)。その突破力は「代表でも観たい」と思わせる。by jfa.jp

そんなチームで加入11年目を迎えるMF薊理絵(あざみ りえ)選手は、クラブの歴史を知る生え抜きであるだけでなく、日本代表に選出されたほどの実力も兼ね備えています。

サッカーではサイドでのプレーにはスペシャリスト的な職人芸・匠の業が要求されます。ただ、男子も含めてビルドアップや中盤でのパスワークを重視する日本には純粋なサイド専門のアタッカーは少なく、特に利き足と同じサイドでプレーする典型的なウインガーは皆無に近いと言える状況です。

そんな日本サッカー界で、薊選手の持つドリブルでの相手DFとの独特の間合い、フェイントを仕掛けるタイミング、ドリブルでの緩急と鋭角なコースの変化などはまさに「サイド職人」とも表現できるモノです。男子のJリーグ・サンフレッチェ広島で来日9年目を迎えている、クロアチア人MFミハエル・ミキッチ選手と似ていると表現すれば想像しやすいでしょうか?

また、薊選手は1部リーグで2014年に二桁得点を記録するなど、1部通算100試合出場で32得点を挙げているなど、得点力にも魅力があるサイドアタッカーです。

サイドバックもこなせるため、特に日本代表では人材不足の左サイドバックとして起用されてしまい、ここまで持ち味は全く出せていませんが、代表でも必要になってくるであろうサイド攻撃という専売特許を持っている選手です。

2部で実力を積み上げて来たとはいえ、再びの1部では守勢にまわる時間帯が長くなる事も予想されるエルフェン埼玉。それでも薊選手の仕掛ける鋭いサイド攻撃は1部勢相手にも確実に通用する魅力が満載。エルフェン埼玉の試合観戦時には是非、右サイドにいる薊選手に注目です!

【エルフェン埼玉在籍全選手リスト】(公式HPへ、「選手紹介」は現在準備中)

1部定着狙う昇格組=エルフェン埼玉のリーグ戦日程


浦和レッズLとの埼玉ダービーも予定されているNACK5スタジアム(写真)など、ホーム戦は主に4会場を使用しているため、スケジュール確認は会場も要チェックです!by NACK5スタジアム

そんな昇格組のエルフェン埼玉は3月26日(日曜)、敵地でいきなりリーグ2連覇中の女王=日テレ・ベレーザとの開幕戦を迎えます。
耐える時間が長くなる中、薊選手らのサイド攻撃からアップセット(番狂わせ)を起こせるのか?注目です!

【エルフェン埼玉 プレナスなでしこリーグ1部日程】

第1節、3/26(日)13:00 KICK OFF
VS日テレベレーザ(AWAY)AT味の素スタジアム西競技場
第2節、日時未定
 VS INAC神戸レオネッサ(HOME)会場未定
第3節、4/16(日)13:00 KICK OFF
 VSノジマステラ神奈川相模原(AWAY)AT相模原ギオンスタジアム
第4節、4/23(日)13:00 KICK OFF
 VS 伊賀フットボールクラブくノ一(AWAY)AT上野運動公園競技場
第5節、日時未定
 VSアルビレックス新潟レディース(HOME)会場未定
第6節、5/3(水)13:00 KICK OFF
 VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(AWAY)ATフロンティアサッカーフィールド
第7節、5/7(日)14:00 KICK OFF
 VS浦和レッドダイヤモンズレディース(AWAY)AT浦和駒場スタジアム
第8節、5/14(日)13:00 KICK OFF
 VSマイナビベガルタ仙台レディース(HOME)AT鴻巣市立陸上競技場
第9節、5/20(土)14:00 KICK OFF
 VS AC長野パルセイロレディース(AWAY)AT長野Uスタジアム
第10節、日時未定
 VSノジマステラ神奈川相模原(HOME)会場未定
第11節、8/20(日)18:00 KICK OFF
 VS伊賀フットボールクラブくノ一(HOME)AT NACK5スタジアム大宮
第12節、8/27(日)17:00 KICK OFF
 VSアルビレックス新潟レディース(AWAY)AT新潟市陸上競技場
第13節、9/3(日)15:30 KICK OFF
 VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(HOME)AT川越運動公園陸上競技場
第14節、9/10(日)18:00 KICK OFF
 VS浦和レッドダイヤモンズレディース(HOME)AT NACK5スタジアム大宮
第15節、日時未定
 VSマイナビベガルタ仙台レディース(AWAY)会場未定
第16節、9/24(日)13:00 KICK OFF
 VS AC長野パルセイロレディース(HOME)AT川越運動公園陸上競技場
第17節、10/1(日)13:00 KICK OFF
 VS INAC神戸レオネッサ(AWAY)ATノエビアスタジアム神戸
第18節、10/7(土)13:00 KICK OFF
 VS日テレベレーザ(HOME)AT会場未定

【エルフェン埼玉HP】

連載『今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介』バックナンバー

【①マイナビ・ベガルタ仙台レディース編】
【②浦和レッドダイヤモンズレディース編】

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