【①マイナビ・ベガルタ仙台レディース編】今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介

3月初頭にポルトガルで開催される『FPFアルガルベカップ2017』のメンバーが発表された女子日本代表=なでしこジャパン。

 そのアルガルベ杯を終えると、3月25日にはプレナスなでしこリーグが開幕。当コラムでは、そんな女子サッカーのトップリーグとなる、なでしこリーグ1部の10チームを1チームずつ紹介します。

 第1回は、マイナビ・ベガルタ仙台レディース(以下、ベガルタ仙台L)です。

前身・マリーゼの血を受け継ぐチーム


by vegalta.co.jp
 このチームの母体は1997年に宮城県に本拠を置く、『YKK東北女子サッカー部フラッパーズ』として創部されたのがスタートです。その後、2004年9月に東京電力ホールディングス株式会社に移管され、『東京電力女子サッカー部マリーゼ』として活動拠点を福島県に移しました。

 フラッパーズ時代から実業団チームとして活動していながらも、Lリーグ時代やなでしこリーグとなって以降もリーグのトップ3に入るような名門チームで、成績以上に多くの代表選手を輩出。フラッパーズ時代にはDF大部由美さん(現・なでしこジャパンコーチ)、マリーゼ時代はFW丸山桂里奈さん(昨季限りで引退)、DF鮫島彩選手(現・INAC神戸レオネッサ)などはその代表格となる選手達です。

 しかし、2011年3月11日に起こってしまった東日本大震災により、東京電力はマリーゼを休部扱いに。そこでJリーグのベガルタ仙台がマリーゼの受け皿となって女子チームの『ベガルタ仙台レディース』を創設。マリーゼの18選手を受け入れて、2012年シーズンから2部でリスタートを切ったのが現チームです。(マリーゼからベガルタへ移管しなかったのは、マリーゼが復活する際には自由にその措置がとれるようにするためでもある。)

 そんな経緯で誕生したベガルタ仙台Lは、2012年にチャレンジリーグ(実質2部)からスタートし、いきなり無敗優勝でなでしこリーグへ昇格(現・1部)。1部昇格後も2015年には年間2位に押し上げるなど、名門・マリーゼの血を受け継ぐクラブの実力を証明しています。

 尚、2017年シーズンより大手就職・転職サイトを運営する株式会社マイナビとのパートナー契約により、チーム名も「マイナビ・ベガルタ仙台レディース」に変更となっています。

代表クラスが揃う守備陣健在も、大黒柱・川村の穴は大きいか?


攻撃でも守備でも両ゴール前で存在感を放っていたMF川村の退団は大きい。by 開志学園高等学校

 2015年を年間2位で終えたベガルタ仙台Lは、昨季もリーグ4位(10勝1分7敗、29得点20失点)と好成績を収めました。

 現チームには、北原佳奈選手、高良亮子選手、坂井優紀選手と、守備陣に代表経験のある実力者が揃っています。

 その中でも、昨年のFIFA-U20W杯で3位入賞し、守備の要として大活躍した19歳のCB市瀬菜々選手は、160cmと小柄ながらも読みの鋭さを活かしたクレバーな守備で、高卒1年目だった昨季からレギュラーに定着。今年1月のなでしこジャパン候補合宿でも初招集され、3月にはU23代表としてラ・マンガ国際大会(スペイン)に出場予定。なでしこジャパンの近未来を支える1人としても注目される選手です。

 ただ、昨季まで3年間プレーした日本代表MF川村優理選手が古巣・アルビレックス新潟レディースへ移籍。2015・2016年と2年連続でリーグのベストイレブンにも選出されていた大黒柱の大型ボランチの穴は大きく感じられます。

 攻撃でも守備でも両方のゴール前で存在感を発揮できる彼女は、1点が欲しい場面で自ら得点を奪い、1点を守り切りたい場面で守り切れる。セットプレーにも強く、僅差で競り合うような試合で”違い”を発揮し、より多くの勝点獲得に直接関与できる『勝点を持っている選手』でした。

【注目選手】なでしこジャパン定着の知性派MF佐々木繭


代表ではボランチとして定着しているMF佐々木。彼女の再コンバートがチームの新たなステップにつながりそう。
by ベガルタ仙台トレーニングBLOG
 その川村選手の穴を埋めるような補強はされていませんが、CBの市瀬選手はビルドアップも得意としています。19歳と若い彼女が昨年からの経験によって、よりイニシアチブを握る事で、後方からの起点作りで”川村ロス”の補完体制第1段階はクリアできそうです。

 そして注目は、2015年に年間2位へ躍進した際に、川村選手と共にボランチでコンビを組んでいたMF佐々木繭選手。昨季はチームでは主に左SBとしてプレーしていましたが、彼女がボランチでプレーすれば面白いはず。実際、なでしこジャパンの新指揮官となった高倉麻子監督の初陣で代表招集を受け、以降も定着。代表では主にボランチとして期待されており、アルガルベ杯にも召集されています。川村選手のようなダイナミックなプレーは少ないものの、基本に忠実な正確なテクニックと的確なポジショニングのセンスで攻守共にスマートにプレーできる選手です。

 ある意味、身体能力が高くてパワフルな川村選手は”強引に勝点を奪えてしまえる選手”でした。しかし、それによりチーム全体の成長度は低かったかもしれません。また、マリーゼ時代から続くサッカーからすれば、異分子的な存在で、それが良い意味で”違い”を作り出していたように感じられました。

 今季はその川村選手の退団により、最終ラインから市瀬選手、ボランチから佐々木選手が2段階構造で試合を組み立てる緻密なサッカーへ移行し、次のステップに進むシーズンになりそうです。

 また、このスタイルの方がマリーゼの血を受け継ぐチームに相応しい要素のようにも感じられるため、市瀬選手や佐々木選手、前線でも代表経験のあるFW有町紗央里選手といった組織の中でこそ活きる選手たちが新たに奏でるサッカーは楽しみです。

【ベガルタ仙台L在籍全選手リスト】(公式HPへ)

代表選手を多く輩出しそうなベガルタ仙台Lリーグ戦日程


男子トップチームと同じユアスタでは4試合が予定されている。試合日程は会場も要チェック!
by Vegalta Sendai

そんなベガルタ仙台Lは3月26日(日曜)、アウェイでジェフユナイテッド市原・千葉レディースとの開幕戦を迎えます。

 母体チームから続く名門の系譜からも、代表選手を多く輩出しそうな今季のベガルタ仙台L。

 未来の代表選手たちを是非とも現地で観戦しましょう!

【ベガルタ仙台L プレナスなでしこリーグ1部日程】

第1節、3/26(日)13:00 KICK OFF
VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(AWAY)ATゼットエーオリプリスタジアム
第2節、4/2(日)13:00 KICK OFF
 VSアルビレックス新潟レディース(HOME)ATユアテックスタジアム仙台
第3節、4/15(土)13:00 KICK OFF
 VS AC長野パルセイロレディース(AWAY)AT長野Uスタジアム
第4節、4/23(日)13:00 KICK OFF
 VS ノジマステラ神奈川相模原(HOME)角田市陸上競技場
第5節、4/29(土)14:00 KICK OFF
 VS浦和レッドダイヤモンズレディース(AWAY)AT浦和駒場スタジアム
第6節、5/3(水)13:00 KICK OFF
 VS日テレベレーザ(HOME)ATユアテックスタジアム仙台
第7節、5/7(日)13:00 KICK OFF
 VS INAC神戸レオネッサ(AWAY)ATノエビアスタジアム神戸
第8節、5/14(日)13:00 KICK OFF
 VSちふれASエルフェン埼玉(AWAY)AT鴻巣市立陸上競技場
第9節、5/21(日)13:00 KICK OFF
 VS伊賀フットボールクラブくノ一(HOME)AT仙台市陸上競技場
第10節、5/27(日)13:00 KICK OFF
 VS AC長野パルセイロレディース(HOME)ATユアテックスタジアム仙台
第11節、日時未定
 VSノジマステラ神奈川相模原(AWAY)会場未定
第12節、8/27(日)17:00 KICK OFF
 VS浦和レッドダイヤモンズレディース(HOME)ATひとめぼれスタジアム宮城
第13節、9/3(日)16:00 KICK OFF
 VS日テレベレーザ(AWAY)ATひたちなか市総合運動公園陸上競技場
第14節、日時未定
 VS INAC神戸レオネッサ(HOME)会場未定
第15節、日時未定
 VSちふれASエルフェン埼玉(HOME)AT会場未定
第16節、9/24(日)13:00 KICK OFF
 VS伊賀フットボールクラブくノ一(AWAY)AT甲賀市陸上競技場
第17節、日時未定
 VSアルビレックス新潟レディース(AWAY)ATデンカビッグスワンスタジアム
第18節、10/7(土)13:00 KICK OFF
 VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(HOME)ATユアテックスタジアム仙台

【ベガルタ仙台公式HP】

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