【⑤日テレ・ベレーザ編】今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介
3月初頭にポルトガルで開催される『FPFアルガルベカップ2017』のメンバーが発表された女子日本代表=なでしこジャパン。選手達は2月24日から現地でトレーニングを積み、大会初戦のスペイン戦へ向けて準備しています。
そのアルガルベ杯を終えると、3月25日には今季のプレナスなでしこリーグが開幕。当コラムではそんな女子サッカーのトップリーグとなる、なでしこリーグ1部の10チームを1チームずつ紹介します。
第5回は、リーグ2連覇中の女王=日テレ・ベレーザ(以下、ベレーザ)の登場です。
高倉・澤・永里を輩出した比類なき常勝クラブ
by 中央高等学院
ポルトガル語で「美人」を意味する『ベレーザ』は、1981年に読売サッカークラブ(現J2・東京ヴェルディ1969)の女子チーム『読売サッカークラブ女子・ベレーザ』として発足。
1989年に日本女子サッカーリーグが発足した当時の創設メンバー(6チーム)のひとつとして参加して以来、現在まで唯一2部降格がなく、女子サッカー界のトップランナーとして現在も走り続けています。
その実績は、日本女子サッカーリーグ(Lリーグ、なでしこリーグ含む)を14度、皇后杯を11度制覇するなど、クラブとして獲得して来たタイトルの数は41個。他クラブの追随を許さない、女子サッカー界の名門中の名門クラブです。
現在のなでしこジャパンの指揮官=高倉麻子監督や世界の女子サッカー界のレジェンド=澤穂希さん、日本代表FW永里優季選手(現1.FFCフランクフルト)を始め、日本代表の中心となる代表選手を数多く輩出し続けています。
現チームにも日本代表の主力であるMF阪口夢穂選手とDF有吉佐織選手を筆頭に、アルガルベ杯には7選手が招集を受けており、海外クラブでプレーしているMF宇津木瑠美選手(現シアトル・レインFC)やFW岩渕真奈選手(現バイエルン・ミュンヘン)もベレーザ出身。なでしこジャパンはベレーザで出来ている、と言われても過言ではありません。
尚、2009年にヴェルディやベレーザを運営していた日本テレビフットボールクラブの株式を日本テレビが売却し、日本テレビはクラブ運営から撤退。現在もチーム名が『日テレ・ベレーザ』であるのは、命名権を保有しているからでもある。
代表選手を輩出し続ける育成組織と”鬼軍曹”
“鬼軍曹”と呼ばれるメニーナの寺谷監督。延べ15年近くメニーナで選手育成に携わっているスペシャリストの指導方針や哲学を2011年放送のテレビ番組からご覧ください。
2010年には深刻な経営危機に陥り、クラブの経営規模は大幅に縮小。澤さんや、FW大野忍選手(現・INAC神戸レオネッサ)はプロ契約の解除、契約未更新を通告されるなど、主力選手の多くがINAC神戸に移籍。なでしこリーグでは、そのINAC神戸が3連覇するなど、一転してINACの天下が続く事になりました。
それでも現在はリーグを2連覇し、昨年はリーグカップとの2冠を達成。復権の原動力となったのは、DF村松智子選手やMF長谷川唯選手、FW籾木結花選手やFW田中美南選手を始めとする、クラブの下部組織『メニーナ』で育成された選手達でした。
“鬼軍曹”とも呼ばれ、一時はベレーザも率いた寺谷真弓監督が長年に渡って指揮し、次々と優秀な選手を発掘・育成して来られたのは、クラブに一貫したメソッドやビジョンがあるからこそです。
その証拠に、例えばFWでは岩渕選手と籾木選手は個人技での打開力やキープ力に長ける同タイプで、田中選手や昨年は16歳ながらリーグカップで5得点を挙げたFW植木理子選手は、縦へのスピードを活かした突破力や裏へ抜けるタイミングに長けたタイプ。特にセンターバックやボランチ、FWは、同じポジションで同じタイプを育てると言うよりも、2人で補完性をとれるような組み合わせも考慮されて育成されています。
他のポジションでも常に後継者が常に育成組織からスタンバイされており、もし誰かが海外移籍でチームを離れても、直ぐに穴を埋められるような育成システムが出来上がっています。
主力選手を多く入れ替えるような過渡期には苦労するのは当然ですが、一定の経験値さえ積めれば代表クラスの選手へと成長し、気付けばいつのまにか常勝チームへと成長している。特に現在のチームはこのような育成システムの重要さを改めて感じさせる若いチームです。
【注目選手】FW籾木結花~女子サッカー界にもメッシがいる?
昨年のU20W杯ではエースとして3得点を決めたFW籾木。今季はクラブでも代表でも得点量産を期待したい。(14番もベレーザ所属のMF三浦成美。)by 籾木結花Twitter
リーグ2連覇中でありながらも、若手が多い現在のベレーザ。昨年のFIFA-U20W杯にも6選手(その後、DF清水梨紗選手が怪我で辞退)を派遣し、多くの選手が3位入賞に大きく貢献しました。
その中でも今季さらなる成長を見せそうなのが、FW籾木選手。トップ下のような位置を得意とする左利きのセカンドトップで、ドリブルやワンツーを駆使して局面を打開し、自ら得点を決めたり、スルーパスでアシストを量産する事もできる現在20歳の選手です。
昨年からベレーザで背番号10を託され、リーグのベストイレブンにも選出される活躍で優勝に大きく貢献した籾木選手。U20W杯でも背番号10を背負い、相手のマークが厳しい中でも3得点。今年に入ってからはフル代表となる、なでしこジャパンにも選出され、アルガルベ杯にも出場します。
上記したように岩渕選手のようなドリブルで突破しながら得点を狙うタイプですが、籾木選手はベレーザでの登録がMFになっている通り、ゲームメイクにも幅広く絡める選手です。ただ、2014年にリーグ28試合で10得点していますが、昨年は18試合で7得点。アシストや得点への関与で貢献度は特大ながら、ベレーザのFWとしてはまだまだ物足りない数字。U20W杯でも尻すぼみに終わったように、自らの得点力には課題が残ります。
しかし、この課題はむしろ”伸びしろ”で、これが克服された時、籾木選手は「女子サッカーにもメッシがいるの?」と言われるほどの選手となっているでしょう。
パートナーには昨季18得点で得点女王にも輝いた日本代表FW田中美南選手がいますが、昨年に様々な刺激を受け、アルガルベ杯でも多くの宿題を持って帰って来るだろう籾木選手は今季、自ら得点を狙うプレーが多くなり、本格派の道を歩み始めそうです。
日テレ・ベレーザのリーグ戦日程
ホーム戦は高校サッカーの聖地でもある、この西が丘(写真)など様々な会場+地方開催も含まれるので、スケジュール確認は必須!by wikipedia
そんな日テレ・ベレーザは3月26日(日曜)、ホームにちふれASエルフェン埼玉を迎えて開幕戦を戦います。
籾木選手と田中美南選手の最強2トップを始め、ピッチのどこを見渡しても日本代表が揃う絶対女王・ベレーザ!
今季もこのチームを中心になでしこリーグが展開される事は間違いないでしょう!
【日テレ・ベレーザ プレナスなでしこリーグ1部日程】
第1節、3/26(日)13:00 KICK OFF
VSちふれASエルフェン埼玉(HOME)AT味の素スタジアム西競技場
第2節、4/2(日)13:00 KICK OFF
VS伊賀フットボールクラブくノ一(AWAY)AT上野運動公園競技場
第3節、4/15(土)13:00 KICK OFF
VSアルビレックス新潟レディース(HOME)AT多摩市立陸上競技場
第4節、4/23(日)14:00 KICK OFF
VS浦和レッドダイヤモンズレディース(AWAY)AT浦和駒場スタジアム
第5節、4/29(土)13:00 KICK OFF
VS AC長野パルセイロレディース(HOME)AT多摩市立陸上競技場
第6節、5/3(水)13:00 KICK OFF
VSマイナビベガルタ仙台レディース(AWAY)ATユアテックスタジアム仙台
第7節、5/7(日)13:00 KICK OFF
VSノジマステラ神奈川相模原(HOME)AT味の素スタジアム西競技場
第8節、5/14(日)13:00 KICK OFF
VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(HOME)AT大和なでしこスタジアム
第9節、5/21(日)13:00 KICK OFF
VS INAC神戸レオネッサ(AWAY)ATノエビアスタジアム神戸
第10節、5/27(日)15:00 KICK OFF
VSアルビレックス新潟レディース(AWAY)AT新発田市五十公野公園陸上競技場
第11節、8/19(土)18:00 KICK OFF
VS浦和レッドダイヤモンズレディース(HOME)AT味の素フィールド西が丘
第12節、8/26(土)16:00 KICK OFF
VS AC長野パルセイロレディース(AWAY)AT佐久総合運動公園陸上競技場
第13節、9/3(日)16:00 KICK OFF
VSマイナビベガルタ仙台レディース(HOME)ATひたちなか市総合運動公園陸上競技場
第14節、日時未定
VSノジマステラ神奈川相模原(AWAY)会場未定
第15節、9/17(日)15:00 KICK OFF
VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(AWAY)ATフロンティアサッカーフィールド
第16節、9/23(土)18:00 KICK OFF
VS INAC神戸レオネッサ(HOME)AT味の素フィールド西が丘
第17節、9/30(土)13:00 KICK OFF
VS伊賀フットボールクラブくノ一(HOME)AT多摩市立陸上競技場
第18節、10/7(土)13:00 KICK OFF
VSちふれASエルフェン(AWAY)ATしらこばと運動公園競技場
連載『今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介』バックナンバー
by nadeshikoleague
なでしこリーグ1部全チームのクラブの成り立ちやチーム状況、注目選手などを当コラムの連載として掲載しております。
尚、バックナンバーは以下からご覧ください。
【①マイナビ・ベガルタ仙台レディース編】
【②浦和レッドダイヤモンズレディース編】
【③ちふれASエルフェン埼玉編】
【④ジェフユナイテッド市原・千葉レディース編】
次回はあの昇格チームが登場!乞うご期待!