今季絶好調で2度目のブレイクを果たしているベテラン日本人FWをご存知でしょうか。それは、現在2ndステージ2位と躍進を続けるヴィッセル神戸のキャプテン渡邊千真選手です。
決して順風とは言えないキャリアを送りながら、それを糧に成長を続け、輝きを見せる渡邊千真選手の歩みを振り返ってみましょう。
by ヴィッセル神戸
将来を有望視される若手時代
高校時代は名門国見高校でプレーし、1学年上の平山相太選手と高校サッカーを席巻し、インターハイでは得点王に輝くなど、そのストライカーとしての非凡な才能を発揮。その後、早稲田大学に進学。2年連続で関東大学サッカーリーグの得点王、更に当時のゴール記録を塗り替えました。
大学卒業後は各Jクラブの争奪戦の末、2009年横浜Fマリノスに入団。期待の表れから、いきなりエースナンバー「9」を与えられ、レギュラーポジションを奪取し、得点を量産。その年の新人王のタイトルも獲得し、日本代表にも選出され、当時の日本代表の決定力不足を解消するFWとして期待されていました。
by ドメサカブログ
課題との直面
プロ1年目から素晴らしい結果を残した渡邊千真選手、しかし、彼のプレーには一つ欠点がありました。それは、戦術的柔軟性が足りないということです。「ゴールを決める」この技術に特筆していた彼ですが、現代サッカーにおいて、FWの役割は多岐に渡り、より「チームのために」という意識が求められます。
その点、当時の木村和司監督から守備意識、チャンスメイク力を要求されますが、それに応えることが出来ず、徐々にポジションを失っていきました。出場機会を求める渡邊は2012年にFC東京に移籍します。しかしここでも不慣れな2列目やウイングでの起用が多く、思うような結果を残すことが出来ませんでした。この時、多くのサッカーファンは「渡邊千真は終わった」と思いました。ですが、この時の経験が彼を成長させていくのでした。
by ドメサカブログ
ラストチャンスで復活
2015年、ヴィッセル神戸に移籍。この時、彼は28歳、サッカー選手として決して若くはない年齢で、ラストチャンスとも言える状況でした。ここで、出会ったネルシーニョは状況によって様々な戦術を選択する監督で、もちろん渡邊にも様々な役割を要求しました。彼はこれに応え、ネルシーニョ監督の信頼を得ていくのです。
課題だった守備意識、チャンスメイク力が改善され、サイドで起用されてもその役割を果たしました。そして今季、キャプテンに就任した彼は元々のゴールゲッターとしての実力に加え、FWとして幅のあるプレーでチームを牽引し、勝利に導いています。ハリルホジッチ監督、岡崎や浅野とは異なるタイプの本格派ストライカーを一度試してみてはいかがでしょうか。