by PopMatters
世界中のスタジアムで流れる音楽にはFIFAワールドカップやUEFAチャンピオンズリーグのアンセムを筆頭に様々な定番曲があります。選手やサポーターも、「あの曲をピッチで、現地で聞きたい」と言えるほどのサッカーのために作られた定番曲です。
そんな中、近年はサッカーのために作られたわけでもないのに、全世界のサッカースタジアムで流れている”必殺キラーチューン”があります。
それがこのミュージック・ビデオの楽曲です。
ファン・ペルシーのチャントでも有名な『Seven Nation Army』
by Daily Mail
「あ、これこれ。曲名は知らないけど聴いた事がある」そんな感覚になったサッカーファンの方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?
この曲のタイトルは『Seven Nation Army』。アメリカのミシガン州デトロイト出身の2人組ロックバンド=The White Stripes(冒頭の写真)が2003年にリリースした楽曲です。
アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドのファンの方々は、両チームに在籍したオランダ代表FWロビン・ファン・ペルシー選手(現・フェネルバフチェ/トルコ)で思い出すのではないでしょうか?
プレミアリーグで2011-2012,2012-2013シーズンと2季連続の得点王に輝いたファン・ペルシー選手が得点すると流れる挿入歌、「♪~オー・ロビン・ファン・ペールシ~」というチャントがコチラです。
独特の美意識を持つ奇才=The White Stripes
by Diffuser
ファン・ペルシー選手のチャントだけでなく「EURO(欧州選手権)2008」の選手入場曲にも使用されるなど、今ではサッカー界では有名な楽曲になりました。
その効果もあってか、2003年の初リリースから10年近く経ってから全英チャートに再登場する珍事も起きました。また、2006年のドイツW杯で優勝したイタリア代表選手が表彰式で大合唱していた事もあり、イタリアではその年にシングルリリースされて週間チャートのトップ3を記録しました。
そんなホワイト・ストライプスはジャック(ギター&ヴォーカル)&メグ(ドラム)のホワイト”兄妹”としてデビューしたのですが、実は結婚していた元・夫婦。公になっても音楽活動時は”兄妹”と振る舞う彼等は色々ありながらも、その音楽性は高く評価されていました。特にジャックは”歴代のカルトヒーロー”と肩を並べるギタリストとして、各種ギタリストランキングに現役世代として唯一ランクされる超絶技巧のテクニックを持つと評価されています。
2人組ながらも、”ロックバンド”と表現したのは、ジャックがリズムギターとリードギターのフレーズを同時に弾きこなすような奏法を見せてくれているからです。
そんな彼等の作品や衣装、ライヴにはバンドのイメージカラーである赤・白・黒の3色しか使わないという拘りとコンセプトもあります。ライヴDVDなどの映像作品には8ミリ映像で録画するなど、独特の美意識を持つ奇才のアーティストでもあります。
イギー・ポップ擁するストゥージーズを筆頭に”ロックの街”デトロイトでは、”ガレージロック”と呼ばれるチープでミニマルでストイックなロックが有名です。
「誰にでも出来そうな、でも拘りがある、美しさがあり、物語りがある」音楽を奏でるホワイト・ストライプスとジャック・ホワイト。それはまさにサッカーに相通ずる部分があるのではないでしょうか?
ホワイト・ストライプスは2011年に解散しましたが、解散理由として挙げたのが、「今まで築き上げてきた自分たちの音楽・アートを最高の形で残したいため」としたのもサッカー選手の引退発表のようでもあります。
ホワイト・ストライプス解散後はソロ活動を始め、The RaconteursやDead Weatherというバンド活動も並行して行っているジャック・ホワイトにも注目し、今日も『Seven Nation Army』を聴きましょう!