リーグ優勝目前のレスターを支えるアンセム~地元出身バンド=KASABIAN『Fire』とは?

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by Matt Henshaw Through The Looking Glass

「開幕戦の前には選手たちに『Kasabian(カサビアン)の曲を聴きなさい』と言っておきました。『そうしたら勝てるはずだ』と。実際にそうなりましたから。」
(「好きなんですか?」との問いに)「ロックは好きですし、良いバンドですから」

声の主は、クラウディオ・ラニエリ。日本代表FW岡崎慎司選手所属のレスター・シティを率いるイタリア人監督です。今季のリーグ開幕戦でサンダーランドに4-2と勝利した直後のインタビューでした。
現在のイングランド・プレミアリーグは第34節を終了。レスターは残り4試合で、2位のトッテナム・ホットスパーと勝点5差の首位を快走しています。
昨季は第29節終了時には勝点が19ポイントしか挙げられずに最下位にいたレスター。1年前はラスト9試合で7勝1分1敗の”大脱出”に成功したわけですが、そのペースは1年経っても全く衰えていません。今季僅か3敗のみの快進撃が続いています。
トップ4の常連クラブとは予算規模で8~10倍ほどの違いがあるレスターのタイトルレース快走は、誰から見ても今季最大のポジティヴなトピックとなっています。世界中のサッカーファンがレスターのリーグ優勝を心待ちにしていると思います。
しかし、彼等の躍進ぶりを悔しがっている人達もいるでしょう。それは未だ優勝の可能性があるアーセナル(レスターに2戦2勝)とトッテナムが拠点を置く北ロンドン界隈の人々なのか?レスターに敗れてチェルシーの指揮官を解任されたジョゼ・モウリーニョ監督は、2000~2004年まではチェルシーの指揮官も務めたラニエリ監督を呪っているかもしれません。

プレミアリーグ公式ソングも担当した地元レスター出身のロックバンド

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by Coolspotters

悔しがっているのは、地元レスター出身のロックバンドであるカサビアンかもしれません。彼等が2009年に発表した3枚目のアルバム『West Ryder Pauper Lunatic Asylum』に収録されている楽曲『Fire』は2011年から2013年までプレミアリーグの公式テーマソングにも抜擢されていました。
しかし、当時のレスターは10年間の下部リーグ暮らしが続いており、サッカー関連のインタビューでも、メンバーたちは「うちのクラブは弱っちいままだ。それでも俺達はレスターのファンだ。それがサポーターの姿だ。」と常々言っていた事を思い出します。英国人のサッカーとの関わり方を象徴するような表現だったように思います。また、当時レスターに所属していた日本代表MF阿部勇樹(現・浦和レッズ)選手の事ももちろん知っており、選手としての評価も高く買ってくれていたサッカー愛のあるロックお兄さん達です。
ちなみにプレミアリーグの公式ソングだった『Fire』は、現在レスターの本拠地=キングパワー・スタジアムでの試合開始前に流れていて、レスターの得点時にも流れております。快進撃を続けるレスターを支えているのは彼等の音楽なのかもしれません。
ただ、レスターはカサビアンの『Fire』がテーマソング契約が終了した2013-2014シーズンから急に快進撃を始め、チャンピオンシップ(2部リーグ)で優勝してプレミアリーグに10年ぶりに昇格。翌シーズンは最下位を独走しながらも終盤にV字回復してプレミア残留を勝ち取り、現在の優勝目前の状況にまで迫っています。
カサビアンにとっては「もうちょっと早く強くなって欲しかった」かもしれません。いや、純粋なレスター・サポーターのカサビアンならば、素直に嬉しく思っていることでしょう。

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by Kasabian’s Legion

実際、レスターの試合中継を観ていると、カメラがカサビアンのメンバーを捉えたカットを抜くシーンもよくあります。それだけ彼等は頻繁に現地観戦に訪れているのです。
もちろん、『Fire』をスタジアムで流しているクラブ側もカサビアンを試合当日のイベントに起用する事もあり、地元を代表するミュージシャンであるからこそ、冒頭のラニエリ監督の言葉も出て来たのでしょう。

カサビアンを聴いて現地の臨場感を感じよう!

筆者はカサビアンの2004年のデビュー当時からのファンで、本格的に日本の音楽シーンでも評価されたデビュー当時の代表曲「Club Foot」は未だによく聴いています。近年でも2014年に日本の都市型ロックフェス=サマーソニックに出演していたのでライヴを観に行って来ました。
そんなカサビアンのミュージック・ビデオを掲載して本稿を締めたいと思います。きっとリーグ優勝が目前に迫る現地の臨場感が少しは伝わるはずです。
まずは2011年から2013年までプレミアリーグの公式テーマソングになった「Fire」。週末の朝に陽が昇り、楽しみな週末がやってくるかのようなダイナミズム溢れるサビへの展開が印象的な楽曲です。

そして、もう1曲は筆者も含めてUKロックファンなら知らぬ者はいないはずのキラー・チューン「Club Foot」。グルグル渦巻く独特のグルーヴとフックの利いたリズムは独創性溢れるまさにカサビアン流。コレを聴いて彼等のライヴに行こう!!

いや、レスターの試合を観よう!!!

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