どんな世界にもどん底から這い上がって成功を掴んだ伝説的な人物がいるものです。今年のサッカー界ではイングランド・プレミア・リーグのレスター・シティFC(以降レスターと表記)に所属するFWヴァーディ選手が時の人。
まだご存知無い方も多いと思いますが、プレミア・ドリームを掴んだサッカー選手なんです。彼の生い立ちと現在をご紹介しましょう。
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挫折から立ち上がったサッカー人生
彼の名前はジェイミー・ヴァーディ。イングランド出身の28歳。身長178cm、背番号9。初めて名前を聞くという方も多いでしょう。
そもそも彼が現在所属するレスターというサッカーチームは、今期はプレミア・リーグに属していますが、2003年から2013年までの10年間はプレミア・リーグの下部リーグに属していたチームなんです。その意味からもチーム自身がそもそも注目を浴びる存在ではありませんでした。
ところが昨年からプレミア・リーグに返り咲いて、今年のシーズンは大ブレーク。筆者が執筆している今日現在で何とプレミア・リーグの首位を走っています。あのマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、アーセナルを抑えての堂々一位です。その原動力になっているのがジェイミー・ヴァーディ、その人なんです。
彼のサッカー人生は挫折から始まっています。彼の地元のサッカー・クラブであったシェフィールド・ウエンズデイに15歳で所属するも、背が低いという理由で翌年にチームを追われ、失意の底に突き落とされました。
まだ15歳ですから身長は伸びるもの。皮肉なもので、シェフィールド・ウエンズデイを離れて数ヶ月もすると140cmだった身長は瞬く間に伸びて160cmになったそうです。失意の後、2007年にイングランド8部に相当するストックスブリッジ・パーク・スティールズに加入します。
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この頃は昼間は工場で勤務して、夜にはサッカーの練習という毎日を送ります。重量物の移動作業が過酷だったそうですが、結果的には足腰を鍛えることに繋がったと述懐しています。このチームでは3期を過ごしますが、成績は記録に残っていません。
その後2010年に当時プレミア7部のハリファックス・タウンに移籍。ここから顕著に頭角を表し始めます。このシーズンは27得点を決めてチーム内得点王になります。チームもこのリーグで優勝し、翌年6部に昇格します。
2011年開幕4戦で3ゴールを決めた後、彼は当時プレミア5部のフリートウッドに移籍します。シーズン途中の移籍ながら、このシーズン通算36試合に出場し31得点を決める活躍をします。
そして翌2012年に当時プレミア2部のレスターに移籍を果たします。レスター加入後たったの1年で、チームは2部の優勝を飾り、2014年からはとうとう念願のプレミア・リーグに昇格することになりました。
2007年に8部チームから始まった彼のサッカー人生は、たったの7年間でトップ・リーグであるプレミア・リーグにまで駆け上がるという、まさにプレミア・ドリームを掴んだのです。
今シーズンの活躍ぶり
特筆すべきは今シーズンの彼の活躍ぶり。チームが現在プレミア・リーグのトップを走っていると共に、得点ランキングも15得点(執筆時点)でジェイミー・ヴァーディがトップなのです。
更に凄いことに、去る11月28日に行われたマンチェスター・ユナイテッド戦で、プレミア・リーグの記録を塗り替える11試合連続ゴールも決めているのです。それまでの記録は12年前に元オランダ代表FWのルート・ファン・ニステルローイ氏が打ち立てた10試合連続ゴールでした。
2年前までは2部、4年前までは5部の選手だった彼が、並み居るプレミア・リーグのストライカーを押しのけて現時点で得点王なんです。驚異的な活躍と言って過言ではないでしょう。
そして、念願のイングランド代表にも今年初選出されて、6月7日のアイルランド戦後半途中からルーニーに代わって代表デビューを飾ったのです。
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同僚岡崎選手のヴァーディ評
ジェイミー・バーディが所属するレスターには、元日本代表選手で現在Jリーグ浦和レッズの阿部勇樹選手が2010年から2012年まで在籍していましたが、ジェイミー・ヴァーディ選手は2012年加入なので、完全にすれ違いで浦和レッズに戻っています。
現在は日本代表FWの岡崎慎司選手が在籍しています。つまり岡崎選手は彼とは現役の同僚選手ということになります。岡崎選手から見たジェイミー・ヴァーディ選手像はどんな感じなのでしょうか?地元紙レスター・マーキュリーが岡崎選手自身の言葉として伝えてくれています。
おそらくジェイミーはプレミアリーグのサプライズですよ。彼は非常に速く、相手に常にプレッシャーを与えています。
とスピードのある攻撃的な選手であると評価しています。また、
僕は今セカンドストライカーで、彼がトップです。僕はジェイミーを見て、彼は僕を見て、僕らはいい組み合わせです。セカンドストライカーとしてプレーしている今はよりいい感じです。
と、自身とジェイミー・ヴァーディーとはトップとセカンドのFWとして好い関係が保てながらゲームに望んでいると語ってくれています。
ブンデス・リーガのマインツから移籍したばかりの岡崎選手にとって、プレミア・リーグで初のチームであるレスターでの環境は、驚異的得点能力のあるジェイミー・ヴァーディ選手の影に隠れるわけではなく、相乗効果を発揮できていて、チームに貢献しているということだと思います。
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今期開幕直後に東アジア人に対して人種差別発言があって一時は社会問題化していましたが、すぐに謝罪文を発表し、現在は沈静化しています。
8部リーグからトップリーグまで驚異的なスピードと活躍でのし上がって来たジェイミー・ヴァーディーは、世界のサッカー界に成り上がり伝説を作ったと言えます。
今後が大いに期待される選手です。
SOURCE : サッカーダイジェストWeb | Wikipedia | QOLY | SOCCER KING | Soccer Magazine ZONE web