2019年の開幕が待たれるなでしこリーグ。昨シーズン、日テレベレーザ、そしてINAC神戸レオネッサが3つのタイトルを争うなど、なでしこリーグの「2強」として君臨した。今シーズンもタイトル争いの主役となるであろう両チーム、それぞれの中心選手の活躍が期待される。
田中美南 リーグ屈指の点取り屋として
なでしこリーグ4連覇、今年の元日には皇后杯も制し、国内タイトル3冠を達成した日テレベレーザ。「絶対王者」の中心選手として牽引するのがエース・田中美南だ。2016年に初の得点王に輝くと昨季まで3シーズン連続でその座を手にしている。
高い身体能力を擁しスピードのあるドリブルや安定したボディバランス、さらには勝負所でゴールを「決め切る」嗅覚を備えている点取り屋だ。
先の皇后杯では決勝までの全試合でゴールを挙げる活躍をみせた。準決勝の浦和レッズレディ-ス戦では前半43分相手ゴール前の混戦の中、細かいステップからシュートを放ちこの試合唯一の得点となるゴールを決めてみせた。また、決勝の神戸戦でも延長後半、ドリブルから抜け出しチーム4点目となるゴールで試合を決定付けている。
同じく神戸との決勝となった昨年7月のリーグカップ決勝でも、守りを固められた中、試合最終盤で決勝のヘディングシュートを叩き込んだ。まさにその決定力と勝負強さは驚異的であり、リーグ屈指を誇る。
昨シーズンは自身初のリーグ最優秀選手にも選ばれ、名実ともに日本を代表するプレイヤーにまで上り詰めた。2019年、日テレベレーザの5連覇、さらには4年連続の得点王に向け、今年も田中美南のゴール量産は確実だ。そして今年も多くのファン、サポーターが彼女のプレーを観る為にスタジアムに足を運ぶだろう。なぜならば現在、なでしこリーグには史上最高のストライカーが存在するのだから。
岩渕真奈 悔しさが残った昨年の雪辱を
岩渕真奈はINAC神戸レオネッサで3シーズン目を戦う。
昨シーズンはリーグ、リーグカップ、皇后杯と何れもタイトルには届かなかった。3つともが日テレベレーザの後塵を拝する形となり、自身も一年を通して満足のいく内容を残せなかった。
その中でもシーズンの最後の公式戦でもあった皇后杯決勝の日テレベレーザ戦、敗れはしたものの高いパフォーマンスをみせつけた。2トップの一角として最前線で動き回り、攻撃のみならず前からのデフェンスも精力的にこなした。序盤からシュートを放ち、パスやドリブルでも起点となり幾度となく好機を演出する。残されたタイトルを奪うべく、「宿敵」を打ち破る執念さえ伝わってくるかのような鬼気迫るプレーが続いた。
そして前半41分に先制点が岩渕のプレーから生まれる。カウンターから相手のディフェンスライン手前でパスを受けるとツータッチ目、右足のアウトサイドでスルーパスを送る。これを増矢理花がゴールに流し込んだ。スピードに乗った流れからボールをコントロールし、狭い間をすり抜ける一瞬でベレーザディフェンスを切り裂いた絶妙なまでのパスだった。
女子ワールドカップがフランスで開催される今年、これまで以上に国内外の女子サッカーに注目が集まるだろう。8年前、10代にして世界制覇の一員となった岩渕も夢のピッチを目指す一人だ。だがINAC神戸レオネッサの背番号10に気負いはない。
「INACで一つでも多くのタイトルを獲り、チームで結果を残した先に日本代表がある」そう語る岩渕真奈は今季からキャプテンに選ばれている。チームの先頭に立ち、今年こそタイトル獲得に挑む。