Shooty

アーセナルが次のステージに進むために

footidiota

2018/12/30 09:30

2018/12/29 12:06

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NEWS

アーセナルの強みは「多様性」であると考える。各国のワールドクラスをロンドンの地に呼び寄せ、創造性に富んだプレーを注入させる。彼らの魅力的なフットボールは、あたかもミュージカルを鑑賞しているかのような美しさをエミレーツの空間で表現している。

ゴール集を見ても、アーセナルは芸術性のあるアーティスティックなゴールが多い。これは今シーズンに限らず、長年続いているアーセナルの文化である。こうして世界中から集まったプレーヤーたちの個性と感性を頼りに勝利を手繰り寄せている。

プレミアリーグ18節時点トップハーフチームの外国人プレーヤー数を鑑みてもアーセナルはワトフォードに次ぐ2番目多さであり、アーセナルが多様性を重視していることがここからも分かる。

今シーズンからエメリ氏が指揮をとり新体制をスタートさせた。公式戦22戦無敗やELグループステージ首位突破など着々と結果を残しつつある。現在プレミアリーグ5位。十分CL出場にチャレンジできる状態だ。
今おもしろい環境であることは紛れもない事実だが、完成度の点ではまだまだ発展途上である。(1年目なのでそれを求めることは流石に酷ではあるが。)
結果的には勝利を収めたが内容は圧倒されていた試合の方が多かったりするためフラストレーションが募っている方も多いことだろう。
その理由は一体何なのか。アーセナルが更なる高みを目指すべく、問題点と対策を考えてみた。
◆消える攻撃陣

18節時点での決定機上位10チームを表しているが、アーセナルは37回と9位。1試合に2回しか決定機をクリエイトできていない。理由は様々あると思うが、私はビルドアップに原因があると考える。

アーセナルはビルドアップの際、まず外へ散らしてそこからFWへくざびを出すかアグレッシブに中で動き回るジャカやゲンドュージ、トレイラといったCMFにボールを出す傾向にある。相手守備の視野を限定化させ守備の綻びを作るようにデザインされている。
しかし、その時に2列目にポディションを取るイウォビやムヒタリアンが有効的にボールタッチできていない。前を向くことができず後ろへパスしたり、無理に貰おうとしてボールロストするシーンを多く見かける。どうしても払拭しきれない消えるプレーヤーの出現により、生まれるはずの決定機を得ることができないのだ。

◆ピッチバランスが取れない時間がある
私は常々「アーセナルはバランサーがいれば勝ち点を落とさなかった」と感じている。実際チームのバランスを取ることに長けているプレーヤーと比較しても、ピッチ全体をカバーするような献身的なプレーができているMFがアーセナルにはまだ表れていない。

ジャカやゲンドゥージはサイドでボールを受け取る傾向にあり、どうしても中央が手薄になってしまう。トレイラも中央を意識して位置取りをしているが、完全に全体をカバーしきれているとは言い切れない。対して、マンチェスターシティのフェルナンジーニョやチェルシーのジョルジーニョはバランスよくピッチ全体に顔を出している。ワトフォードのドゥクレーもこういったプレーに長けている。
アーセナルの攻撃にはベジェリンやコラシナツといったサイドバックが欠かせないため、彼らの縦への意識が試合を大きく左右していることには間違いない。しかしアーセナルが苦戦する試合では必ずと言っていいほど彼らの裏のスペースを突破されている。7節のワトフォード戦ではサイドバックの裏を突破されてゴールまで運ばれるシーンが多くあった。

17節のサウサンプトン戦においても「サイドを制するものは試合を制す」という教訓を思い知らされた試合になったことだろう。3失点すべてサイドからの突破によってゴールを許してしまった。
カラバオカップ準々決勝トッテナム戦ではサイドではなく、固めなければならない中央からいとも簡単に突破をされ2失点を喫し敗退してしまった。トッテナムのGKガッサニーガはアーセナルの偏った陣形を試合を通じて把握していたのだ。

どの映像にも言えることだが、「もしピッチ全体を俯瞰して見渡せることができカバーするバランサー」がアーセナルのMFにいればもっと内容も充実した戦いができるのではないかと考察する。

◆そんなアーセナルへの処方箋とは
バランスが取れて厚みのある攻撃ができるプレーヤーの存在がアーセナルを次の次元に導いてくれると私は確信している。ムヒタリアンも離脱と報じられ、そうしたプレーヤーを獲得することが急務であると現地では騒がれている。
果たして本当にそうなのだろうか。既にそうした選手はアーセナルにいるのではないか。

ラムジーだ。今こそ彼を投入するべきではないだろうか。昨シーズンからアーセナルへの思い入れや忠誠心が強いウォルコットやギブス、ジルーが去る中、多様性のチームを深く知る人物は彼しか残っていない。14節で勝利したトッテナム戦の後半のように、献身性の高い彼を2列目に配置させ、ボランチのバランスを取ることに専念させれば組織としてより強固なものになると私は考える。

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