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ウルトラマン並みにJリーグ後半戦に活躍中の浦和レッズ・ファブリシオ選手

扇ガ谷 道房

2018/08/24 19:56

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NEWS

W杯中断から再開したJリーグ。浦和レッズの前線の異変にお気づきでしょうか?
不思議な風貌で、パワフルに活躍している外国人選手が登場しています。がっちりした体つきで、モヒカン刈の風貌に似合わず、優しい眼差しと、コケティッシュな雰囲気が、何とも不思議なパーソナリティをかもし出しています。
風貌の特徴もさる事ながら、再開後のリーグ戦でFWとして得点という結果を着実に残しています。
ポルトガル・プリメイラリーガのポルティモネンセから浦和レッズに移籍した、ブラジル人のファブリシオ・ドス・サントス・メシアス選手(以降ファブリシオ選手と記載)です。

 

ブラジル出身、ポルトガル育ちのFW

ファブリシオ選手は1990年ブラジルのサンパウロ生まれの28歳。2009年にブラジルのコリンチャンスでプロサッカー選手登録されて、その後3クラブにローン移籍の後、2011年にボタファゴに移籍します。
  
浦和レッズのオリヴェイラ監督もブラジル出身で、ブラジルでは毎年の様に監督としてクラブを移籍しており、ファブリシオ選手の所属していたコリンチャンスとボタファゴの監督経験もあるのですが、二人は微妙にすれ違っており、同じクラブに所属したのは今回の浦和レッズが始めての経験となりました。
2011年、ポルトガルのポルティモネンセに移籍し海外デビューを果たします。ファブリシオ選手が移籍した年は、プリメイラ・リーガ(1部)から降格したばかりで、クラブはセグンダ・リーガ(2部)で開幕しました。初の海外移籍であり、ポルトガル2部リーグでしたが、翌年まで無得点に終わり、2012年には中国スーパーリーグの杭州緑城にレンタル移籍します。
  
丁度、日本人として初の中国スーパーリーグ監督として、元日本代表監督の岡田武史氏が就任した年でした。ここから結果的にはファブリシオ選手の日本との関わりが始まります。
  
2012年半ばにポルティモネンセに戻り、初得点を挙げると、4年間で21得点を記録しています。2016年夏、鹿島アントラーズに電撃移籍しJリーグにデビュー。2017年元旦の天皇杯決勝川崎フロンターレ戦で決勝ゴールを決めて、優勝に貢献しましたが、Jリーグでは1得点に終わりポルティモネンセに復帰してしまいます。
  
古巣に復帰すると、チームはセグンダ・リーグで優勝を果たし、見事にプリメイラ・リーガ復帰を果たします。そして迎えた初のポルトガル1部リーグで15得点する大活躍を見せ、リーグ4位の得点実績を携えて、浦和レッズに完全移籍する事になったのです。
  
ちなみに、2017年シーズンは、日本人の中島翔哉選手とチームメートとしてプレイしています。筆者既著「ポルトガル・リーグのポルティモネンセSCに移籍を果たした中島翔哉の挑戦」(https://shooty.jp/11835)をご参照下さい。
  
この様に、ファブリシオ選手は、ブラジル生まれでポルトガル育ちながら、岡田武史氏、鹿島アントラーズ、中島翔哉選手と、日本との関わりを持ちながら、再度Jリーグのステージにやって来たのです。

興梠選手と並存するストライカーの誕生

  
浦和レッズはここ数年間、興梠慎三選手のワントップ体制チーム。ミハエル・ペトロヴィッチ監督(現北海道札幌コンサドーレ監督)時代は、3-4-2-1のフォーメーション、今シーズン当初も4-3-2-1で、全て興梠選手の1トップ2シャドーのフォーメーション。
監督が3人目となった今シーズンは、開幕からフォーメーションの変化があったとはいえ、興梠選手がトップに据わるイメージが定着しています。
ところがW杯中断明けの浦和レッズは、ファブリシオ選手が加入した事により、次第に興梠選手との2トップ・フォーメーションに変化を遂げています。
  
しかも、後半戦から7ゲームの出場(筆者執筆時点)でありながら、ファブリシオ選手は既に6得点を決めています。ほぼ毎試合得点している状態です。
 
つまり、ファブリシオ選手の加入によって、浦和レッズのFWの体制に変化が生じ、興梠選手頼みだったゴール数も着実に増えています。全てファブリシオ選手の加入効果と言えます。
  
昨シーズン爆発的な得点でクラブをアジア王者に導いたラファエル・シルバ選手が、1シーズン限りの在籍で中国2部のクラブに電撃移籍してしまい、減少していたゴール数をファブリシオ選手が再生させてくれているのです。
正に、浦和レッズの救世主としての存在感を増しています。

 

シュートレンジを嗅ぎ分けるストライカー嗅覚

ファブリシオ選手のプレイスタイルは2トップの一角、もしくはトップから1列後ろのシャドーが得意エリアで、ゴールへの嗅覚に優れたストライカータイプと言えるのではないかと筆者は見ています。
リオネル・メッシの様なドリブラーでもなく、クリスチアーノ・ロナウドの様なオールラウンダーとも違い、シュートを狙えるレンジを天性的に嗅ぎ分けて、相手の嫌な場所に出没し、強引にボールを持ち込んで、シュートを放っています。
身長183cm、体重78kgですから、プロサッカー選手としては以外に平均的な体格ながら、相手に当たり負けしない強いフィジカルと、確実性の高いシュート能力を保持しています。
ミドルレンジからのシュート能力も高く、ペナルティエリア外からでも相手に脅威を与える事ができる事から、攻撃性の面では申し分の無い選手と言えます。
  
一方で、FWにも求められる献身的な守備の面には欠ける面も見受けられる事から、攻撃偏重で守備が瓦解した昨シーズンの二の前にならない様、チームとしては攻守のバランス取りが一層必要になるとも言えます。
MF長澤和輝選手は「彼を守備で疲労させるのは意味が無い」と、ファブリシオ選手の攻撃特性を活かし、自分たちが堅固な守備網を構築する決意を述べるなど、チーム内でもファブリシオ選手活用の意味を認識している様です。
  
この様に、ファブリシオ選手の得点力は、後半戦の浦和レッズにとっては掛け替えの無い存在となっているのです。   

 

ウルトラマン・ヘアとスペシウム光線ポーズ

ファブリシオ選手の髪型はモヒカン刈り。一般社会ではちょっとこわもての印象になるこの髪形が、何故かファブリシオ選手には当てはまっていません。
頭部両側を刈り込んで、中央の髪の毛を逆立てているにもかかわらず、ファブリシオ選手の印象は、可愛らしく映るのは筆者だけではないのではないでしょうか。
  
そして今話題になりつつあるのが、ゴール後のファブリシオ選手のパフォーマンスです。腕を十文字にして、ウルトラマンのスペシウム光線のポーズをしているからです。
世代も国籍も違うので、ウルトラマンの事を知っている筈が無いのに、自らの頭部のモヒカンが、ウルトラマンの頭部に似ている事から、チームの誰かが教えたのかもしれません。
がっしりした体格で、こわもての髪型なのに可愛らしいファブリシオ選手の印象が、このウルトラマン・ポーズで更に親近感を醸し出しています。
ポーズだけでなく、ウルトラマン並みの攻撃力で、後半戦の浦和レッズを牽引中です!

ポルトガルの国から浦和レッズの為に来たぞ我等がウルトラマン・ポーズのファブリシオ選手♪
力強い得点力、個性的な風貌、愛らしいゴール・パフォーマンス等、興味の尽きない選手です。
後半戦のJリーグで注目してみて下さい!

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