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独走を阻止せよ!セリエA18−19シーズンはここに注目!

水上いろは

2018/08/08 08:15

2018/08/07 20:07

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NEWS

王者の独走を阻止できるか?掲げる想いはどのチームもおそらく一緒であろう。毎シーズン見ごたえのあるカンピオナートが繰り広げられるものの、結局のところは絶対王者ユヴェントスの地力の前に屈し、順位表を眺めると7シーズン連続でビアンコネロの名が一番上に記されている。
 
 一強が秀でるリーグはつまらないと揶揄されるかもしれない。しかし、今季のセリエ、イタリア勢のサッカーはとても面白いものになるだろう。そう期待せざるをえない要素がたくさん詰まっているのだ。

 まず注目しなければいけないのは、王者ユヴェントスの動きである。イタリア代表・ユヴェントスで長きに渡りゴールマウスを守ってきた絶対的キャプテン、ジャンルイジ・ブッフォンがパリへと新たな挑戦へ旅立った。昨シーズンほぼ同等の試合数に出場をしてきた控えGKであるシュチェスニーが、今季正GKを務めることになり、おそらく昨季に続き素晴らしいパフォーマンスを披露してくれるであろう。実力・選手層共に、今季も間違いなく優勝候補筆頭であるという点に疑いの余地はない。しかし、17年に渡りリーダーシップを張ってきた精神的支柱を失ったロッカールームが果たして空中分解せずにどのようなまとまりを見せるのかである。

 昨季チームの大きな得点源であったゴンサロ・イグアインの退団。さらに、昨季監督やフロントとの不仲の噂の中退団したレオナルド・ボヌッチの再加入。そして、何と言っても世界的スーパースター、クリスティアーノ・ロナウドの電撃加入である。

 実力・実績は申し分ない。しかしながら初挑戦のイタリアの地でどれほど早くフィットできるかという部分。いい意味でも悪い意味でも“エゴイズム”の強いロナウドが、果たして規律を重んじるユベントスというクラブ環境で“爆発”しないで済むだろうか。そのコントロールを絶対的リーダーを失ったロッカールームは上手く舵取りできるのか。一種の劇薬とも呼べる今季の動きが吉と出るか凶と出るか注目したい。

 対抗馬に挙げるべくは古豪ナポリであろう。昨季も最後の最後まで食らいつき、89−90シーズン以来となるスクデット獲得まであと一歩というところまで迫った。マウリシオ・サッリ監督のもと過去3シーズンで積み上げた組織力の高いスペクタクルなサッカーを、今季からは世界的名将カルロ・アンチェロッティがタクトを振るうことになる。加えて朗報なのは、中国からの巨額オファーで退団濃厚とされていた近年ナポリの象徴であるマレク・ハムシクが残留路線で決着がつきそうなところだ。世界各国でトロフィーを掲げてきた名将と、魅力的なサッカーを披露してきた選手たちとの協奏曲が、どのような音色を奏でるか注目である。

 
 そして昨季大きなサプライズを起こしたローマも忘れてはならない。リーグ戦こそ物足りなさを感じたものの、チャンピオンズリーグ準々決勝ではバルセロナ相手に初戦を1−4で落としたにも関わらず、セカンドレグでは世界最高の攻撃陣を3−0の完封に抑え見事逆転突破を成し遂げた。続く準決勝ではリヴァプール相手にラウンド突破を阻まれたものの、2戦合計6−7という激闘をして見せた。ベスト16で敗れたユヴェントスより2つ駒を進めベスト4という結果を手にしたジャッロロッソは間違いなく自信を深めたはずだ。イタリアは守備の国というイメージを覆す怒涛の攻勢サッカーに拍車をかけるように、今季はすでに10人もの大型補強を敢行した。選手層に厚みが増したチームがいかに王者に毒を盛るか非常に興味深い。

 ミランとインテル。二つのミラノ勢は近年復調の兆しを見せている。だが、優勝候補と呼ぶにはまだ早いであろう。しかしながら、7シーズンぶりにチャンピオンズリーグの舞台に戻ってくるインテルは欧州の舞台でさらに一皮剥けるように思える。ガットゥーゾ監督が就任して以降、長い眠りから目を覚ましたミランは、失いかけてた勝者のメンタリティーを燃やし滾るであろう。優勝とまでは行かずとも、先に挙げた有力候補の3チームに泥を見舞い、カンピオナートの行方を引っ掻き回す役目を遂行すると思われる。とりわけミランはチャンピオンズリーグの舞台復帰を永遠のライバルに先を越された形である。今季こそは出場権獲得を!という野心のもと、4位以内に与えられるチャンピオンズリーグ出場権争いにも注目したい。

 ラツィオ、フィオレンティーナ、サッスオーロといったダークホースの動向にも注目していきたいが、今季のセリエAで注目のトピックは名門パルマの帰還である。創立100年以上もの歴史あるクラブであり、かつては中田英寿も10番を纏い所属していたクラブであるが、2015年経営破綻によりチームが消滅。名をSSDパルマ・カルチョ1913と変え、セリエD(4部リーグ)からの出発を余儀なくされたが、遂に1部リーグの舞台に戻ってきた。波乱の船旅はまだ続き、八百長スキャンダルにより今季は勝ち点マイナス5からのスタートが濃厚となっている。判決が覆らない限り、厳しい航海となるだろうが、残留という何よりの成果を達成できるかという点も注目したい。

 ワールドカップロシア大会の熱狂が冷めやらぬ中、60年ぶりに出場を逃したイタリアは、悲しみとともに、有り余ったエネルギーがあるだろう。それらのエネルギーは国内リーグに向けられ、再び我々を熱狂に誘い入れてくれると私は信じている。

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