来週に最終予選イラク戦を控える日本。
新戦力の起用に注目が集まったが、この日のシリア戦ではテストマッチながらもイラク戦を想定した11名をスタメンで送り込んだ。
負傷明けの今野も起用し、『今野システム』とも言える4−1−2−3をハリルホジッチ監督は採用。
ポイントとなるのは森重が脱落した代表において、吉田と昌子のCBコンビがどこまで機能するか。
また個人的には、ここ数試合代表でのパフォーマンスが上がらなかった長友と山口の出来にも注目していた。
前半:膠着した日本の攻撃、守備面でも不安を覗かせる
序盤からなかなか攻撃のリズムがつかめない日本。
大迫のポストプレーから何度か原口や久保がミドルシュートを放つが、シュートは精度を欠き決定機は作れず。また、香川が試合開始早々に負傷交代となったのもハリルホジッチ監督には誤算だった。
守備面でも山口、長友、昌子は不安定な対応が見られた。
象徴的なのは21分のシーン。
ペナルティエリア内への侵入を許した日本は、ギリギリのところで昌子が相手の攻撃を防いだのだが、この前のシーンでは長友がシリアの中盤の選手にプレスを掛け左サイドに広大なスペースを空けてしまい、さらに山口がマークを完全に振り切られたことで結果的に左サイドを突かれピンチを招いた。
また長友に関しては前半12分、味方からのロングフィードに対して精度の低いダイレクトパスで容易に相手ボールにしてしまうと、19分には相手のロングフィードに対して自陣深くでまさかのトラップミス。ここでも敵に簡単にボールを渡すなど目を覆いたくなるシーンの連続。
まるで、インテルサポーターを激怒させたナポリ戦の痛恨のミスを再現するかのようなプレーだった。
後半:乾、井手口そしてインサイドハーフ本田の存在感
後半開始から久保に代えて本田を投入した日本。
しかし、ショートコーナーからのクロスボールをヘディングで決められ後半開始2分でシリアに先制を許してしまう。
それでも日本は左サイドから大迫のポストプレーから長友が抜け出すと、長友のクロスボールを今野が押し込み同点に。長友は前半の低調なプレーを自らのアシストで帳消しにした。
日本はその後も後半15分までに井手口、乾、浅野を立て続けに投入(山口、原口、今野と交代)し前半とは完全に別のチームとなった。
ここで特筆すべきは本田のポジションだ。
後半序盤こそ右サイドでプレーするいつも通りの光景が見られていたが、浅野が投入されると浅野を右サイドに起用。
本田はインサイドハーフへとポジションをシフトすると、かつてのプレーを取り戻すかのように徐々に存在感を示していった。
左サイドの乾も積極的な仕掛けて日本へ勢いをもたらす一方、フル代表デビューとなった井手口も落ち着いたプレーで中盤を引き締めた。
終盤には岡崎も投入、乾と本田を軸にゴールを迫る日本だったが追加点は奪えず1−1で試合は終了。
久保頼みの課題を払拭するには
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イラク戦を想定したベストメンバーで臨んだ前半だがチームの攻撃は停滞。
UAE戦、タイ戦で攻撃の核となっていた久保がこの日精彩を欠いたことが一因だが、そもそもこの2試合は久保に頼り過ぎだった。
シリア戦の日本は前半、縦パスを多用したが攻撃は単調で、本田という司令塔を中盤に得た後半ようやくリズムが生まれていた。
本来司令塔の役割でいた清武や柏木は残念ながら調子が上がらず招集外。
4月の記事で書いた、本田のインサイドハーフ起用が実現したことは次のイラク戦に向けて大きな収穫だったのでは。(ついでにメンバーは若干違うがG大阪の中盤セットもこの日実現した)
■関連記事:【日本代表】イラク戦に向けて最適なアンカー&インサイドハーフの組み合わせを考える。阿部、井手口らにもチャンスを。
また、本田が中盤起用となれば久保の代役ももう1つの課題だが、この右サイドにはやはり岡崎の起用を推したい。
そもそもドイツ2部のクラブで控えに回った浅野の起用には疑問が残る。
勝てばワールドカップ出場に大手がかかる次のイラク戦、ACミランとの決別を決断したこの男が再び雄叫びをあげる姿が見てみたい。