アトレティコ・マドリーの歴史を覆す試合展開
シメオネ率いるアトレティコ・マドリーはボール非保持の局面を特徴としたチームである。4-4-2(時々4-5-1)によるコンパクトな陣形は4-4-2-0とまで表現され、様々なプレッシングやカウンターアタックによって国内ではバルセロナとレアル・マドリーの2強を脅かす存在となり、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグでも優れた成績を残すようになった。
一方でボール保持の局面にはそれほど優れているわけではない。昨シーズンのチャンピオンズリーグ決勝でもレアル・マドリーは先制した後相手にボールを保持させてカウンターアタック主体の攻撃に切り替えた。このようにアトレティコはボールを持たされることも増え、それに伴い「何でもできるチーム」化を推進している。もちろんボール奪取から同サイドでやり遂げるカウンターアタックの方が好ましいことは変わらない。
そんなアトレティコの近年の歴史を覆す試合展開となる。早い時間帯に先制したレアル・マドリーだったが、ボール保持を続ける。イスコの存在に翻弄されボールをなかなか取り返せないアトレティコは、少ない機会でもシュートまで結びつけられなかった。
ハットトリックのクリスティアーノ・ロナウド
This sums up 2017-spec Ronaldo nicely. The best penalty box striker around. pic.twitter.com/yUtDo8yHXU
— Michael Cox (@Zonal_Marking) 2017年5月2日
ANALYSIS UEFA Champions League | Real Madrid vs Atlético Madrid | Full vídeo with commentary @ https://t.co/Nlr27ncrFv #JoaoNunoFonseca
— Joao Nuno Fonseca (@joaonunofonseca) 2017年5月3日
4本のシュートで3得点というパフォーマンスを見せたロナウド。決勝進出を大きく手繰り寄せるハットトリックは素晴らしかった。
期待点とパスマップ
by @11tegen11
期待点は2.40-0.26であり、レアル・マドリーが圧倒的だった。特にアトレティコはシュート4本に終わっており、そのうち3本がペナルティーエリアの外からとなっている。
by @11tegen11
次にパスマップであるが、モドリッチ、クロース、イスコの中盤3枚が多くのパスを行っている。また途中交代なのに円が大きいカルバハルだが、マッチアップがカラスコであり、ビルドアップの出口としてもかなり機能していた。一方のアトレティコは、フアンフランを欠いた右サイドではあまりポゼッションが多くなく、左サイドからの攻撃が多かったことがわかる。
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— ぱこぱこ・へめす (@tenchan433) 2017年5月3日
まとめ:セカンドレグの展望
シメオネ「フットボールは美しく、ときに予期せぬことが起こるものだ。私はまだ可能性があると考えている。どんなに厳しくとも、どんなに困難なことでも可能性は存在し続けている。最後まで戦い続けるよ」
— 江間 慎一郎 (@ema1108madrid) 2017年5月2日
シメオネが会見で持ち出したのは、今訳している本の核になるであろう言葉と同じ。「ただ、とても困難であるだけなのに、それを不可能と言い切れる理由が私には分からない。困難の中にも可能性があることを認めるべきなのだ。難しいように思えるからやめるべきという助言を、私が信じることはない」
— 江間 慎一郎 (@ema1108madrid) 2017年5月2日
アウェイでまさかの3失点を喫してしまったアトレティコ・マドリー。ホームのセカンドレグでどれだけ挽回できるのか。どれだけインテンシティの高いプレーを続けられるのか、そしてジダンがどのように迎え撃つのかがポイントとなるだろう。レアル・マドリーとしては守備の強度を保つために選手交代をしながら対応すると思うが、再びイスコによるボール保持に出たら面白い。