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【クラシコ解説】名勝負となった一戦を歴史とともに振り返る

岩崎 充

2017/04/27 20:56

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NEWS

by SBS

5月23日、レアル・マドリーVSバルセロナの伝統の一戦、『エル・クラシコ』が行われました。

185か国で中継、推定6億5000万人が視聴すると言われたこの一戦。試合はロスタイムのメッシが決勝ゴールを決め、2−3でアウェーのバルサが劇的な勝利を飾りました。

それではこれまでのクラシコの歴史とともに、今回の試合を振り返りこの試合のキーマンとなった選手も挙げたいと思います。

絶対に負けられない代理戦争

by soccer365.com

エル・クラシコはスペイン語で「伝統の一戦」を意味します。
世界屈指の強豪であるこの2チームの対戦は世界で最も熱いダービーとして知られ、その試合のレベルの高さもさることながら、互いに強い対抗意識を燃やす2チームの対戦は常に激しい試合に。

そして、この強いライバル関係には深い歴史的背景が存在します。

当時独立した君主国であったバルセロナのカタルーニャ地方は、1479年にスペインが統一されると、その独自性を剥奪されてしまいます。
以後マドリードの中央政権により、民族運動の禁止やカタルーニャ語が使用禁止にされるなど厳しい弾圧が続きます。

1936年に始まったフランシスコ・フランコの独裁政権では、FCバルセロナのホームスタジアム、カンプ・ノウでのみカタルーニャ語の使用をあえて認めさせますが、これはカタルーニャ人のエネルギーを政府への反乱ではなく、サッカーへ向けさせるという目的による措置でした。

こうして生まれた、フランコ政権との結びつきが強いレアル・マドリーと、カタルーニャを代表するバルセロナの代理戦争が『エル・クラシコ』の実態なのです。

かつての中盤の名手が監督として対戦

これまでの両チームの対戦成績は下記の通り:

23日の試合でバルサの勝利数は92となり、ほぼ両チームの対戦成績は互角。

また現在の両チームの監督、ジダンとルイス・エンリケはそれぞれのチームで選手としても在籍しており、過去にクラシコでも激突しています。

by ecodiarios.es

レアル・マドリー
ジネディーヌ・ジダン監督(現44歳)
チーム在籍期間:2001〜2006年

バルセロナ
ルイス・エンリケ監督(現46歳)
チーム在籍期間:1996〜2004年

by Skysports

そして今シーズンのリーガの順位では、32節が終わった段階でレアルが勝ち点75で首位、バルサが勝ち点72でレアルを追う形(レアルは消化試合が1試合少ない)。

まさに因縁とプライドをかけた絶対に負けられない試合となりました。

試合はゴールの応酬

この試合、レアルはCBのヴァラン、ぺぺを欠いているもののBBCトリオの一角、ベイルが負傷から復帰。

一方バルサのMSNトリオは、ネイマールが出場停止で重要なピースが不在となりました。

試合は序盤、レアルの攻撃の時間帯が長く続く展開。対するバルサは、この日トップ下のポジションでプレーしたメッシがドリブルで守備を崩しチャンスを作ります。

前半27分、CKの流れからS・ラモスが至近距離からシュート。このボールはポストに当たりますが跳ね返りをカゼミーロが詰めてレアルが先制。
対するバルサも33分、右サイドでショートパスで繋ぐと2列目から飛び込んだメッシがDFを鮮やかにかわし左足で同点ゴール。

後半も両チームともに攻撃の手を緩めずゴールを狙いますが、両GKの好セーブでなかなかゴールを割れず。
67分にはレアルがカウンターからC・ロナウドにビッグチャンスが到来するも、シュートをふかしてしまい絶好の機会を逃します。
すると73分、ラキティッチがペナルティエリア手前から左足のミドルを突き刺しバルサが見事に逆転しスコアは1−2。

76分には、S・ラモスがフィールド中央でボールをキープしたメッシへ危険なファールで一発退場。

数的不利に陥ったレアルですが85分、クロースからボールを受けたマルセロがクロスを送ると途中出場のハメス・ロドリゲスが左足で合わせて土壇場で同点。

試合はこのまま終了すると思われましたが92分、バルサのS・ロベルトが自陣からドリブルで相手二人を振り切り駆け上がると、最後はジョルディ・アルバのグランダーのクロスをメッシがダイレクトで合わせて決勝ゴール。

試合は直後に終了し、白熱の一戦は幕を閉じました。

攻守に”神”が存在したこの日のバルサ

この日のMVPは間違いなくメッシ。

2ゴールという結果を残したことはもちろんのこと、2列目からのドリブルは誰も止めることができず。
前半28分には、マッチアップしたカゼミーロがたまらずファールでメッシを倒しイエローカード。今シーズン、好調レアルを支える屋台骨を途中交代に追いやると、代わって入ったコヴァチッチも同じくメッシを止められずイエローカードを受けます。

また、一発退場となったS・ラモスのメッシへのプレーはボールを奪う気すらなかったような足を狙った悪質なものでしたが、相手をそこまで苛立たせたのもやはりメッシの存在でした。

by MARCA

ちなみに前半20分過ぎ、メッシはマルセロの肘がぶつかり口から流血するアクシデントに見舞われます。
その後ガーゼを口にくわえた状態でプレーを再開、呼吸や視界に影響がありそうなものですが、そんなハンデをものともせず変わらぬプレーを披露しました(ちなみにガーゼをくわえてプレーした時間は約10分、ガーゼを取った直後にゴール)。

そしてもう一人の殊勲者はGK、T・シュテーゲン。

by http://everythingbarca.com/

この日バルサが浴びたシュート数は22(ちなみにバルサはシュート数12)、うちT・シュテーゲンは12本をセーブ。

結果的に2失点したものの、そのプレーは安定しており至近距離以外のシュートをほぼ無効に。また足元の技術にも優れているシュテーゲンはこの日36本のパスを味方につなげ、攻撃面での少なからず貢献していました。

ちなみにレアルのGKナバスも負けじと素晴らしいプレーを披露、この二人のGKの素晴らしいプレーがこの試合を引き締めたとも言えます。

歴史に残る名勝負となった今回の一戦ですが、これからもクラシコは世界中の人々を魅了することでしょう。

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