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今までの7倍!Jリーグが締結した2100億円という巨額の放映権契約について

扇ガ谷 道房

2016/07/30 21:46

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NEWS

7月20日、Jリーグがビッグなニュースを発表しました。Jリーグの放映権契約の相手先を来年度から変更して従来の7倍(1年あたり)に当たる2100億円の契約を成立させたのです。
今まではJリーグはスカパーと放映権契約をしていましたが、来年度からはイギリスに本拠を置くパフォーム・グループとの契約に変わります。
この巨額の放映権契約の内容と、これによってJリーグはどの様に変わるのかを考察してみましょう。

01_Jリーグ新放映権
by 日本経済新聞

放映権とはどんな権利なのか

そもそもJリーグの放映権とは何かと言うと、Jリーグのゲームをテレビ・ラジオ・インターネットで放送できる権利の事を言います。
プロ野球は、各球団が放送局と個別に契約をしてテレビ放送を行っていますが、この方式は人気球団のゲームばかりが放映されて球団毎の収益に偏りが生まれてしまいます。
そこでJリーグではプロ野球方式によらず、Jリーグが一括して放映権を契約し、バランス良く放送される仕組みにして、収益も各クラブに応分に分配する方式にしています。
当初はテレビ局と契約をしていましたが、視聴率が取れない事で放映する局が減ってしまったことから、現在ではNHKが一部のテレビ放送をする以外はスカパーJSATに放映権を集中していました。
今年度でスカパーJSATとの契約が満了することから、来年度の放映権契約の行方が話題になっていました。

02_Jリーグスカパー
by AppBank

パフォーム・グループとはどんな会社?

今回Jリーグが契約した相手先はロンドンに本社があるパフォーム・グループ、スポーツのライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」。
パフォーム・グループは、世界最大級のデジタル・スポーツコンテンツ&メディア企業と言われる会社で、最先端のデジタル技術を駆使してスポーツコンテンツを世界100か国以上に配信するリーディング企業です。
歴史は浅く、2007年に誕生したばかりのまだ若い企業です。
そのパフォーム・グループが新たに展開するサービスが「DAZN(ダ・ゾーン)」で、インターネットを活用して、好きな時に、好きなスポーツコンテンツを、定額で見放題できるという新しいデジタルライブストリーミングサービスだそうです。

03_Jリーグパフォーム
by Muvi Blogs

10年間で2100億円の放映権料

今回締結された放映権料は、2017年度から10年間で最低保証金額が2100億円という発表です。あくまでも最低保証金額なので、今後のオプション契約ではこれ以上になると見込まれています。
従来のスカパーJSATとの契約金額は年間約30億円と言われていましたので、今回の新契約金額は従来の約7倍に相当する訳です。破格の倍増契約金を獲得できた事はJリーグにとっては快挙と言って良いと思います。それはJリーグの世界的な価値が飛躍的に向上した事を意味しています。
それでは海外主要リーグの放映権料はどの位なのでしょうか?各国契約はそれぞれ年数に違いがありますが、解り易くする為に1年間換算の円で比較してみましょう。ちなみにJリーグは1年間だと210億円という事になります。
プレミアリーグは約4300億円、セリアAは約1460億円、ブンデスリーガは約1040億円、リーガエスパニョーラが約1100億円と言われています。
Jリーグが年間30億円から7倍増の210億円に飛躍したのは快挙ですが、上には上がいるんですね。

04_プレミアリーグ
by カルチョまとめブログ

今回の契約によってJリーグファンにもたらされること

今回の放映権契約で、2017シーズンから明治安田生J1リーグ、J2リーグ、J3リーグの全試合が「DAZN」によって生中継されることになります。
テレビだけではなく、パソコン、タブレット端末、スマートフォン、ゲーム機など様々なデバイスを使って、いつでも、どこでも、高画質で中継を楽しむことができます。
又パフォーム・グループだけではなく、NTTグループとも提携し、各スタジアムのwi-fi化や、様々な情報提供など、スタジアムでの視聴環境も改善向上されて行く事になるそうです。
この事からもおわかりの通り、テレビへの放映権の付与という事だけでなく、時代にマッチした配信方法に向けて、Jリーグは着々と変革を進めています。

05_スタジアム設備
by Perform Group

放映権増でJリーグに期待されること

来年度からの大幅な放映権料の獲得で、今後のJリーグに予想される変化があります。
先ず最初に期待されていることは、現在の変則的なリーグ編成のあり方を本来の姿に戻す事です。Jリーグは昨年から2シーズン制を採用している事はご承知の通りです。これはリーグ全体の収益を高める為に止む無く選択された方式です。巨額の放映権料を獲得できたのですから、暫定的な措置である2シーズン制を改め、本来の1シーズン制に戻す事が最も最初に期待される事です。
次に、Jリーグの一括放映権契約方式は、各クラブに応分の配分が為される為の仕組みですから、今回の巨額の放映権料獲得で、各クラブへの分配金も増額され、収益も増える事になる筈です。
運用が難しい事ですが期待されている事は、海外の有名選手の獲得についてです。ACLでJリーグ勢が今年も早々と脱落した事で象徴的ですが、アジアサッカー界におけるJリーグクラブの位置付けが低迷しているのが現状です。経済力に物を言わせている中国クラブが、海外有名選手を軒並み獲得している事で、中国リーグの相対的価値は高まっています。海外の有名選手を獲得するには高額の契約金が必要になることから、放映権料の一部をクラブだけでは限界のある海外有名選手の契約金に充当できれば、Jリーグ人気も高まる上に、世界での地位向上にも寄与する事が期待されています。
飛躍的に収益が改善されることになるのですから、リーグ自体にも各クラブにも、より良い効果が生まれる事を期待しましょう。

06_Jリーグ
by SOCCER DIGEST WEB

パフォーム・グループとの放映権契約によって、来年からJリーグは従来以上に変革が期待されます。
テレビが無い場所でも、いつでもどこでもJリーグのゲームが観戦できる事は、Shooty読者の皆さんも望んでいる事だと思います。
他のスポーツ団体に先駆けて、Jリーグは現代に相応しい進化を遂げようとしていると言えます。

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