昨年1月、ベルギー・シント=トロイデンVVへ初の海外移籍を果たした冨安健洋。2019年、現在は欧州4大リーグであるイタリアセリエA・ボローニャのユニフォームを身に纏うまでに成長を遂げている。そして、先日行われたカタールワールドカップアジア2次予選、対ミャンマー戦においてもスタメンで出場、日本代表として頼もしい存在感を発揮していた。
■屈強なフィジカルと鋼のメンタルで圧倒
「戦場」は雨にさらされ、緑の芝からは水しぶきがはじけ飛びつづけた。
幕が開けた2022年カタール大会へ向けてのW杯予選。アウェーでのミャンマー戦、試合開始当初から雨が降り続く中で行われ、日本は2-0で勝利。不安視されていた初戦で勝ち点3を手にしている。
センターバックでスタメン出場の冨安は初めて戦うこととなるW杯予選のゲームでフル出場を果たし、そのフィジカル、そして戦術眼でミャンマー代表攻撃陣に隙を与えず、無失点で与えられた役割を遂げている。
格下ともとれる相手とはいえ、W杯予選では楽な内容の試合は一つも、無い。冨安は吉田麻也と共に守備の要となりボールをはじき返し、また、相手のパスコースにいち早く身体を入れ、ミャンマーの攻撃の芽をつぶしていた。後半19分には相手ゴール前右サイドで相手ボールに対して絡んでいきインターセプトに成功、細かくボールをコントロールしパスを繋ぐという、攻撃参加にも成長の跡を感じさせており、他にも1対1での強さやゴール前でのカバーリングなどでも「格」の違いを見せつけていた。
■日本の未来を握る20歳の冨安
センターバックというポジションはどの時代でも経験豊富なプレーヤーが据えられ、チーム全体をコントロールする役割を担ってきた。だが冨安は20歳という年齢で日本代表のディフェンスの中心としてゴールにカギをかける存在にまで登り詰めた。アジアカップの頃にみられた周囲への遠慮は消え失せ、吉田や長友らベテランと同様、チームの核としての風格さえ漂わせている。もはや「若手」などという言葉を冨安に向けて投げかける機会が訪れることはない。今後、厳しい道のりになるであろう今後の予選、さらには過酷なイタリアでの戦いを経て、より自信と信念を確たるものにしていくはずだ。
ピッチを叩いた雨、東南アジアの気候、乱入者まで現れるというアウェー独特の雰囲気の中での戦い。追加点となる3点目は奪えなかったものの、ホームのミャンマーの選手が終盤、次々とピッチに倒れる中、日本選手の逞しさと強さばかりが際立った試合だった。そしてその中心にいたのは間違いなく冨安だった。
日本は新たな目標へ向け、多くのタレントを擁し、一先ず順調なスタートを切った。ただこの先、冨安健洋こそが、新しい未来への行方を大きく左右する存在である気がしてならない。