2019年夏、幾人もの若きプレーヤーが日本を飛び出し、欧州へと渡った。
そしてこの時期、新天地で戦う彼らの新たなシーズンが幕を開けている。
その中で、今季よりオーストリアの名門、ラピッド・ウィーンで戦う北川航也もリーグ開幕を迎えている。
第3節を終え、まだ欧州デビューは果たせていないものの、可能性を秘めた若き点取り屋は虎視眈々とその牙を磨いている。
■FWとして期待される「結果」
前線に位置するFWというポジションは得点の期待と共に、批判の対象となることも少なくない。ゴールというわかりやすい結果が伴うことで、目に見えて好・不調の線引きが行われてしまうのはいつの時代も同じだ。さらに現代サッカーでは得点の他、ポストプレーやスペースへの動き、ディフェンスに至るまで多くのプレーが求められている。
北川は今年1月のアジアカップ、3試合のスタメンを含む5ゲームに出場した。だが得点は無く、チャンスメイクでも期待された動きがみられず、ファンからも厳しい声が浴びせられる結果となった。何より、リードされる展開が続いたカタールとの決勝、最後までピッチに姿がみられなかったのはゴールを奪うことが仕事であるFWとして、未だ信頼を得られていないことを意味していたのではないだろうか。
■清水を離れ、欧州で更なる成長を
23歳、昨年よりフル代表に登り詰め、下部組織から育った清水エスパルスでは中心選手としてチームを牽引してきた。若手という言葉が当てはまるかどうかは複雑なところだが、北川というプレイヤーがストライカーとして成長過程にいることは確かであり、アジアカップを最後に離れている日本代表も狙うべき存在であることは間違いない。念願だったという海外移籍が決まった際には「自分の可能性を信じて大きく成長し、また皆さんと会えたらと思います」と思いを語った北川航也。
ラピッド・ウィーンは優勝32回を誇る古豪だけに、新たに加わった日本人プレーヤーには厳しい視線が向けられる筈だ。それでも清水という故郷を自ら発ち、あえて茨の道を選択した北川には自身が語るように大きな可能性が秘められている。これから新天地で躍動するであろう、若きストライカーのステップアップを追いかけていきたい。点取り屋としての成長した姿を未来に描いて。
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