放たれる存在感と円熟の技術
3月14日のルヴァンカップ、アルビレックス新潟との試合においてトップチームとして初めて得点を挙げ、
大きな話題となったFC東京の久保建英。75分、相手ペナルティエリア外でボールを受けると勢いに乗ったまま前を向きゴール前に進入、密集を抜け出すと左足を振りぬきサイドネットに突き刺した。
スピードに乗ったまま少ないタッチでの突破も去ることながら、極めて狭いスペースにも拘らず、
相手との距離を感じながらボールをコントールする落ち着きは久保が持つ独特の個性だろう。
今季、開幕からリーグ戦でもベンチに入りここまで3試合に出場している。いずれも後半からの途中出場だが、背番号「15」を背負い、もはや純粋な戦力であることに疑いの余地はない。2月24日の浦和との開幕戦、18分間の出場だったものの高いポジションに位置し、昨年のアジア王者を相手に怯むことなく淡々としたプレーをみせた。特に相手ゴール前でのボールさばきと的確な『散らし』ははやはり光るものがあった。
また、相手からみても絶対に自由にさせてはいけないプレーヤーであり、「潰さなければならない」存在となっている。同じ浦和戦、後半ピッチに立ったばかりの久保が相手陣内でフリーでボールに触ろうとした瞬間、前後から挟み込むように二人の浦和のプレーヤーに一瞬で囲まれ体をぶつけられた。今後も出場時間も増え続け、相手からのチェックはより激しさを増していく。怪我やコンディション管理は体格に劣る久保にとって誰よりもケアしていかなければならない。
それでもボールを持った時の技術の高さは目を見張るものがあり、新潟戦で見せたような少ないタッチでのボール扱いは相手の脅威となっている。また、球離れの良さは相手とのコンタクトを避ける効果も持つ。昨年、韓国でのU20ワールドカップでも幾度となくワンタッチで好機を演出したように、体格で劣る相手に対しての対応は身につけていて、そのスキルをどれだけJリーグの舞台で披露できるかが今後の久保の成長に直結すると言えるだろう。
16才でありながら、もはやゲームの流れを一瞬で変えられる存在感を放っている久保建英。その輝きが今まで以上に発揮されるであろう、眩い2018年シーズンはまだ始まったばかりだ。
少し前の話ですが、
Jリーグデビューしました。
自分にとって目標としていたことなので、凄く嬉しく思います。
今後は遜色なくプレー出来るよう、まだまだレベルアップして行きます。#久保建英 #RT pic.twitter.com/him0QZwaeS— Takefusa Kubo/久保建英 (@take_kb9) 2016年12月1日