11月18日、共に残留を争ってきたサンフレッチェ広島が勝利したことにより、14年間在籍し続けたJ1リーグからの降格が決まったアルビレックス新潟。これまで何度となく降格の危機を乗り越えてきたものの例年以上に苦戦を強いられた2017年シーズンは踏みとどまることが出来なかった。
新監督、30人を超える所属、ブラジル人も総入れ替えとなった新シーズン
今シーズン開幕当初、珍しく話題となったのは新潟の選手の人員だった。総勢34人という大所帯でトップチームが構成され、大きな期待と共に、少数精鋭が常となっていた近年と比べると『異常事態』とも感じるサポーターは少なくなかった。内、新加入・新外国人・移籍・レンタルバックの今季からの加入は19人と半分以上が新たにオレンジのユニフォームを身につけることに。さらに、J2ジェフ千葉からDF富沢清太郎、J3栃木FCから本間勲と下部リーグからのベテランの加入と、こちらも過去に例のないパターンの加入も目についた。
新潟の伝統として、チームの柱になり続けたブラジル人助っ人も今季は総入れ替えとなり、FWホニ、MFのガリャルドとパトリックの三人が新たに加わる。そして指揮官も新しく三浦文丈氏が就いた今シーズンは大きな注目を集めスタートした。
だが、チームは早くから脆さを露呈する。
開幕戦こそ引き分けたものの、毎試合の様に失点を重ね、勝ち点を逃し続けることに。特にデフェンスラインは新加入メンバーが並ぶも固定されず安定を欠き3月、4月とも連敗を記録、特に4月は2試合で計6失点での敗北を喫するなど、かつての「堅守新潟」のイメージは完全に崩壊した。
また、頼みのブラジル人も、開幕当初はスピードを武器とするホニの活躍、ガリャルドも起点となり攻撃の中心となっていたものの、徐々にマークが厳しくなり孤立する場面が目立った。また、両者ともゲーム中盤には交代でピッチを後にする試合も多く、根底からチームを支える存在にはなりきれなかった。もう一人のパトリックに至っては、リーグ戦出場を果たすことなく、シーズン中盤を前に契約を解除されチームを去っている。
新潟は第7節の対ヴァンフォーレ甲府戦で初白星を挙げるもその後、再び黒星が続く。そしてクラブは5月5日の川崎フロンターレ戦に0-3で敗れると2日後、三浦文丈監督の休養を発表した。
監督交代後も連敗、そして初の降格
呂比須新監督を迎え新体制となった初戦、5月20日のホームコンサドーレ札幌戦こそ勝利を挙げたものの、
そこからクラブワースト記録となる6連敗を喫するなど、16戦に渡り勝ち星から遠ざかることに。
夏場にはサガン鳥栖から小川佳純、名古屋グランパスから磯村亮太等、途中加入として異例ともいえる計5人の選手を獲得。
それでも、今季3勝目は10月14日のガンバ大阪戦まで待たなければならない。
そしてシーズン終盤となった10月以降は5勝1分けと、それまでの不振が微塵も感じられないほどの強さを発揮するも、11月18日、サンフレッチェ広島が勝利し残り二試合を残して、14年所属し続けたJ1からの降格が決まった。シーズン中での監督交代、柱となるべきブラジル人選手の離脱、終盤まで定まらなかったチーム戦術…、何れもJ1残留を果たせなかった大きすぎる要因であり、尚且つ、これまでのアルビレックス新潟の抱えてきた問題とも言える。
クラブはシーズン終了を待たずして、来季、元ジュビロ磐田監督を務めた鈴木政一氏の就任を発表した。トップカテゴリーを離れる2018年シーズン、新指揮官のもとチームを作り直し、何よりここ数年失ってきた『新潟らしさ』を取り戻すことが出来るか。選手・サポーターが願う1年でのJ1復帰のため、それこそが何よりも重要だ。