フィンランドリーグ・HJKヘルシンキに所属の田中亜土夢が今シーズン限りで同クラブとの契約満了が発表された。
本人も退団を明言しており、今後は他クラブへと新天地を求めることとなった。
国内復帰、古巣への帰還は?
2015年から3シーズンに渡り、これまで目にする機会のなかった北欧のフットボールシーンという新しい景色を伝えてくれた田中亜土夢。
A代表とは未だ無縁、そのため『ヨーロッパ組』と括るにはいささか無理があるかもしれない。日本国内からの今回の移籍への注目度もそれほど大きいものではないだろう。
そんな中でも亜土夢に対して、アルビレックス新潟出身、そして新潟県出身選手としてドイツでプレーする酒井高徳に次ぎ、欧州を主戦場に戦ってきたプレイヤーということもあり、新潟サポーターから向けられる関心は決して低くはない。
今回の退団情報を機に、Jクラブへの帰還、さらには新潟へのカムバックを望む声も少なくない。無論、亜土夢自身も10シーズンに渡り所属したアルビレックスのことはヘルシンキ在籍中も戦況を気にしていたようだ。新潟が最終節でJ1残留を決めた2016年シーズンの秋、負傷によりクラブを離れ帰国していた亜土夢は新潟のホームスタジアムであるデンカビッグスワンスタジアム、さらにはアウェーの試合にも観戦に訪れている。
海外メディアからも高評価
ただし、亜土夢の欧州サッカーへのこだわりも強く、優先順位はヨーロッパの他クラブへの移籍が第一だろう。
2013年シーズン、新潟が最終順位を7位と躍進したこの年のオフ、ヨーロッパクラブへの移籍話が持ち上がったものの、
実現することなく新潟残留を決断。その際、翌シーズンの背番号10をクラブに自ら申し出、エースナンバーを背負って2014年を戦い、
翌年、かねてからの念願がかなう形でHJKヘルシンキへと移籍した経緯がある(それ故、今なお亜土夢に対し複雑な思いを抱く新潟サポーターが存在することも事実ではある)。
海外移籍への想いを数年かけて実現させ、今シーズンはフィンランド国内2冠を達成、一部ヨーロッパのメディアから「フィンランドリーグで最も価値のあるプレイヤー」として紹介されている。ヨーロッパでの評価も高めつつあり、このタイミングでの国内復帰は可能性は小さいかもしれない。
それでもフィンランドで成長を遂げた彼の復帰を『夢見る』新潟サポーターは少なくないだろう。近年、苦しい戦いが続き、来期はJ1というカテゴリーを離れる状況にもある新潟だが、そんなシチュエーションでこそ、クラブ史上背番号10を背負ったただ一人の日本人である田中亜土夢の力が必要とも言える。
新潟から北欧へと羽ばたいた小柄なミッドフィールダーは、果たして次の舞台をどこに求めるだろうか。