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ユヴェントスがホームでの3-0のアドバンテージを生かし、バルセロナを下して準決勝に駒を進めた。バルセロナが再びPSG戦のような奇跡を起こすことを信じていた人々がどれだけいたのかはわからないが、少なくとも筆者の中では、今シーズン欧州で最も高い完成度を誇るセリエAの首位チームに3点のビハインドを取り返す可能性は皆無に近かった。
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— Shooty [シューティ] (@shooty_jp) 2017年4月15日
スターティングメンバー
ユヴェントスはファーストレグと全く同じスターティングメンバーである。多少守備的な配置をすることも考えられたが、攻守にわたり計算が立つと考えたのだろう。そして実際にアッレグリの計算が狂わないのが、筆者が今シーズンにユヴェントスを推している理由である。
一方のバルセロナは、かなり“ノーマル”な4-3-3の布陣を組んできた。“ノーマル”というのは、これまで3シーズンに渡るエンリケ体制の多くで使われてきたという意味で、最近のファーストレグでも使われたハイブリット3バックではなかったということである。
バルセロナのボール保持:右サイドの横幅の役割問題
ボール保持時のバルセロナは基本的に4-3-3なのだが、右ウイングのメッシがフリーロールで中央で浮遊するため右サイドの横幅の役割を担う選手が不在となる。ここには右インサイドハーフのラキティッチや右サイドバックのセルジ・ロベルトがサポートする形で、よく見る風景である。一方、左ウイングのネイマールは多くの時間をタッチライン際でプレーするため、バルセロナは中央と左サイドからの攻撃が中心となっていた。
How Barcelona uses movement off the ball to create space in the final third for a Messi give-and-go pic.twitter.com/lAniiOSqiS
— sam (@11v11Sam) 2017年4月20日
PSG戦セカンドレグのバルセロナは右ウイングにラフィーニャを配置していた。常に中央と左右の3つの攻撃ルートを確保しており、ラフィーニャはラキティッチやセルジ・ロベルトと比べて状況を打開する能力に長けているためユヴェントス戦よりも効果的な攻撃を見せていた。
ユヴェントスは立ち上がりの時間帯、ハイプレッシングでバルセロナを迎えた。ディバラが前に出て4-4-2となり、2トップはセンターバックへのパスコースを切りながらゴールキーパーにまでプレッシングをかけていた。2センターバックに対して2トップでプレッシングをかけると浮いてしまうのがディフェンシブハーフのブスケツであるが、この問題に対してはセンターハーフのケディラが前へスライドして対応。さらにそこで空いたラキティッチにはキエッリーニが縦スライドを見せた。
ハイプレッシングにおいては普通、ボール周辺では人への意識を強め(すなわち、マンマークに近い守備をする)、ボールから遠い位置ではゾーンやカバーリングを意識する。しかし立ち上がりのユヴェントスは全体的にかなり人への意識が強く、すなわち3トップ(MSN)に対して3バックで守備を行っている。もちろん、DFラインやゴールキーパーから前線にロングボールが出た場合、ボールの移動中にポジションを調整できるが、MSNに対してアッレグリは3バックでも対処できると計算していたことになる。
MSNへの3バックと言えば、グアルディオラがバイエルン時代に行っている。立ち上がりの15分くらいであったが、時々行われている形である。ただし多くの場合多少ピンチを招くのであるが、ユヴェントスは最もうまく対処していた。
バルセロナのプレッシング、ユヴェントスのカウンターアタック
バルセロナのボール非保持時は高い位置から4-4-2によるプレッシングを行う。メッシは1列目、ネイマールは2列目となるいつもの形である。他のクラブであればメッシのような待遇を期待できるのにボール保持時はタッチライン際に張り付き、ボール非保持時にはサイドハーフとして運動量を求められるネイマール。
一方のユヴェントスは第一にカウンターアタックを狙い、サイドの高い位置で溜めを作ろうとしていた。ファーストレグでも見られたが、ディバラが攻撃時にボールサイドの“ハーフスペース”(ピッチを縦に5等分した時のセンターとウイングの間のレーン)に移動し、サイド攻撃を促していた。
サイドハーフがどこまで付いていくのか問題
立ち上がりのフェーズが終わり、バルセロナがボールを保持する時間が長くなるにつれて、両サイドバックが高い位置を取るようになる。特にジョルディ・アルバは大外から回り込んでDFラインの裏でボールを受けることを得意としている。
4-4-2の問題点の1つに、サイドチェンジに弱いというものがある。根本的に1列4人では横幅を抑えることが困難なのである。例えばアトレティコ・マドリーの場合、水平方向垂直方向ともに圧縮することでサイドチェンジをさせず、守備ブロックの中に入ってきたらボールを奪いきる。もしくは4-5-1を併用する。
一方、サイドハーフが下がりすぎてしまいDFラインに吸収されてしまうと、1列目と2列目の横に大きなスペースができてしまう。この場合バルセロナのセンターバックが1列目の両脇から“運ぶドリブル”をしたり、インサイドハーフが外に流れてボールを引き出すスペースのことである。さらに言えば、カウンターアタックの時に2トップが孤立して攻撃に繋げられないという問題も起こり得る。
しかしユヴェントスは2トップがボールをキープでき、両サイドハーフが豊富な運動量を兼ね備えていたためそれほど問題とならなかった。
前線に枚数を揃えるバルセロナ、試合を殺すユヴェントス
バルセロナは後半の途中からパコ・アルカセルを投入したり、ピケを前線に配置したりして攻勢に出た。一方のユヴェントスはバルザーリを投入して5バックに変更するなど、しっかりと守備を固めて対応した。なお、ベンチにはベナティアやリヒトシュタイナーなども控えている。
期待点(ExpG)とパスマップ
by @11tegen11
期待点(ExpG)によると1.2-0.68で、バルセロナの方が若干上回っているものの、4点差以上で勝たなければならなかったという状況を考えれば全く不十分だったと言える。ユヴェントスにとっては難しくない試合であった。
by @11tegen11
パスマップによると、バルセロナの左サイドでパス本数が非常に多くなっており、ネイマールの円は非常に大きい。ネイマール、イニエスタ、ジョルディ・アルバの左サイドの三角形や、ブスケツとメッシの中央のパスラインが太くなっている。一方右サイドの攻撃はあまり活発ではなかったことが統計的にもわかるだろう。
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— ぱこぱこ・へめす (@tenchan433) 2017年4月12日