今季限りでの閉店が決まった中華そば『風間』~店主・風間と川崎フロンターレの”味”

 10月12日、J1・川崎フロンターレの指揮官=風間八宏監督が契約満了で今季限りで退任する事が発表されました。

 風間監督はシーズン途中だった2012年4月に就任して以降、今季で5年目。思えばクラブライセンス制度が導入され始めた2012年はJリーグの分岐点でもあり、そのシーズンからサンフレッチェ広島には森保一監督が就任し、その広島を指揮していたミハイロ・ペトロヴィッチ監督が浦和レッズの指揮官に転身したシーズン。今季で5年目を迎えている彼等3人の監督が継続して指揮を執るチームが、ここ数年のJリーグで攻撃力の高いチームを作って引っ張っていたため、少し残念に思うのはフロンターレのサポーター以外のニュートラルなサッカーファンの方々にも多いことでしょう。

by Gunosy

 Jリーグではガンバ大阪で西野朗氏(現・日本協会技術委員長)が2002年から2011年までの10年間指揮した記録が最長政権。海外に目を向けると、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドでサー・アレックス・ファーガソン氏が約26年半、フランスリーグのオセールにはギ・ルー氏という44年間も指揮を執り続けた監督がいました。とはいえ、サッカー監督の寿命は短いもので、川崎で5年目の風間監督も十分に「老舗」の看板がつく域に達しています。

 就任以来ブレずに華麗なパスサッカーを継続発展させて来たこともまた、風間監督のチームの魅力です。ただし、風間監督は、それどころか川崎フロンターレはクラブ史上未だに1つもタイトルを獲得した事がありません。特に2014年のFIFAブラジルW杯でパスサッカーを継続するスペイン代表がグループリーグで敗退した事もあり、風間監督のサッカーは、「古臭い」「戦術がない」などと近年は限界説も耳にする事が頻繁にありました。

 確かに戦術のトレンドからは遅れているのかもしれませんが、それでも現在の川崎ではDF谷口彰悟選手や、DF車屋紳太郎選手のような大卒初年度から活躍する選手や、今季はU19日本代表のMF三好康児選手のような優秀な若手選手が台頭する流れが継続しており、「老舗」であっても決して古いとは思えません。むしろ洗練されているイメージの方が強い。

 洗練された攻撃的でスタイリッシュなサッカーで、極上のスペクタクルを提供してくれる。それが風間監督と選手達が作り上げた現在の川崎フロンターレです。古くも新しくもない。トレンドには全く左右されない。いつの時代に観ても「良いサッカーしてるな」と思える一癖ある”味”があるのです。

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流行り廃りの激しいラーメンとサッカー界普遍的であり続ける、中華そばと風間監督

いつの時代も変わらない「中華そば」。風間フロンターレのサッカーと同じく、日々ブレずに追求した普遍的な味だ。by Wikipedia

 醤油・味噌・塩という味付けだけでなく、豚骨や白湯、現在では魚系・鶏系・貝系などいう出汁のとり方からジャンル分けをされているラーメン。つけ麺やまぜそばも加えると、日本のラーメン文化の拡がりは凄まじいものがあります。

 大都市に1つはあるような「ラーメン激戦区」にはその時々の強者店主たちが集まって凌ぎを削っています。そして、大方はどの店も繁盛する期間があるものの、周期的に新店舗の出入りが激しいのも激戦区の掟です。それは客観的に見れば、トレンドの流行り廃りによるものだとも言えます。我々日本人のラーメン欲は尽きないもので、だからこそ”飽き”が来てしまうものなのでしょう。

 ただ、どうしてだか巡り巡った挙句、昔ながらの中華そばを食べた時はいつも安心し、「結局、これが1番美味しいんじゃない?」と思える定説に行きつくことがあります。煮干しと鰹節からしっかりと出汁をとった醤油ベースの鶏ガラスープで、チャーシューが1,2枚に、鳴門とメンマが入っている”アレ”です。(東京寄りの関東地区では海苔も入っている?)新しいか?古いか?中華そばはそんな比較とは無縁です。普遍的であるからこそ、いつまで経っても愛されているのです。

「他所の店がなんだ?ウチの味(サッカー)を追求するだけだ」とはよく言ったものです。

普遍的であり続ける、中華そばと風間監督

Jリーグでも異彩を放つサッカーを継続発展させて来た風間監督。コレが「風間スタイル」なのか、「川崎スタイル」なのか?来季以降のチームの楽しみでもある。by 川崎市

 いつも変わらずある”あの味”を日々追求する中華そば屋の店主の姿は、就任から現在までブレずに華麗なパスサッカーを継続発展させて来た風間監督の姿とも重なります。

 今季の川崎は、勝点1の差で鹿島アントラーズに第1ステージの優勝を奪われ、残り3試合となった第2ステージでも首位の浦和レッズから勝点6差の3位。浦和とは12の得失点差があるため、「実質勝点7差」の逆転は現実的に厳しいものがあります。

 それでも、すでに年間勝点3位以内に出場権が与えられる明治安田生命J1リーグチャンピオンシップへの出場はすでに決まっています。年間順位では首位・浦和と勝点1差。J1リーグで「年間首位」によるチャンピオンシップ出場は決勝からの出場となる可能性が高いため、こちらでの逆転を狙い、J1リーグの優勝を目指しています。

 サッカーの神様が、「今は中華そばが食べたい」と思っているのかもしれません。それがメインディッシュとしてなのか?〆の一杯なのかは知る由もありませんが。

 日本代表はアジア最終予選で苦境に陥っています。ヴァヒッド・ハリルホジッチ監督が就任して1年半以上が経過していますが、我らが代表チームからはどんな味がするのでしょうか?筆者は未だにその味を言葉で表現できません。グルメレポーター失格です。

 皆さんが応援していたり、好きなクラブからはどんな味がするでしょうか?ラーメンで例えてみるのも面白いかもしれませんね☆

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