ドイツ国民待望の本格派FWギンチェク
ドイツ国民全体が期待するFWギンチェク。すでに1年近く欠場が続いているが、それでも期待を寄せられ続ける本格派の点取り屋だ。by 11 Freunde
そして、開幕後に緊急補強をせざるをえない理由になったのは、このドイツ人FWダニエル・ギンチェク選手の存在。一昨季にシュツットガルトに加入。怪我で出遅れたものの、後半戦に復帰すると一気に得点を量産。7得点を挙げて2部への降格まっしぐらだったチームを残留に導きました。
昨今のブンデスリーガ1部で得点王を争うのは、バイエルン・ミュンヘンのポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキ選手や、ボルシア・ドルトムントのガボン代表FWピエール・エメリク・オーバメヤン選手を筆頭とする外国籍選手ばかり。
今夏のEURO2016フランス大会でも毎試合相手を凌駕する華麗な攻撃を披露しながらも得点力不足でベスト4止まりだったドイツ代表には、世界王者に輝いた2014年のブラジルW杯後に代表を引退したFWミロスラフ・クローゼ選手の穴が大きく、現地では救世主となる若手国産FWの待望論が根強く続いています。
そんなドイツ国内で「国民が期待する国産FW(代表未招集)」というアンケートを実地すると、このギンチェク選手は今季から1部へ昇格したRBライプツィヒに所属するリオ五輪代表FWダビー・ゼルケ選手と毎回のように1位と2位を争っているドイツ国民期待の本格派FWです。
190cm87kgという鋼のような体格やパワーを武器とするだけでなくスピードも兼ね備えており、クロスを始めとするラストパスを強引にゴールに押し込む本格派ストライカーです。やや技術的には粗い部分があるものの、それが逆にストライカーとしての強引さという部分で強みになるようなプレースタイルを持ちます。
しかし、キャリアを通して怪我に泣かされ続け、昨季は椎間板ヘルニアと靭帯断裂により僅か7試合の出場に止まり、現在も長期離脱を続けています。すでに離脱してから1年近くが過ぎますが、それでも昨季終盤に2020年までの契約延長を発表するなど、クラブからの期待の大きさは特大です。
チームは開幕前に必要以上に補強に動きませんでしたが、彼の回復が遅れているからこそ、移籍市場の最終盤に大きく動いたのでしょう。ただ、決して「若手」の括りではない25歳となったギンチェク選手が復帰してくれば、ファースト・チョイスは彼のモノになるでしょう。
期待は「本物」な浅野の現状はFWの2番手か?
第4節のハンデルハイム戦の81分に投入された浅野。「アーセナルから来た助っ人FW」として結果が問われる。by Twitter@VfB
その他にもウクライナ人のボリス・タスチ選手がFWとして登録されており、日本代表FW宇佐美貴史選手の加入により8年間で187試合に出場したアウクスブルクを去る決断をして加入したMFトビアス・ヴェルナー選手や、チームの10番を背負うルーマニア代表MFアレクサンドル・マキシム選手のような攻撃的MFやウイングを本職とする選手もまた、採用する布陣によっては浅野選手のライバルとなる存在になるでしょう。
特にマキシム選手はサイドMFよりもシャドーやセカンドトップのような役割の方が活きるため、浅野選手の出場機会を間接的に左右する選手になるかもしれません。
今季から指揮を執るヨス・ルフカイ監督は、開幕からの3試合はテローデ選手しかFWがいなかったからか?システムは<4-2-3-1>を続けています。ルフカイ監督はMF細貝選手が渡独した最初のクラブである当時のアウクスブルクで監督を務めていた人物で、彼がヘルタ・ベルリンの監督に就任すると、愛弟子の細貝選手も引き連れて加入させた監督です。今夏に2部落ちした名門の指揮官に就任すると、再び細貝選手を獲得し、元日本代表MFと3度目の師弟関係を結ぶ指揮官は浅野選手をどのように評価しているのか?
代表戦による中断明け初戦となった9月9日のリーグ第4節のFCハイデンハイム戦。指揮官は移籍市場の終盤で大型補強した「3人(浅野、マネ、DFベンジャミン・パヴァード選手)の中で最も重要な選手」と評した上で、浅野選手だけを唯一メンバー入りさせました。1点を追う81分、浅野選手は欧州での公式戦デビューとなるピッチに投入され、同点アシストか?と思わせるプレーもありましたが、得点は動かず。チームは敗れて今季すでに2敗目。この結果、チームは順位表中段の暫定8位に落ち込みました。
このデビュー戦では1点を追う中、セカンドトップとして出場した浅野選手。ルフカイ監督のこれまで指揮したクラブでのFWの人選を見ると、最前線に必ず長身FWを置いているため、セットプレーの守備でも貢献できるテローデ選手が今後も先発起用される状況が濃厚です。ただ、火曜日に行われた日本代表のタイ戦に先発し、水曜日からシュツットガルトの練習に初合流。中2日の金曜日の試合で起用された浅野選手に対する監督やクラブからの期待は本物です。
だからこそ、欧州屈指の名門アーセナルから来た選手として高い評価を受ける浅野選手には結果が求められます。まずは途中出場から得点を挙げ、その後はセカンドトップやシステム自体を2トップに移行させるぐらいの活躍を期待したいところ。実際、「途中出場からゴールを奪う」のは広島時代からの得意技で、英国での就労ビザ認可と日本代表定着、アーセナル復帰のためには、今季残りの30試合で最低10ゴールは決めるぐらいの活躍を誰もが求めていると思います。
日本代表を救った浅野選手を待つのは、2部リーグとは思えない豪華な攻撃陣の中でのポジション争い。それは彼をさらに成長させる舞台になるはず。まずは次節のカイザー・スラウテルン戦での初ゴールを期待して見守りましょう!
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