8月13日に開幕したイングランド・プレミアリーグ。昨季はレスターシティが優勝したことで一躍話題になりましたが、その速いプレースピードや世界のトッププレーヤーが集まっていることから「世界一人気のあるリーグ」とも言われています。
昨年の結果からも分かるように全体の実力差があまり激しくなく、どこが優勝するのか全く分かりません。今季もまだ2試合しか消化していませんが、「ジャイアントキリング」は次々と起こっているのです。
今回注目するのは昇格チーム。昨季もボーンマスやワトフォードといった昇格組の健闘が光りましたが、今季の昇格組も侮れないチームばかりです。
王者撃破! ハルシティ
おそらく、最も厳しい戦いが予想されていたのがこのハルシティ。
怪我人が続出した上に補強が0人と全く進まず、開幕前の7月下旬にスティーヴ・ブルース監督が電撃辞任。マイク・フィーラン氏が暫定監督を務め、出場可能なトップチームの選手は13人という何とも厳しい台所事情で開幕戦を迎えました。しかも相手は昨年の覇者・レスター。
しかし、前半終了間際にセットプレーから先制すると後半にもカウンターからゴールを奪い、2-1で勝利。続くスウォンジー戦でも攻め込まれる時間は多かったものの、またもセットプレーから決勝点を挙げて開幕2連勝を達成しました。いきなりのサプライズに驚いた方は多かったかもしれません。
by SkySports
注目ポイント・フィジカルに長けるセンターライン
この2試合で41本ものシュートを浴びたにもかかわらず、PKによる1失点に抑えたハル。その立役者はセンターバックを務めるカーティス・デイヴィス選手です。
彼はシュートブロック数とヘディングクリア数でリーグ1位、クリア数もリーグ4位といった数字からも分かるように、相手の攻撃を次々に跳ね返すセンターバック。持ち味のパワーを生かした競り合いの強さだけではなく、的確にシュートコースを潰すブロックにも非常に定評があります。
コンビを組むジェイク・リヴァモア選手、ボランチのトム・ハドルストン選手とデヴィット・メイラー選手を始めとして、ハルのセンターラインにはプレミアでの経験が豊富な選手たちが名を連ねます。
厳しい2試合で3ポイントを取れたのも、チーム内での意思統一があってのことで、安定した守備がチームが波に乗れている大きな要因となっているでしょう。
by Eurosport
堅守速攻 バーンリー
彼らがサプライズを起こしたのは第2節のリヴァプール戦でした。
開始早々にサム・ヴォークス選手のゴールで先制すると、守備的な戦い方をしながらアンドレ・グレイ選手が追加点を決めて完封勝利。80%もの支配率を許しながらも、自陣に堅いブロックを敷いて何とか耐え抜きました。
プレシーズンにバルセロナに4-0で勝ち、開幕戦でもアーセナルを撃破していたリヴァプールから勝点3を奪ったのは大きな自信となるでしょう。
バーンリーは2年前にプレミアから降格し、1年で復帰したチームということもあって、降格を経験した選手が多くいるのも特徴です。監督もその時から変えておらず、より円熟味を増したチームがプレミアに「再挑戦」します。
by Irish Post
注目ポイント・縦に速いサッカー
バーンリーのスタイルは、ショートパスよりロングパスを好む「オールドファッション」なもの。
ボールを奪えば2トップに向かって放り込み、彼らのフィジカルを最大限に生かします。MFには運動量のある選手を並べ、チャンスと見るや否やゴール前に駆け上がります。リヴァプール戦の2点目がまさしくその形で、中盤でのパスカットからスティーブン・デフール選手が一気に持ち上がり、パスを受けたグレイ選手がDF2人を交わしてゴールに流し込みました。
決定力のある2トップが1部の舞台でも通用すれば、堅守速攻のスタイルでも十分戦うことができるはずです。
by Eurosport
実力派 ミドルズブラ
ここまでプレミア中堅チームと2試合を戦って1勝1分と順風満帆なスタートを切った”ボロ”ことミドルズブラ。
極端に引いて守るわけでもなく、堂々と渡り合っています。今夏にはアルバロ・ネグレド選手など各ポジションの核となる選手を補強。総勢11人の大型補強を敢行し、プレミアで戦う準備は万端。
初勝利となった2節のサンダーランド戦では後半に多くのピンチを迎えるなど、守備に不安を残しましたが、攻撃力でいえば昇格組随一の威力を持っています。
by Telegraph
注目ポイント・ネグレドを中心とした攻撃陣
注目は、新加入のネグレド選手をどのようにチーム内に組み込んでいくか。
中盤の2列目にはパスの出せる選手が並び、両サイドバックが積極的に攻撃参加してくるため、彼に当ててから周りが飛び出していく攻撃がこの2試合ではよく見られました。
ただ、スペースに抜けてアシストを決めるなどの周りを生かすプレーも得意とするネグレド選手は、完全なポストワーカーというよりは万能型のFWとして機能しています。その結果としてサイドのクリスティアン・ストゥアーニ選手がゴール前に侵入してきて得点を取れたわけで、このように”生かし生かされる関係”が上手くいけば、掴みどころのない強力な攻撃が完成するでしょう。
by THE Sun
2試合しか終わっていない時点で順位を参照するのは時期尚早ですが、躍進を果たすチームが多ければ多いほどリーグ全体は盛り上がります。
昇格組だからといって簡単に勝てるほどプレミアリーグは甘くありませんし、そこがこのリーグの魅力です。
ぜひ、彼らの今後の戦いに注目してみてください。